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その3『美咲大活躍』編
第七話 変わらないという幸せ
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26.
第七話 変わらないという幸せ
あの日以来、美咲の生活は麻雀漬けだ。アプリゲームの麻雀は既にベテラン達も普通にいる三段まで段位を上げているし。戦術書は所々アンダーラインを引いたり書き込みをしたり付箋を挟んだりして勉強してる。
そして、何よりも夢中になっているのが――
「今日も読んでるのか。もう3巻だろ。それ、そんなに面白いか」
「もーーー、面白いなんてもんじゃないよ。最高! 人類が創り出した最高傑作!」
「そんなにか」
それは、ラノベ系麻雀小説家として知られる『ヤチヨ』のデビュー作『気付いたら年がら年じゅう牌♡握ってた!』通称『キヅハイ!』である。
主人公が17歳の女子高生という設定で始まる所も共感があるのだろう。美咲は最近これを読んでばかりだ、もう高2の夏なのだから少しくらい受験勉強もしてほしい。まあ、成績が悪いわけでもないからいいか。それとも、大学に行かないつもりだろうか。麻雀プロになるとは言ったが学生でもプロはなれる。
なんなら中学生でもなれるはずだがその事は言わないでおいた。
美咲はこの明るい性格だから学校でも人気者で学生時代を謳歌してる。ならもう少し学生をしていればいいと思う。そしてできればこのまま、不幸な体験など何一つしないまま、幸せな大人になってくれたらと願うばかりだ。
(美咲はどう考えてるか知らないが、学歴は就職する時に大切だよな。俺は運良く一般企業に就職出来たけど高卒の俺が大卒と同じ扱いにはされなかったからな。当たり前っちゃ当たり前だけど。
大人になってからの自由時間を多く作るために子供の頃に自由時間削って勉強するんだと、親父がいつだか言った気がするが。……子供の頃にそれ言われてもピンと来なかったよな)
「ま、なんとかなるか」
「何が~?」
「美咲の将来の事」
「お兄ちゃんが稼いでくれるから私は安心してる~」
「ばか、オマエもいつかは自立するんだよ。巣立つ時が来んの」
「ずっと巣の中でいいよぉ」
全く、と思いつつも。俺自身ずっとこのまま、今の家族のままいられたらそれで充分に幸せだなとも思った。
◆◇◆◇
"――なんてことを思ったんですよー"
"なるほどね、たしかに『変わらない』ということが幸せだと思うこともあるわ。とくに歳を重ねるとね"
"犬飼さんいくつだって言ってたっけ"
"もー、わかってて聞いてるでしょ。45よ……"
"見えないなぁ~"
"うふふ♡ ありがと"
最近、俺はよく犬飼さんとメッセージのやり取りをしてる。犬飼さんは俺のメッセージに割とすぐ反応してくれるし、真面目な話には真面目に返し、ジョークにはジョークで返してくれる。聞けば犬飼さんはカラオケスナックのようなお店をやってるオーナーということだ。なるほど、という気がしたがそんな男性との出会いの多そうな所で働いているのに結婚相手のひとりやふたり出会ってもよさそうなものだけどなとも思った。それについては
「だからー、アタシが一番それはそう思ってるってば!」
不思議なこともあるものだ。でも、なんだか少しありがたい。そのおかげで俺にも遠慮なくふざけ合える異性の友人ができたわけだから。
いつまでもその調子で頼みます。とはさすがに言えないけどさ。
第七話 変わらないという幸せ
あの日以来、美咲の生活は麻雀漬けだ。アプリゲームの麻雀は既にベテラン達も普通にいる三段まで段位を上げているし。戦術書は所々アンダーラインを引いたり書き込みをしたり付箋を挟んだりして勉強してる。
そして、何よりも夢中になっているのが――
「今日も読んでるのか。もう3巻だろ。それ、そんなに面白いか」
「もーーー、面白いなんてもんじゃないよ。最高! 人類が創り出した最高傑作!」
「そんなにか」
それは、ラノベ系麻雀小説家として知られる『ヤチヨ』のデビュー作『気付いたら年がら年じゅう牌♡握ってた!』通称『キヅハイ!』である。
主人公が17歳の女子高生という設定で始まる所も共感があるのだろう。美咲は最近これを読んでばかりだ、もう高2の夏なのだから少しくらい受験勉強もしてほしい。まあ、成績が悪いわけでもないからいいか。それとも、大学に行かないつもりだろうか。麻雀プロになるとは言ったが学生でもプロはなれる。
なんなら中学生でもなれるはずだがその事は言わないでおいた。
美咲はこの明るい性格だから学校でも人気者で学生時代を謳歌してる。ならもう少し学生をしていればいいと思う。そしてできればこのまま、不幸な体験など何一つしないまま、幸せな大人になってくれたらと願うばかりだ。
(美咲はどう考えてるか知らないが、学歴は就職する時に大切だよな。俺は運良く一般企業に就職出来たけど高卒の俺が大卒と同じ扱いにはされなかったからな。当たり前っちゃ当たり前だけど。
大人になってからの自由時間を多く作るために子供の頃に自由時間削って勉強するんだと、親父がいつだか言った気がするが。……子供の頃にそれ言われてもピンと来なかったよな)
「ま、なんとかなるか」
「何が~?」
「美咲の将来の事」
「お兄ちゃんが稼いでくれるから私は安心してる~」
「ばか、オマエもいつかは自立するんだよ。巣立つ時が来んの」
「ずっと巣の中でいいよぉ」
全く、と思いつつも。俺自身ずっとこのまま、今の家族のままいられたらそれで充分に幸せだなとも思った。
◆◇◆◇
"――なんてことを思ったんですよー"
"なるほどね、たしかに『変わらない』ということが幸せだと思うこともあるわ。とくに歳を重ねるとね"
"犬飼さんいくつだって言ってたっけ"
"もー、わかってて聞いてるでしょ。45よ……"
"見えないなぁ~"
"うふふ♡ ありがと"
最近、俺はよく犬飼さんとメッセージのやり取りをしてる。犬飼さんは俺のメッセージに割とすぐ反応してくれるし、真面目な話には真面目に返し、ジョークにはジョークで返してくれる。聞けば犬飼さんはカラオケスナックのようなお店をやってるオーナーということだ。なるほど、という気がしたがそんな男性との出会いの多そうな所で働いているのに結婚相手のひとりやふたり出会ってもよさそうなものだけどなとも思った。それについては
「だからー、アタシが一番それはそう思ってるってば!」
不思議なこともあるものだ。でも、なんだか少しありがたい。そのおかげで俺にも遠慮なくふざけ合える異性の友人ができたわけだから。
いつまでもその調子で頼みます。とはさすがに言えないけどさ。
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