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その5『三角関係』編
第伍話 気付きたくなかったこと
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第伍話 気付きたくなかったこと
その後、母さんが帰ってきて「おいしい! おいしい!」と食べてくれた。嬉しかった。と、同時にふと思い出した。あやのさんのこと。
(そう言えばあやのさんは俺がうまいうまいと食べる顔が好きみたいなこと言ってたな。……今ならわかる気がする。自分が作った料理を笑顔で食べてもらえたら嬉しいや。まして、あやのさんの場合はそれが丹精込めた自信作なわけだから尚更か)
俺は、この料理をもっと真剣に色々調べて作っていたら良かったと思った。そしたらあやのさんの気持ちももっと共感できたんじゃないかって。そう思うんだ。
「ごちそうさま! すごく美味しかったわ。ありがとう春人、美咲。……そう言えば春人は最近居間でボケ~っとゲームしてることなくなったわね。なんだかケータイばかり見て。彼女でもできた?」
す、鋭い。さすが母親だ。
「お母さん鋭いねー、そうなの。お兄ちゃんたら最近モテモテなのよー」
「えっ、やっぱりそうなの? ずいぶん遅く来たわねーモテ期」
「余計な事言うなよ美咲。モテモテって……2人同時に気に入られただけだよ。そんな何人もいるわけじゃない」
「ねね、それ何歳くらいの人? 写真とかないの?」
「あ~年齢はけっこう上……ひとりは写真あるな」
そう言って俺はメッセージアプリのアイコン画を見せた。あやのさんのアイコンは唐揚げだが、マキは海岸で撮影した自分の水着姿だ。この人は脱いでも自信があるってことだろう。事実、その写真はどう見ても20代後半か30前半のお姉さんにしか見えない。
「あら、若い子じゃない。ギャルっぽいけどそれがむしろ可愛いわね。いくつなの?」
「確か、45歳」
「ハァ!? えっ、これは若い頃の写真とか? 加工してる?」
「いつの写真かは知らないけど、いまもこうだよ。加工はしてないね」
「わた、わたしと、5歳しか違わないじゃないの。そんなバカな!」
「そういやそうか(気付きたくなかったなそれ)」
「美咲はお母さんもけっこーキレイだと思うよ~」
「美咲ありがと~。……じゃなくて! そんな高齢の彼女じゃ危険で子供産めないかもしれないわよ! いいの?」
「いいもなにも付き合ってないし。ただ、ちょっとイイ感じになってるってだけで」
「も、もう一人の方はいくつなの?」
「37って言ってたかな。7才の娘がいる」
「なんでそうなるのー」
母さんは困った顔をしていた。そんな事言われてもな。
「知らないよ、たまたまお互いに好きになって、その人が年上だっただけだし。俺に言われてもさ。それにこの人も俺と同い年くらいにしか見えないよ」
「そうなの? 美咲」
「そうだね。しっかりもののお姉さんって感じ。いつもシャンとしてて言葉遣い丁寧でステキだよ。私はどちらのお姉さんもイイ人だと思うけど」
「なら……いいか? 美咲がそう言うなら……」
美咲がなんとか母さんを落ち着かせると母さんは俺にあらためて聞いてきた。
「で、どっちが好きなの?」
わかんねえよそんなの。どっちもだよ。
第伍話 気付きたくなかったこと
その後、母さんが帰ってきて「おいしい! おいしい!」と食べてくれた。嬉しかった。と、同時にふと思い出した。あやのさんのこと。
(そう言えばあやのさんは俺がうまいうまいと食べる顔が好きみたいなこと言ってたな。……今ならわかる気がする。自分が作った料理を笑顔で食べてもらえたら嬉しいや。まして、あやのさんの場合はそれが丹精込めた自信作なわけだから尚更か)
俺は、この料理をもっと真剣に色々調べて作っていたら良かったと思った。そしたらあやのさんの気持ちももっと共感できたんじゃないかって。そう思うんだ。
「ごちそうさま! すごく美味しかったわ。ありがとう春人、美咲。……そう言えば春人は最近居間でボケ~っとゲームしてることなくなったわね。なんだかケータイばかり見て。彼女でもできた?」
す、鋭い。さすが母親だ。
「お母さん鋭いねー、そうなの。お兄ちゃんたら最近モテモテなのよー」
「えっ、やっぱりそうなの? ずいぶん遅く来たわねーモテ期」
「余計な事言うなよ美咲。モテモテって……2人同時に気に入られただけだよ。そんな何人もいるわけじゃない」
「ねね、それ何歳くらいの人? 写真とかないの?」
「あ~年齢はけっこう上……ひとりは写真あるな」
そう言って俺はメッセージアプリのアイコン画を見せた。あやのさんのアイコンは唐揚げだが、マキは海岸で撮影した自分の水着姿だ。この人は脱いでも自信があるってことだろう。事実、その写真はどう見ても20代後半か30前半のお姉さんにしか見えない。
「あら、若い子じゃない。ギャルっぽいけどそれがむしろ可愛いわね。いくつなの?」
「確か、45歳」
「ハァ!? えっ、これは若い頃の写真とか? 加工してる?」
「いつの写真かは知らないけど、いまもこうだよ。加工はしてないね」
「わた、わたしと、5歳しか違わないじゃないの。そんなバカな!」
「そういやそうか(気付きたくなかったなそれ)」
「美咲はお母さんもけっこーキレイだと思うよ~」
「美咲ありがと~。……じゃなくて! そんな高齢の彼女じゃ危険で子供産めないかもしれないわよ! いいの?」
「いいもなにも付き合ってないし。ただ、ちょっとイイ感じになってるってだけで」
「も、もう一人の方はいくつなの?」
「37って言ってたかな。7才の娘がいる」
「なんでそうなるのー」
母さんは困った顔をしていた。そんな事言われてもな。
「知らないよ、たまたまお互いに好きになって、その人が年上だっただけだし。俺に言われてもさ。それにこの人も俺と同い年くらいにしか見えないよ」
「そうなの? 美咲」
「そうだね。しっかりもののお姉さんって感じ。いつもシャンとしてて言葉遣い丁寧でステキだよ。私はどちらのお姉さんもイイ人だと思うけど」
「なら……いいか? 美咲がそう言うなら……」
美咲がなんとか母さんを落ち着かせると母さんは俺にあらためて聞いてきた。
「で、どっちが好きなの?」
わかんねえよそんなの。どっちもだよ。
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