麻雀食堂−mahjong cafeteria−

彼方

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その5『三角関係』編

第四話 美味しい温度

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第四話 美味しい温度




 美咲が米をセットしてる間におれはじゃがいもを切ってた。皮むきしたじゃがいもを半分にし、切断面をまな板に下にして厚さ5ミリ程度に切る。




「美咲ー。ベーコンってあるっけ」

「ウインナーもベーコンもあるよ。どっちも期限今日までだから使うなら両方使っちゃって」

「OK」




 じゃがいもとベーコンとウインナーをフライパンで大雑把に炒める。炒める油にはオリーブオイルなんか使っちゃって。ちょっとオシャレ。火を通したら最後に上からバジルソルトをふりかけて、見た目も味も完成だ。




「ほれ! 完成、バジルソルトがオシャレで美味そうな感じにしてるだろ」

「わー! 絶対おいしいやつじゃん」

「麻雀と同じだな、見た目を良くしたら自然と味(打点)も良いものになる」

「でもお兄ちゃん料理作るの早すぎるよー、お米炊けるの25分後だよ!」

「これは……手順を間違えたか。先にサラダでも作れば良かったなぁ。温かいものを先に作るのは違ったわ」




 そう、料理には『美味しい温度』というのがある。とくに揚げ物などは出来たてに勝る美味はない。炒め物もどうせなら温め直すより出来たてのものを食べるべきだ。




「ま、せっかくだし、米は無いけど少しつまむか」

「そーね」




パク、モグモグモグモグモグモグ……

パク、モグモグモグモグモグモグ……




「「うっまーーーーーい!!」」

 

 いや、これはかなりうまい。ベーコンの焼き加減が絶妙で(まぐれ)塩味が移ったホクホクのじゃがいもも完璧と言える食感(これもまぐれ)になってて、ウインナーは普通にうまいし。エッ、俺は天才だった? 何となく作った料理でここまでのクオリティなものを作り出すやつってそうそう居なくない? と感動のあまりもう一口食った。うん! うますぎる。もう一口、止まらない。




「あーーー! お兄ちゃんまた食べてる! ダメだよ、ご飯炊けた時少なくなっちゃうじゃん! お母さんの分もあるんだからね!?」

「あっ、ヤベ。そーだった。今日の夕飯は帰ってくるんだっけ」

「そーだよ、もう! 明らかに足りないじゃん!」

「お、俺はふりかけで食べるから2人で分けていいよ」




 そう言って俺は冷蔵庫からキュウリとレタスとミニトマトを取り出してサラダを作ることにした。

 切るだけだ、誰でも出来る。とは言えミニトマトをうちの切れない包丁で切るにはコツがいるけどな。

 まず、持ち手の近くの包丁の角をミニトマトにプスッと刺して、そこから刃を入れると切りやすいんだ。そうしないと皮がうまく切れない。

 あと、レタスは包丁を使わない方がいい。あんなもんは手で千切れるんだから。

 むしろ包丁を使うと次第にレタスの色が悪くなり見た目が劣ってしまう。

 キュウリは包丁で小口切りに。スライサーを使ってもいいが、今は出すのが面倒だった。

 別にここは料理屋じゃない。家族で食べるための料理なんだから俺の切ったイビツな小口切りでいいだろ。太かったり、たまーにペラペラすぎて透けてるのとかあったり。そういうのも味ってもんだ。




 切り終えて大皿に盛ったあたりで『ピーーーー』と炊飯器が鳴る。炊き上がりの合図だ。  




「あっ、お兄ちゃん。いいものあったよ」




 そう言って美咲が冷蔵庫から取り出したのは炉端漬けだった。ナイス発掘。

 

────




「お母さん遅いね」

「そろそろ帰ってくんだろ。まあ先に食おう」

「そだね。じゃあ食べよっか」




「「いただきます!!」」




 俺はおかずをさっき食べたので炊きたてのご飯を冷蔵庫の奥にしまわれたまま忘れられてた期限ギリギリの炉端漬けと広島県産の小魚粉末ふりかけでいただいた。紙パックのパンプキンスープもサラダもあるし、充分だ。
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