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第3自摸「すらいどちーってなんだろう」
しおりを挟む今日は『スライドチー』についてです。
「サキちゃんあのね、このまえ麻雀友達の『ネガ子』ちゃんが「あー『すらいどちー』すればよかった~」と言ってたの……その時は分かったふりして相槌打って聞き流したんだけど。実際、すらいどちーってなんですか?」
「あー、スライドチーね。それはね要するに『ツモ番パスチー』のことだね。基本的には」
「ツモ番パスチー? パクチーの仲間かな。コリアンダーは好きです」
◉正解と解説
「当然パクチーは関係ないけど… そう、例えば…… ちょっと紙とペンないかな?」
「はい。これでいい?」
そう言って肉ちゃんが渡してきたのはボールペンと1月9日の回転寿司のレシートだった。
「…寿司食べたの?」
「うん、誕生日だったからね」
「えーー?! 言ってよー! そしたらお祝い用意したのにーー!」
「いいのいいの気を使わないで。それで、ツモ番パスチーって?」
「うん、ちょっと待ってね」
そう言ってサキはレシートの裏にサラサラと牌姿を書き始めた。
二三四伍六七①①⑨⑨444 北家 16巡目 ドラ⑤
「ま、こんな感じでいいか。①は1枚切れ⑨は2枚切れの状況とする。こんな時、テンパイ料さえ貰えりゃいいわ、という手の時にね上家が伍を切ったとして…。一は場に4枚見えでカンチャン二待ちはありえない。としたらこれは六七でチーして打二とする。これがツモ番パスのスライドチー」
「ああ、つまり引いてしまうと危険なものを引く可能性がありせっかくのテンパイを崩すハメになるかもしれないから安全にテンパイキープするために鳴くってことね。で、面子の構成が二三四から三四伍と、ひとつ横にズレるからスライドかあ」
「そういうこと。ちなみにスライドチーするのはなにもパス目的とは限らないよ。ごく稀に攻撃力増加の為のスライドチーもある…… 例えば」
二三四伍六七3488(③④⑤) ドラ八
「この2000点をテンパイしてたとしたらドラの八は出たらチーして打二とすることで高目マンガンの手に化けるでしょ。これもスライドチーの使い方」
「なるほど~。とにかくチーして面子をズラすのがスライドチーなのね」
「そう! だけどね。234を5チーして2切りとかしちゃダメだからね」
「え、なんで? 三色になる時とかやればいいんじゃないの?」
「それができないの。これは『喰いかえ』と言ってね禁止されてること。だから2面子連続形の部分でしかスライドはできないわけ」
「なーるほど、でもなんでダメなんだろ。よくわかんないや」
「それは私にも分かんないけど…… 肉ちゃん。遅くなったけど、誕生日おめでとう」
「ありがとうございます♪」
————
《サキちゃんと肉ちゃんの麻雀専門用語辞典》
その3『スライドチー』
読み方【スライドチー】
出来ている面子をチーして構成をひとつズラすこと。主にツモ番パスに使われるが、稀に打点上昇のために行うこともある。一発消しやハイテイずらしに使うことも。
〈合わせて覚えたい専門用語〉
『喰いかえ』
読み方【クイカエ】
例えば123ならここで4のチーをして1を切ること。明らかに完成しているものを鳴きでズラすことは出来ない。123456で7チーの1切りは56を晒して1を捨てているので鳴きでズラしているかどうかは判断出来ないためズラすことが出来る。
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