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その5『三角関係』編
第二話 プロファイラーの読み
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第二話 プロファイラーの読み
カンは三四四からの打四でソバテンになったニオイを消すために次巡偶然引いてきた三萬を空切りした。しかし、その時は親の左田から先制リーチが入っていてその捨て牌はこうだった。
左田捨て牌
白1二六36(リーチ)
つまり、三四というリャンメンターツを落とすなら、なぜ六の筋になっていて安全性の高い三萬の方から先に切り出さなかったのか? という矛盾が生じてしまったのである。
これによってメタとマキは
(カンちゃんの手出し三萬は空切りである可能性が高い。三四四からの四切りテンパイ後の三を空切りと考えれば二-伍待ちを本命と見ていいだろう)と読んでいた。まさに蛇足。する必要のない空切りをしたがゆえにそこを深く読み進められて待ちが看破されることは往々にしてある。
結局、この局はメタさんとマキも七対子の二萬単騎で追いついて4人テンパイ。全員テンパイで流局し、なぜこの二萬を止めれるのかの解説をメタさんがしてくれた。
「なるほど、たしかに。しくったな~。余計な空切りしちゃったか」とカンは苦笑いしながら後悔の言葉を漏らした。
自分の一手が裏目に出て、待ちまで看破されてしまったことに、軽い苛立ちと同時に感嘆の念すら抱いていたようだった。
俺はといえば、メタさんの解説を聞いても頭に靄がかかったようで、すぐには理解できなかった。結局、2回も説明してもらってようやく腑に落ちたのだが、その瞬間、このメンツのレベルの高さに改めて驚愕した。
メタさんはもちろんのこと、マキまでがこの二萬を捨てずに止めたのだ。親の左田のリーチに対する現物牌だぞ? よほどの確信がなければ、そんな選択はできないはずだ。
俺の頭では到底追いつけない領域の読み合いだった。
「とは言えさ、空切りしなかったとしても、それはそれでソバテンを警戒されてるよね。結局、どっちに転んでも何らかの痕跡は残っちまう。どこまでごまかせるかの勝負でしかないんだ」
「ごまかせるかの勝負……か」
「そう、プロファイラーを前にしたら、証拠を完全に消し去ることなんて不可能なんだよ。まるで犯罪捜査の現場みたいにね」
「プロファイラー?」
俺は思わず聞き返した。聞き慣れない言葉に首をかしげると、マキがニヤリと笑って口を開いた。
「知らない? プロファイリングってやつ。人の行動や癖から心理を読み解く技術だよ。何十年か前に少年ジャ◯プで心理捜査官の漫画が連載されてて、そこで一気に有名になったんだ。まあ、麻雀も似たようなモンよ。牌の切り方やタイミングで、相手の手の内を暴くってコト」
「なるほど……」
俺は麻雀の奥深さと、この卓を囲む面々の恐ろしいほどの洞察力に、ただただ圧倒されるしかなかった。
まるで牌を通して心の奥底まで見透かされているような感覚に背筋がぞくりとしたのだった。
第二話 プロファイラーの読み
カンは三四四からの打四でソバテンになったニオイを消すために次巡偶然引いてきた三萬を空切りした。しかし、その時は親の左田から先制リーチが入っていてその捨て牌はこうだった。
左田捨て牌
白1二六36(リーチ)
つまり、三四というリャンメンターツを落とすなら、なぜ六の筋になっていて安全性の高い三萬の方から先に切り出さなかったのか? という矛盾が生じてしまったのである。
これによってメタとマキは
(カンちゃんの手出し三萬は空切りである可能性が高い。三四四からの四切りテンパイ後の三を空切りと考えれば二-伍待ちを本命と見ていいだろう)と読んでいた。まさに蛇足。する必要のない空切りをしたがゆえにそこを深く読み進められて待ちが看破されることは往々にしてある。
結局、この局はメタさんとマキも七対子の二萬単騎で追いついて4人テンパイ。全員テンパイで流局し、なぜこの二萬を止めれるのかの解説をメタさんがしてくれた。
「なるほど、たしかに。しくったな~。余計な空切りしちゃったか」とカンは苦笑いしながら後悔の言葉を漏らした。
自分の一手が裏目に出て、待ちまで看破されてしまったことに、軽い苛立ちと同時に感嘆の念すら抱いていたようだった。
俺はといえば、メタさんの解説を聞いても頭に靄がかかったようで、すぐには理解できなかった。結局、2回も説明してもらってようやく腑に落ちたのだが、その瞬間、このメンツのレベルの高さに改めて驚愕した。
メタさんはもちろんのこと、マキまでがこの二萬を捨てずに止めたのだ。親の左田のリーチに対する現物牌だぞ? よほどの確信がなければ、そんな選択はできないはずだ。
俺の頭では到底追いつけない領域の読み合いだった。
「とは言えさ、空切りしなかったとしても、それはそれでソバテンを警戒されてるよね。結局、どっちに転んでも何らかの痕跡は残っちまう。どこまでごまかせるかの勝負でしかないんだ」
「ごまかせるかの勝負……か」
「そう、プロファイラーを前にしたら、証拠を完全に消し去ることなんて不可能なんだよ。まるで犯罪捜査の現場みたいにね」
「プロファイラー?」
俺は思わず聞き返した。聞き慣れない言葉に首をかしげると、マキがニヤリと笑って口を開いた。
「知らない? プロファイリングってやつ。人の行動や癖から心理を読み解く技術だよ。何十年か前に少年ジャ◯プで心理捜査官の漫画が連載されてて、そこで一気に有名になったんだ。まあ、麻雀も似たようなモンよ。牌の切り方やタイミングで、相手の手の内を暴くってコト」
「なるほど……」
俺は麻雀の奥深さと、この卓を囲む面々の恐ろしいほどの洞察力に、ただただ圧倒されるしかなかった。
まるで牌を通して心の奥底まで見透かされているような感覚に背筋がぞくりとしたのだった。
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