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その7『家族』編
第伍話 新人教育
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第伍話 新人教育
髙橋彩乃はヤキモキしていた。原因はもちろん乾春人である。
(ハルト君からメッセージこないなー。昨日は私から『おやすみ』のメッセージ入れたんだから今日は先にあっちからメッセージ送ってきたりしてくれないかなー。『おはよう』だけでもいいのにな)と思っていたが、ふと思い出した。そうだ、契約その3だ!
その3 ハルトからのアプローチは嫉妬の原因になるので基本的にハルトは受け身で。と書いた。
(そうか、ハルト君は受け身にならなきゃいけないからそれを忠実に守ってるんだ、きっとそうだ)
それなら仕方ない。という事にすぐ気付けて良かった。朝っぱらからいつまでも連絡を待ってヤキモキするとこだった。
お昼休みあたりでまた私からメッセージでも送っておこう。『こんにちは』だけでもいいわけだし。
(……そっかー。ハルト君が契約書の通りにしてるってことは、なんか「好きです!」とか「付き合って下さい!」みたいな青春イベントは無いまんま私たちの付き合いは既に始まったんだ……。なんか、え? もうこれ始まったの? て感じね。まあ、青春イベントを求めるような年齢ではないわけだけど。……でも、ハルト君はどうなのかしら。こんな始まり方の付き合いでいいのかなー)
◆◇◆◇
一方、ハルトは特に気にしておらず。契約書に書いてある三人のルールを守ることだけ注意していた。
気にするしないとかよりハルトは仕事で忙しかったのだ。
(はー、新人教育って初めてやるけどかなり大変だな。しかも女子っていうのがまたな。同性にやらせてくれよと思う所だが、まあ、うちの会社は女性社員が極端に少ないからな。1人だけ適任な人はいるにはいるけど、今は産休ときてる。仕方ないかあ)
「乾先輩! おはようございますっ!」
「あ、ああ。品川さんおはよう。身体の具合はもう大丈夫なのかい」
「はい! ご迷惑おかけしました! こちら、ご迷惑おかけしたお詫びとしてお持ちしました! 皆さんで召し上がって下さいっっ!」
「そんな、いいのに。ありがとうね。じゃあそこのテーブルにあけておこう」
品川愛はベテラン兵隊社畜のような後輩である。これで見た目は女子高生のようにしか見えない幼さがあるからギャップがすごすぎる。俺だってここまでキチッとしてないのにこれに教育しろというのは荷が重すぎて大変だ。毎日背筋が伸びる思いである。
(はぁ、しかも先輩を立てるとか、上司を立てるとかもできるコだからな、俺のミスを注意してくれる方がまだいくらかマシだよ……)
昼頃にあやのさんから『こんにちは』とメッセージが来ていたがまだやる仕事がありすぎて返事を考えることもできなかった。
「乾先輩! どうかしましたか!」
「いや、なんでもないんだ」
──
────
ハルトはあやのやマキの存在を心の支えにしつつ、品川愛の体育会系社畜パワーに圧倒されながら一日を乗り切った。
「先輩! お疲れ様っす! お先に失礼します!」
「ああ、お疲れ様」
つ、疲れる……。軍人女(?)との仕事は疲れる。
新人教育という名の俺への試練じゃねーかよこれ!
これが、疲労困憊ってやつかぁ。
◆◇◆◇
「ハルト君からお返事こないな~……」
「アタシにも来ないんだけど!」
「………………」
「……ねえ」
「ん?」
「アタシたち、振られたの?」
「え、それは許さない」
その日、ハルトは誰にも連絡もせず、真っ直ぐに帰り『雀ソウル』を東風1戦だけやると、その後は泥のように眠った。
第伍話 新人教育
髙橋彩乃はヤキモキしていた。原因はもちろん乾春人である。
(ハルト君からメッセージこないなー。昨日は私から『おやすみ』のメッセージ入れたんだから今日は先にあっちからメッセージ送ってきたりしてくれないかなー。『おはよう』だけでもいいのにな)と思っていたが、ふと思い出した。そうだ、契約その3だ!
その3 ハルトからのアプローチは嫉妬の原因になるので基本的にハルトは受け身で。と書いた。
(そうか、ハルト君は受け身にならなきゃいけないからそれを忠実に守ってるんだ、きっとそうだ)
それなら仕方ない。という事にすぐ気付けて良かった。朝っぱらからいつまでも連絡を待ってヤキモキするとこだった。
お昼休みあたりでまた私からメッセージでも送っておこう。『こんにちは』だけでもいいわけだし。
(……そっかー。ハルト君が契約書の通りにしてるってことは、なんか「好きです!」とか「付き合って下さい!」みたいな青春イベントは無いまんま私たちの付き合いは既に始まったんだ……。なんか、え? もうこれ始まったの? て感じね。まあ、青春イベントを求めるような年齢ではないわけだけど。……でも、ハルト君はどうなのかしら。こんな始まり方の付き合いでいいのかなー)
◆◇◆◇
一方、ハルトは特に気にしておらず。契約書に書いてある三人のルールを守ることだけ注意していた。
気にするしないとかよりハルトは仕事で忙しかったのだ。
(はー、新人教育って初めてやるけどかなり大変だな。しかも女子っていうのがまたな。同性にやらせてくれよと思う所だが、まあ、うちの会社は女性社員が極端に少ないからな。1人だけ適任な人はいるにはいるけど、今は産休ときてる。仕方ないかあ)
「乾先輩! おはようございますっ!」
「あ、ああ。品川さんおはよう。身体の具合はもう大丈夫なのかい」
「はい! ご迷惑おかけしました! こちら、ご迷惑おかけしたお詫びとしてお持ちしました! 皆さんで召し上がって下さいっっ!」
「そんな、いいのに。ありがとうね。じゃあそこのテーブルにあけておこう」
品川愛はベテラン兵隊社畜のような後輩である。これで見た目は女子高生のようにしか見えない幼さがあるからギャップがすごすぎる。俺だってここまでキチッとしてないのにこれに教育しろというのは荷が重すぎて大変だ。毎日背筋が伸びる思いである。
(はぁ、しかも先輩を立てるとか、上司を立てるとかもできるコだからな、俺のミスを注意してくれる方がまだいくらかマシだよ……)
昼頃にあやのさんから『こんにちは』とメッセージが来ていたがまだやる仕事がありすぎて返事を考えることもできなかった。
「乾先輩! どうかしましたか!」
「いや、なんでもないんだ」
──
────
ハルトはあやのやマキの存在を心の支えにしつつ、品川愛の体育会系社畜パワーに圧倒されながら一日を乗り切った。
「先輩! お疲れ様っす! お先に失礼します!」
「ああ、お疲れ様」
つ、疲れる……。軍人女(?)との仕事は疲れる。
新人教育という名の俺への試練じゃねーかよこれ!
これが、疲労困憊ってやつかぁ。
◆◇◆◇
「ハルト君からお返事こないな~……」
「アタシにも来ないんだけど!」
「………………」
「……ねえ」
「ん?」
「アタシたち、振られたの?」
「え、それは許さない」
その日、ハルトは誰にも連絡もせず、真っ直ぐに帰り『雀ソウル』を東風1戦だけやると、その後は泥のように眠った。
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