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その8『新しい生活』編
第六話 超一流の定義
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第六話 超一流の定義
久しぶりに打ったリアル麻雀はすごく楽しかった。目線、呼吸、仕草、動作、振る舞い、ほんのさり気ない発言、それら全てが読みの情報になるリアルの対決はネットの麻雀では味わえない面白さがある。あ、もちろん、そんな高度な読みは俺はまだ出来てないよ、でも『読まれた理由』がそれだってこと。そこが面白い。
例えばさ、こんな事があったんだ。3巡目にドラ3赤1の跳満級リャンメンテンパイしてリーチした時。
「ンーー。全然わかんないしどうしたモンかな~」とマキが言うからつい
「こんなのはただの大ラッキーだから、当たったら事故ですよねー」みたいなこと言っちゃったんだよね。なんで俺は『大ラッキー』なんて言っちまったんだろ。その発言に注目して、そこから細かく答えを紐解いたのがその時に親番のメタさんだ。
メタさんは俺のこのうかつな発言をこう読み取った。
(大ラッキー……リーチのみで使う言葉じゃないな。まず間違いなく勝負手だ。8000以上は必ずある。リャンメンテンパイ以上の可能性も大だろう。親のおれはツモられても6000支払いとかになる可能性が高いと読める。じっくり作って大物手で反撃を、と考えていたがそうもいかないらしい)
という思考が働いてメンゼンなら12000級が余裕でイメージできる手をリャンメンチー。結果、2900点でかわされたんだ。
これ、喋ってなかったら結果は違ったかもと考えるとすごく面白くないか? リアル麻雀の深さを感じるだろう?
そう、上手い人は喋りひとつ取っても隙がまるでないんだよね。手牌に関することは全くと言っていい程喋らない。割といろんなことをペラペラ喋ってるくせにだよ?(メタさんのこと)
「そう言えばさ、先日お手伝いに来てくれた財前さん、だっけ。あの人は何者なんですか。どっかで最近見たとこある気がするんですけど」
「ん? カオリちゃんのこと? 麻雀プロだよ。知らないかな『財前姉妹』って」
「あっ! わかった、思い出しました! 月刊マージャン部の巻頭で特集されてた人だ! あー、どーりで見たことあるなと思いましたよ」
「先月号の巻頭だったよね。今月号でもセンターカラーで取り上げられてるよ。ほら」
そう言ってあやのさんは今月の月刊マージャン部を見せてくれた。発売日は今日だ。俺も買わなきゃ。
「本当だ。すごい人だったんだね」
「いやぁ~でもカオリもまだまだだな」とメタさんが言ってきた。
「なんで? カオリちゃんは凄いじゃない」
「いや、まだまだだ。一般人に知られてこそ超一流ってもんだ。カオリは結果を出してきたかもしれないが。未だ『超』が付くほどではないということだ」
「アンタが言う権利あんの? アンタこそ頑張れば良かったのよ」とマキが鋭くツッコんだ。
「そりゃそうだ」
ハハハハハハ!! とメタさんは豪快に笑った。
「ロンよ。跳満。笑ってるとこ悪いけど、軽く逆転ね」
「げ!」
「メタはすーぐ気ぃ抜くんだから。悪い癖よね」
「んー、気ぃ抜いたつもりはないんだけどな。おれは話しながら本気出せるんだよ」
「ラスだけど?」
「うっせ。本気出しても負けたの!」
それは多分本当で、実際メタさんは喋りながらでも安全牌の切り順ひとつ間違えないし、しっかりダマテンにも対応する。まったくどういう脳をしているのか。常人には真似できない事だと思う。
マキの言う通り、メタさんは超一流として世間に認知されていいレベルの、そんな才能を持つ雀士だったのかもしれない。そんな事を思った。
第六話 超一流の定義
久しぶりに打ったリアル麻雀はすごく楽しかった。目線、呼吸、仕草、動作、振る舞い、ほんのさり気ない発言、それら全てが読みの情報になるリアルの対決はネットの麻雀では味わえない面白さがある。あ、もちろん、そんな高度な読みは俺はまだ出来てないよ、でも『読まれた理由』がそれだってこと。そこが面白い。
例えばさ、こんな事があったんだ。3巡目にドラ3赤1の跳満級リャンメンテンパイしてリーチした時。
「ンーー。全然わかんないしどうしたモンかな~」とマキが言うからつい
「こんなのはただの大ラッキーだから、当たったら事故ですよねー」みたいなこと言っちゃったんだよね。なんで俺は『大ラッキー』なんて言っちまったんだろ。その発言に注目して、そこから細かく答えを紐解いたのがその時に親番のメタさんだ。
メタさんは俺のこのうかつな発言をこう読み取った。
(大ラッキー……リーチのみで使う言葉じゃないな。まず間違いなく勝負手だ。8000以上は必ずある。リャンメンテンパイ以上の可能性も大だろう。親のおれはツモられても6000支払いとかになる可能性が高いと読める。じっくり作って大物手で反撃を、と考えていたがそうもいかないらしい)
という思考が働いてメンゼンなら12000級が余裕でイメージできる手をリャンメンチー。結果、2900点でかわされたんだ。
これ、喋ってなかったら結果は違ったかもと考えるとすごく面白くないか? リアル麻雀の深さを感じるだろう?
そう、上手い人は喋りひとつ取っても隙がまるでないんだよね。手牌に関することは全くと言っていい程喋らない。割といろんなことをペラペラ喋ってるくせにだよ?(メタさんのこと)
「そう言えばさ、先日お手伝いに来てくれた財前さん、だっけ。あの人は何者なんですか。どっかで最近見たとこある気がするんですけど」
「ん? カオリちゃんのこと? 麻雀プロだよ。知らないかな『財前姉妹』って」
「あっ! わかった、思い出しました! 月刊マージャン部の巻頭で特集されてた人だ! あー、どーりで見たことあるなと思いましたよ」
「先月号の巻頭だったよね。今月号でもセンターカラーで取り上げられてるよ。ほら」
そう言ってあやのさんは今月の月刊マージャン部を見せてくれた。発売日は今日だ。俺も買わなきゃ。
「本当だ。すごい人だったんだね」
「いやぁ~でもカオリもまだまだだな」とメタさんが言ってきた。
「なんで? カオリちゃんは凄いじゃない」
「いや、まだまだだ。一般人に知られてこそ超一流ってもんだ。カオリは結果を出してきたかもしれないが。未だ『超』が付くほどではないということだ」
「アンタが言う権利あんの? アンタこそ頑張れば良かったのよ」とマキが鋭くツッコんだ。
「そりゃそうだ」
ハハハハハハ!! とメタさんは豪快に笑った。
「ロンよ。跳満。笑ってるとこ悪いけど、軽く逆転ね」
「げ!」
「メタはすーぐ気ぃ抜くんだから。悪い癖よね」
「んー、気ぃ抜いたつもりはないんだけどな。おれは話しながら本気出せるんだよ」
「ラスだけど?」
「うっせ。本気出しても負けたの!」
それは多分本当で、実際メタさんは喋りながらでも安全牌の切り順ひとつ間違えないし、しっかりダマテンにも対応する。まったくどういう脳をしているのか。常人には真似できない事だと思う。
マキの言う通り、メタさんは超一流として世間に認知されていいレベルの、そんな才能を持つ雀士だったのかもしれない。そんな事を思った。
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