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第三章【一日一度はメンタンピン編】
七打目◉エース級
しおりを挟む数日後、仕事を覚えたメタは完全に戦力としてカウントして大丈夫だという判断をマサルが下す。そしてついに富士2号店24時間営業計画が動き出した。
これまで富士2号店は朝8時にアキラかコテツが鍵をあけて前日汚して帰った店内掃除をやり、卓清掃をやり、レジ金確認をし、スーパーのオープン時間に合わせて買い出しに行って、銀行で両替を済ませ、店内の換気を行い、糠床を混ぜ、ツマミを準備して、新しく野菜を漬けて、暑い日はベランダの野菜に水やりを一回やって、階段清掃や入り口清掃、待ち席の本棚整理、新聞の交換、新聞にステープラーをして富士2号店という判子を押す作業などを2人、あるいは1人でしていた。
閉店時間はまちまちで最後まで残るのはマサルかサブ責任者の佐藤スグルだった。メタの面接担当をしたのもこのスグルである。なんの役職者でもないのだがしっかり者なのでマサルが休みの時はスグルに全て任せている。スグルの給料はもう少し上げてあげていいのではとコテツは内心思っていた。
その他に富士2号店にはたまにだけ入るバイトが2人。呼べば来てくれるジンギや好きなタイミングで入ったり出たりしてくれる社長の協力。女子バイトが2人。そのうち1人は麻雀も打たせられる。とまあ、けっこうかき集めれば協力者がいるので、もちろんまだ人手不足ではあるが24時間にしても大丈夫かもしれなかった。どうしても難しい日は1号店から借りることも不可能ではないわけだし。
「で、だ。髙橋くんは攻める麻雀でコテツとぶつかり合うから別番の方がいいと思うんだ。キミはコテツと同じでいくら打たせてもなんの心配も要らないエース級本走1番手タイプだ。同番にしているのは使い方が悪い。
遅番になってもらう。頼んだよ」
片番営業だった店が24営業になったとなれば最初は絶対に忙しい。人手不足がすごいからだ。
そんな中でゆっくり食える時間なんて中々ない。メタは実力を認められたことは嬉しいし誇らしかったが、コテツたちと反対番になってしまった事は残念だったし、何よりご飯がゆっくり食えなくなったことがとても残念でならなかった。
ご飯への不満を漏らしながらも日々1番手で麻雀を打つ遅番エース髙橋。
忙しい中それでも研鑽を積むメタはコテツやアキラの知らない所で経験を積み絶対的スーパーエースとしてやがて覚醒して行くのだった。
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