マリアージュ〜お探しの物あります〜

蝋梅

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19.私は、誰なの?

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「お茶、お茶を淹れましょう」
「大丈夫か?」

 私は手に力をいれ、よろけながらも立ち上がれば、ライル様に支えられた。

 よく晴れた日の空のような明るい色の瞳。

プッン

 その瞳を見た瞬間、針仕事をしている際に糸が切れるような音がした。

「私は、何か悪いことをしたかしら?お父様の看病がたりなかった?お母様は、私を産んだせいで体調を崩して早くに逝ってしまった。私はいないほうがよかった?」

 何か訳のわからないモノに襲われる。

「おい」
「わ、私は何?」
「店主」
「私は誰なの?!」

嫌よ!怖いわ。

「落ち着け」

 その人の、私の唇をふさいでいた口から低い声が聞こえた。

「マリー」

 空色の瞳は私を、私だけを見ていて、その声はかぎりなく優しい。

「貴方は、あなただ。他の誰でもない」
「わ、私は」
「違うのか?」

 この人の言葉が身体に広がる。

私は、私。

「違わないわ」

 くしゃりと頭を撫でられた。


「私が茶を淹れよう。茶葉の場所を教えてくれるか?」

 私の頭を撫でていたライル様の手が離れていく。

「マリー?」
「あっ、はい」

 私は先に奥へ向かうライル様の後ろを追いかけた。この時の私は、その離れていく手がただ、とても寂しくて。

 口づけを交わした事なんてすっかり忘れていた。



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