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81.さて、次は
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「ノア、リアンヌさん呼んできて」
「キュ」
「呼び終わったら私の所に来れる?」
「キュイ!」
ご機嫌が元に戻ったノアは、とてもおりこうさんである。
ふさふさのタヌキ尻尾、狐より尻尾をみると狸なそれをピンと立て走り去っていく姿はもはや忠犬だ。
「さて、マート君、存分にナウル君と話をしなさいと言いたいけど本調子じゃないから少しにして」
「俺だって流石に見りゃあ分かる」
マート君はスルーし、彼の背後に気配を消してパーソナル空間を完全に無視した距離にいる粘着質さんに念をおす。
「聞き取られないようにはしておく。リアンヌさんもすぐ来るから。でも油断しないで」
マート君がどれだけ使い物になるか見ていないので用心は必要だ。
なんせ彼はこんなでも王子様なのだから。
他国で死んじゃいましたでは洒落にならない。下手したら戦になるわ。
「ご配慮、感謝致します」
ふっと笑い眼鏡を上げる仕種はカッコイイはずなんだけど、私の腕に鳥肌が立つ。
「どうかされましたか?」
「うーん。やっぱり粘着質はプライベートの夜とかもしつこそうだなと」
この人、ネチネチいじめ倒すんだろうなぁ。そういうのが滲み出ているから残念なのかも。
「な、何を言ってんだよ?!お前、ホント下品だよな!」
「かっわいいわよねー」
「なっ!」
赤らめるマート君をみていると自分が汚れているのを痛感するわ。まぁ生きてきた年数が違うしな。
あら、さっきまで何も感じなかった背後から嫌な視線が。ちらりと視線だけ動かせば紳士なラジは節度ある距離をとりつつも私をジト目で見下ろしている。
この人も初対面の時より随分変わったな。いや、これが素なのか。
「という事で見守り変更。行きたい場所あるから付き合ってくれる?」
「何処へ?」
あ、なんか嫌そう。
「探検よ」
「なんだよそれ! 俺も」
「無理」
「何でだよ!」
即拒否。マート君の好奇心は悪くはないけどね。若さゆえというか眩しいわ。
「何が起きるか分からないから。だから」
ラジに近づき肩をというか届かないので腕を軽く叩く。
「ラジ、付き合って」
この人は、裏切らない。根拠のないものだけど。
「伝達をしてからでいいか?」
なんか伝わるといいな。
そこそこ頼りにしてんだからと。
「勿論」
そこで忘れていた整理現象が。
「私もトイレ」
すかさず歩く騒音から文句がはいる。
「やっぱりラジウス、アンタが慎みというやつを教えろよ」
しかも相変わらず生意気な。
「ぼっちゃんは煩い」
「な、無礼だぞ!」
「え? 聞こえなーい」
こうして結局騒がしくなるのよね。
ふと、この城に来る前夜、妖艶な魔法使いのシルビアさんとの会話を思い出した。
『あそこの城に異界に関して記した書物があるかもしれない』
『仮定なのはどうしてですか?』
『力がある者しか入れないからよ』
国一番の魔法使いが入れないの?
『あそこの扉は保持している魔力や技量じゃないの』
『じゃあ何ですか?』
『資質』
なんの資質よ?
『例え入っても相応しくなければ、はね返えされる』
細部まで説明がなくても、なんとなく理解した。気に入らない者は攻撃される、それも致命的なくらいに。
『やめておけば?』
冗談でしょう?
私は笑みで彼女に答えた。
ヒントがあるかもしれないのに、諦めるわけないじゃない。
「ユラ」
ラジが私を呼んだ。すっかり彼がいる事を忘れていたわ。
「ねぇ、目の前にチャンスがあればラジはどうする?」
私を無表情に見下ろした彼は、なんの迷いもなく言ってのけた。
「掴むに決まっている」
だよね。
「じゃあ、気合い入れて行きますかね!」
訝しがるラジをよそに私は先ずトイレに直行した。いや、我慢は病気になるからね。
「キュ」
「呼び終わったら私の所に来れる?」
「キュイ!」
ご機嫌が元に戻ったノアは、とてもおりこうさんである。
ふさふさのタヌキ尻尾、狐より尻尾をみると狸なそれをピンと立て走り去っていく姿はもはや忠犬だ。
「さて、マート君、存分にナウル君と話をしなさいと言いたいけど本調子じゃないから少しにして」
「俺だって流石に見りゃあ分かる」
マート君はスルーし、彼の背後に気配を消してパーソナル空間を完全に無視した距離にいる粘着質さんに念をおす。
「聞き取られないようにはしておく。リアンヌさんもすぐ来るから。でも油断しないで」
マート君がどれだけ使い物になるか見ていないので用心は必要だ。
なんせ彼はこんなでも王子様なのだから。
他国で死んじゃいましたでは洒落にならない。下手したら戦になるわ。
「ご配慮、感謝致します」
ふっと笑い眼鏡を上げる仕種はカッコイイはずなんだけど、私の腕に鳥肌が立つ。
「どうかされましたか?」
「うーん。やっぱり粘着質はプライベートの夜とかもしつこそうだなと」
この人、ネチネチいじめ倒すんだろうなぁ。そういうのが滲み出ているから残念なのかも。
「な、何を言ってんだよ?!お前、ホント下品だよな!」
「かっわいいわよねー」
「なっ!」
赤らめるマート君をみていると自分が汚れているのを痛感するわ。まぁ生きてきた年数が違うしな。
あら、さっきまで何も感じなかった背後から嫌な視線が。ちらりと視線だけ動かせば紳士なラジは節度ある距離をとりつつも私をジト目で見下ろしている。
この人も初対面の時より随分変わったな。いや、これが素なのか。
「という事で見守り変更。行きたい場所あるから付き合ってくれる?」
「何処へ?」
あ、なんか嫌そう。
「探検よ」
「なんだよそれ! 俺も」
「無理」
「何でだよ!」
即拒否。マート君の好奇心は悪くはないけどね。若さゆえというか眩しいわ。
「何が起きるか分からないから。だから」
ラジに近づき肩をというか届かないので腕を軽く叩く。
「ラジ、付き合って」
この人は、裏切らない。根拠のないものだけど。
「伝達をしてからでいいか?」
なんか伝わるといいな。
そこそこ頼りにしてんだからと。
「勿論」
そこで忘れていた整理現象が。
「私もトイレ」
すかさず歩く騒音から文句がはいる。
「やっぱりラジウス、アンタが慎みというやつを教えろよ」
しかも相変わらず生意気な。
「ぼっちゃんは煩い」
「な、無礼だぞ!」
「え? 聞こえなーい」
こうして結局騒がしくなるのよね。
ふと、この城に来る前夜、妖艶な魔法使いのシルビアさんとの会話を思い出した。
『あそこの城に異界に関して記した書物があるかもしれない』
『仮定なのはどうしてですか?』
『力がある者しか入れないからよ』
国一番の魔法使いが入れないの?
『あそこの扉は保持している魔力や技量じゃないの』
『じゃあ何ですか?』
『資質』
なんの資質よ?
『例え入っても相応しくなければ、はね返えされる』
細部まで説明がなくても、なんとなく理解した。気に入らない者は攻撃される、それも致命的なくらいに。
『やめておけば?』
冗談でしょう?
私は笑みで彼女に答えた。
ヒントがあるかもしれないのに、諦めるわけないじゃない。
「ユラ」
ラジが私を呼んだ。すっかり彼がいる事を忘れていたわ。
「ねぇ、目の前にチャンスがあればラジはどうする?」
私を無表情に見下ろした彼は、なんの迷いもなく言ってのけた。
「掴むに決まっている」
だよね。
「じゃあ、気合い入れて行きますかね!」
訝しがるラジをよそに私は先ずトイレに直行した。いや、我慢は病気になるからね。
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