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14.熱が出た
しおりを挟む「悪いけど今日は探すのパスするね」
「気にしないで下さい。大丈夫ですか?」
「うん。薬飲んだから寝れば良くなると思う」
昨日あれから寝られず気がつけば朝になっていて。やたら体の節々が痛いと思い熱を測ったら38.5℃だった。
心が弱ると熱って出るのかな? 部屋に戻りボフンと枕に頭を落とす。
「元々違う世界の人なのになぁ」
只でさえイケメンさんなのに、昨日のおでこにキスされたので自覚しちゃったよ。好きになったって彼女持ちのうえに生きる世界が違うなんて最悪だ。
あと何日彼はいるんだっけ?
指を曲げて数えていく。…あと五日かな。
五日間だけ我慢すれば平穏が訪れる。そんな事をぼんやりと考えていたら、ノックの音がした。
「ホノカ」
もう聞きなれた声に目を開けた。いつの間にか寝ていたらしい。
「大丈夫ですか? 起こしてすみません。何か食べたほうがいいかと思って」
湯気が出ている物をお盆に乗せてランスが近寄ってくる。
「どうぞ。体調か悪い時など、俺の国では食べるんですが。胃に負担がないように味は薄いですけど」
「これ…何故これを知ってるの?」
出されたそれは、シチューだった。
でも、家のシチューは普通とは違う。乳製品は一切使わず、銀杏切りの人参、くし切りの玉葱。六等分くらいの大きいじゃがいもを入れ煮込んだ後に何故か片栗粉でとろみをつける。
味は塩のみ。
しばらくして成長した私は、テレビや学校の給食で本当のシチューを知ったのだ。
「…やはりホノカは知っているんですね」
意味がわからない。
「何を?」
「熱どうですか?」
「えっ、ああ。だいぶ下がった気はするけど」
「熱を測る、体温計であってますか? それで熱が下がっていて話ができそうなら、話したい事があります」
静かな、けれど真剣な水色の瞳。
「とりあえず食べて。それとも食べさせようか?」
「えっ?!自分でできる!」
「じゃあ食べて」
いつもと違い押しが強いというか、敬語もなくなってるし調子が狂うな。
「いただきます」
フーフーしながら火傷にならないように慎重に口にいれた。
「うん。昔と同じだ」
野菜の旨みがゆっくりと口の中に広がった。なんか、おばあちゃんや母を思いだすなぁ。
「今日のホノカは忙しいね」
誰のせいよ。
懐かしくて、もう会いたくても会えない人達を思い出す。
いつのまにか泣いていた。
「ふっ、すごい顔」
「うるさい」
からかうような口調とは裏腹に私の頭を撫でるランスの手はとても優しかった。
食後、熱を測ると微熱程度になっていたのでリビングに足を向ければカウンターの椅子に座り長い足を組んだランスが文字の勉強をしていた。
やっぱりカッコいいな。
「ホノカ。気分は?」
「微熱程度でだいぶいいです」
ランスがこちらに気がつき話しかけられた。
あぁ、もうちょっとだけ横顔を眺めたかったな。
「じゃあちょっと待ってて」
そう言った彼はニ階に上がって直ぐに降りてきた。
腕に何かを抱えている。一見本に見えたけれど本型の木の箱だ。
「これは、おじい様の机の後ろにあって、許可なく開けてしまった。たぶん、ホノカじゃ開かない」
「ああ、古くてかたかった?」
「いえ。鍵がかかっていた。魔術で」
それって、どういう事?
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