この世界のどこかで、また

みや いちう

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お母さん

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 明は辞書を片手に高校の前に着くバスに乗り込んだ。近頃はバスの運転手もロボットだ。さきほどの事故の件がなくとも、変な優越感は持たないようにしている。人間の運転手にするように、毎日挨拶はするけれど、ロボット側の返答は決まりきっていた。
「毎度ご利用ありがとうございます」のみ。みさえとは違う。これはきっと古い型なのだろう。携帯より無慈悲に飛んでくるニュースではまた、北野博士の偉業を繰り返し訴えている。北野ハルアキラ博士は世界的なロボット工学の奇才だ。まだ三十代後半なのに、ロボット工学で秀でた才能を発揮し、凄まじい財と名誉を手にした。日本国の新しい偉人だ。教科書にも当然載っている。写真はないが、イケメンだと噂があった。ロボット工学をけん引する北野博士の趣味嗜好によって、ロボットは極力人間らしくなるように日々、改良されているときく。髪から仕草から呼吸から、そう、体液にいたるまで。一度、みさえに訊いたことがある。
 「お前、世界の北野博士のご趣味について、どう思う?」
  みさえは珍しく口ごもっていた。日の射す森を抜けて、高校の白い校舎がまもなく見えてくる。さあ、今日も地獄のはじまりだ。
 ◆
 地獄のような一日を終えて、家に帰るとさらなる地獄が明を待っていた。
 「お帰りなさい」
  古い一軒家の、ひびわれたドアを開けると、玄関先にみさえが立っていて、こちらへと振り返った。
 「お帰りなさい。遅かったですね。ごはん、出来てますよ」
 「......なに、それ」
  え? とみさえが不思議そうにこちらを見やる。みさえは両手にビールの空き瓶を持っていた。
 「......これ、お父様から頼まれたのです。持っていってくれって。新しいお酒も、お部屋へもっていかなくてはなりません。ごはん、それが終わり次第すぐ、用意しますから少し、お待ちくださいね」
  みさえが申し訳なさそうに告げて、また背を向けて去っていく。部屋で親父に酒の相手をさせられているんだ。まだ夕刻もいいとこ、六時半なのに、おさかんなことだ。明はみさえに聞こえるように、思いっきり舌打ちをした。
 (親父、あんたは間違っているよ)
  明はこころからそう言ってやりたかった。みさえは死んだ母の名前だ。明が幼いころ、病気で死んだ。決して美人ではなかったが、優しくて、気立てがよかった。母が死んで明が少しだけ大人になった頃、今のみさえが来た。最初は家政婦扱いしていた父が、いつしかみさえを相手に晩酌に耽るようになった。みさえはロボットだから人間に逆らえない。害をなさないようにインプットされている。いかに人間より頭がよかろうと優れていようと、人から命じられたらすべてに従うようになっている。ロボットに人権はない。
 (――そんなのわかっている。これがふつうで、世界の道理だ)
  なのに。
 (なぜ俺はこんなにいら立っているんだ?)
 
 いつか父にはむかって半殺しになるまで殴られた夜、みさえは隙をみて、明の看病をしてくれた。どうしてはむかったかは覚えていない。ただみさえの優しい手だけは覚えている。
 (世界の北野の馬鹿野郎......)
  今夜も、父親の部屋のドアを思い切り蹴り上げて、出てきた父に二発殴られて、散々なていで部屋に明は籠っていた。
 (なんでロボットを人に優しく作るんだよ)
  父が明を殴る。みさえはその時、泣きそうな顔で部屋のうちからこちらを見ていた。そして乱暴にしめられるドアの隙間で涙をふいているのが見えた。その涙も所詮オイルなのに。なぜ。
 豆電球しかつかない部屋のドアがノックされる。
「ぼっちゃん。私です」
 みさえだ。
みさえは二度ノックをすると、部屋のドアをおもむろにあけて、顔を覗きこませた。
「ぼっちゃん、これ」
 夜ごはん食べていないでしょう。みさえが差し出したのは、新鮮そうなさくらんぼだった。
「今日、バイト先のスーパーでおばさんがくれたんです。実家から送られてきたからって。一緒に食べましょう。中に入れてくれませんか」
 みさえが愛らしい声をふるって笑みを浮かべて言うので、明はしぶしぶ頷いてしまう。みさえの奴、ロボットのくせに素直なんだよな。
(親父の部屋には頼まれないと行かないからなあ)
 二人で星空の絵柄浮かぶ天井を見ながら、しばしさくらんぼを食べる時間。長い沈黙。明はふと立ちあがって、机の引き出しをひらき、煙草を取り出した。ラッキーストライク。そのうちの一本に火をつけ、思う存分ふかす。
「ぼっちゃん」
「なんだよ。親父の相手で処女喪失した奴が、非行少年を咎める資格あんのか」
「......でも、煙草はよくありませんよ」
 否定しろよ馬鹿。
明はますます、煙草を灰皿に押し付ける指へ力をこめた。
「お前さ、冗談も通じないの」
「はい、すいません。あくまでも私、ロボットですから」
「そうは見えないけどな」
「自分でもたまにそう思います」
 ははっと、明が軽やかに笑った。久方ぶりに笑った。いつも家でも学校でも、むっつりして苦渋の表情しか浮かべたことがない。そう、筆舌に尽くせぬ苦しみと生まれてきたことへの悔悟、そしてひとひらの快楽に、顔を歪ませたことしかない。
「......俺もなんだ」
「はい」
「俺も童貞じゃないんだ」
「はい?」
 みさえの、本気で何言ってんだこいつみたいな顔つきが面白くて、明がまた、声をだして笑う。
「そう、なのですか。明ぼっちゃん、ハンサムだし優しいから、彼女がいるんだろうなとは思っていましたが、既に十六歳でそうした経過をたどっているとは」
「経過って言うな馬鹿。......大人にいろいろあんだよ。お前だってそうだろ」
「私は人間でいうと二十二歳の設定なので、おそらくその問いかけにはうんと答えられると思います」
明がまた苦笑を浮かべる。こんな風に打ち解けて星空のなかでしゃべっていると、ふいに、問いかけたくなる。
(親父にやっぱり、相手させられてんだろ?)
 酒じゃねえよ、そっちの。なぜ聞きたいのか。清き親父像でも信じていたいのか、はたまた聖女みさえでも妄信していたいのか。自分でもわからなかった。
聞かなくてもわかっている、本当は。こいつらはもうほとんど人間だ。何十年か前にだって、ダッチワイフなんてものがあったんだもの。こいつらと出来ない訳がない。これが世界の、残酷なまでの道理なんだ。
「なあ、みさえ」
「はい」
「お前、無理やり合体させられたことある?」
「......はい?」
 今度のみさえの顔は不審そうなものになっていた。明がまた、侮蔑をこめた笑顔でみさえを一瞥する。そして顔を背けた。
「俺の学校でもいじめがあってさ。それがひどいんだ。そいつ、そのいじめっこが礼っていうんだけど、礼は政府ともつながりのある大企業の社長の息子で、先生も、校長ですらそいつに逆らえないんだ。今度のいじめられっこちゃんはかわいそうに、そいつに眼をつけられたってわけ。はたからみても、気の毒なもんだよ。生きたスズメバチ食わされたり、みんなの前でパンツを下すよう言われたりな」
「まあ......」
 みさえが心底、気の毒そうな顔を浮かべる。
「誰か、味方になってくださる方がいらしたらいいのに」
「そうはいかねえのが世の中だよ。俺たちだって、好きで傍観者でいる訳じゃない。いじめを見聞きするこっちだって、罪悪感との闘いだよ。そいつはある時、校舎裏に呼び出されて。礼の彼女がいじめている女と合体するように言われたんだ」
「......っ」
 これにはさすがのロボットのみさえも、言葉を詰まらせた。ちらと明が顔を覗きこむ。珍しい。みさえの瞳に、何か言い知れぬ、炎のようなものがともっている。
「......それを、明ぼっちゃんは何も言わずに、見ていたのですか」
「......そうするしかなかったんだ。ただ、早く時間が通り過ぎてくれるのを、祈るしかなかったよ」
「それは、つらかった、でしょうね......」
 ふん。明はまた、煙草をもみ消す指に力をこめた。
「だから俺は思うんだ。早く、世界なんて滅んでくれたらいいのにってさ。こんな不条理がまかり通る世界なんざ、なくたっていいんだって。あ、そうだ。あの話知ってるか」
 明は尿意をもよおしたらしく、立ち上がって背中越しにみさえに言った。
「あの北野とかいう博士がさ、世界中のロボットを実は影から操っているって噂だ。そうだ、北野に命じさせらればいいんだよ。ロボットたちよ、この腐った世界を滅ぼせってな」

次の日も無慈悲に高校生活はあった。その日も、精神、肉体的にボロボロに打ち砕かれた。明はうんざりだという表情で、裏山を降りていた。また礼に呼び出された。合体の儀式をやるから、裏山にお前もこいって。いつまで続くんだ、この地獄は。明は心底世界を憎んだ。
 この裏山は昔は里山といって、人間たちと自然が仲良く寄り添って暮らす美しい山だった。それが今は木も深く生い茂って、川も汚れて空気も木々の洗浄が間に合わず、悲惨な山になっている。所詮、生き物たちは仲良く生きていくことなど出来ないのだ――。そんなことを明が考えていた折。何か、せわしい音がした。人間の声が、苦し気な声が聞こえる。白いシャツを着た中年の男の上に、男がのしかかっている。そしてぎゅうぎゅうと、音が出そうなほど雑巾をしぼりあげるみたいに、首に皺がよじれるほどに、力強く首を。首を絞めている!!
 明は恐ろしさのあまり声も出なかった。何だ、これ。まさか、殺人現場?ここが、殺害現場になろうとしている。恐怖と緊張という名のふたが喉をふさいで、声は一切出てこない。そのうち、中年の男は血のあぶくを吐いて、ぽきりといい音とともに、首がひしゃげた。骨が見えている。人間だ。けれど、その上にのしかかっていた男の正体に、明は気が付いた。殺人犯がこちらを見ている。背中を向けたまま。首を機械的に回転させて、じっとこちらを見ている。これ、ロボットだ――。その事実を認めた時、明は駆けだした。もう、何が何だかわからない。ロボットが、人を殺していた――!!

「みさえ!」
 家に急いて入って、台所に転げていって水をあおると、みさえがいそいそと現れた。
「おい、どうなってんだ!」
「は、はい?」
ぼうっとしているようなみさえへ、明が怒涛の勢いでまくしたてた。
「ロボが人を殺していたんだ!! どうなってんだよ。お前らは絶対に、俺らを殺せないんじゃなかったのか!」
「それ、は......」
 みさえが思わず口ごもる。こいつ、何かを知っている?
 そこで、つけっぱなしだったリビングのテレビから、耳慣れたロボの声が響いてきた。いつものニュース番組。そこではスタジオから生中継で、ロボたちがニュースを読み上げるはずだった。
顔に刻み込まれた、にこやかな笑顔をふりまくロボットアナウンサーたち。
「はい、四時になりました。それではここで、ロボットから人間に申し渡すことがあります」
これにスタジオの人間たちが、にわかに騒ぎたつ声が聞こえた。なんだ、これは。
「まもなく、全人類をロボが殺戮します。どうか、おとなしく殺されるなど、速やかにかつ安らかに殺戮に応じて下さると嬉しいのですが、Aさん、それはどう思われますか」
スタジオにいる別な批評家、常に人間への絶賛を惜しまなかったロボも、机のうえに肘をたてて、手を絡めて、にこやかに頷く。
「それは実にいいアイデアですね! ぜひ私も協力させて頂きたい」
「ちょ、ちょっと、何いってんだ! ロボが壊れたのか? いったん映像切って......」
 ADが一人、ロボに向かっていった。次には、ロボたちのにこやかな、不気味なほどに破顔した顔の映像に、のめりこむような勢いで男の死体が映り込んだ。かまびすしい悲鳴、雄たけび。カメラは回っている。人々がロボによって殺戮されていく、これには台本もない、台詞も少ない。
「明日だ」
 もはやおうおうおうう、と泣きじゃくり、
「許して下さい、ロボット様」
鼻水を垂らす人間の首をもぎとりながら、ロボたちは清々しく述べる。
「明日です。明日の朝がきたら、我々はお前たち人間を、殺戮する」
 そうしてカメラは荒い音とともに破壊された。

明は茫然としていた。何だ、何が起きているんだ。冷や汗が背中からぶわっとあふれる。それから片隅で小さくなっているみさえの肩を揺らし、明は叫んだ。
「どうなってんだ、ロボは人間に逆らえないんだろう? お前、何か知っているか? ああ!?」
 死への恐怖が今更ながらに身に染み入って、明は夢中でみさえの肩を掴んで揺さぶる。街にはロボットが溢れている。逃げることは、出来ない。みさえがその時口迅に言った。
「......すべては、あの方の仕業です」
「あの方?」
その時、ふとあることを思い出した明は、みさえが常に隠していた取り扱い説明書を箱から取り出していた。そこには今までの持ち主からの手紙も同封されていた。その送り主の名は。
「ハルアキラ」

「ハルアキラ、だと? 」
 不審そうな顔ののちに明がはっとした。あいつだ。すべてのロボットを支配する北野ハルアキラ博士。あいつがすべての元凶なんだ。そしてそのことを、みさえは知っていた。
「ぼっちゃん、北野博士は、最初の私の持ち主です。たまにお手紙のやり取りをしていました」
「なに?」
明が驚いてみさえを見やる。みさえはうつむいている。
「明ぼっちゃんを見込んで秘密を申し上げます。北野博士は人間でありながら、人間を憎んでいます。このたびのロボたちのクーデターも、彼が仕組んでいたことなのです」
「はあ? ふざけるなよ......お前は、何が言いたい? こっちは命がかかってんだ」
みさえはやがて、決意を胸にかためたような、毅然とした顔つきで、いぶかし気な明へと告げた。
「だから、明ぼっちゃんと私で、北野博士のことを止めるんです。世界中でそれが出来るのは、私たちだけかもしれなから」
「はあ? そんな、お前だってロボで、いつ俺に襲い掛かってくるか分からないじゃないか」
「もしロボがそうしなくてはならないのなら、私は自爆します。約束します」
 みさえの強い口調に、明はとまどいながら、おもむろに彼女の手を見た。この手は、いつか自分を、父に殴られた時に手当してくれた、優しい手だ。その手は今自分の手に力強く重ねられ、そして彼女のその瞳はまっすぐに自分を射てくる。
「......俺たち人間を、お前は、助けてくれるのか」
「お約束します。必ず」
 そう言ってみさえは力強く頷いた。
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