麻雀食堂−mahjong cafeteria−

彼方

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その8『新しい生活』編

第七話 大都会とは

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第七話 大都会とは




 今日は3人のその後の生活についてしっかり話し合おうという事になり、俺はマキと一緒に新居にいた。ちなみに、あやのさんは今日は来れない。




 あと、これは車を持ってない俺の誤算だったのだが、俺の利用してる鉄道はウネウネと線路が入り組んでいて直線が少ない。

 鉄道による時間的中間地点というエリアを新居に選んだのだが、実際の距離的にはあやの食堂は新居からそんなに遠くなく、運転免許のあるあやのさんやマキは来やすい場所であったことが判明したのだ。つまり、嬉しい誤算。

 なんなら気合いを入れれば電動アシスト自転車でも来れるかもしれない。いや、それは少しきついかな。




「ねえ、ハルトは免許持ってないの?」

「あるよ、原付きのやつなら(もう乗ってないけど)」

「麻雀打てるか聞いたら出来るよと言われた後に点数計算は出来ませんけどと明かされた気分だワ」

「高レートの高速道路には入れません、的な」

「いい得て妙」




 俺は自動車免許を持つ人がすごく多いことについてけっこう違和感を感じてる。

 免許なんか取得するだけでやたらお金がかかるし、車を買うとなると大変な金額だし、駐車場や維持費もかなりするだろ? なのになぜそんなにも自動車免許を取ろうとするんだ。ド田舎だというならわかる。だが、ここは仮にも都内だ。交通機関は豊富にある。そして駐車場は高い。車の免許、本当に必要かなぁ? 原付きならバイク本体も維持費も免許も安いから取るのわかるんだけどさ。




 その件についてマキに聞いてみた。すると……

「出身地は気仙沼けせんぬまなの。宮城県気仙沼市。車が無きゃ仕事どころかコンビニにも行けなかったよ。そういうのが嫌になって東京来ちゃったのよね~」




「そうなんだ。そう言えば出身地とか知らなかったなー。あやのさんはここらへんに子供の頃からいたみたいなこと言ってたけど」




「ハルトのお国はどこなの?」

「生まれは千葉。千葉県の八千代市八千代台やちよしやちよだいって所。都会とも田舎とも違う丁度いいくらいの街だったように思う。お店もあるし、山もある。親の仕事の関係で小さい頃こっちに来たからあまり覚えてないんだけど」

「へぇ。都市レベルでいうとどのくらい?」

「埼玉県なら所沢ところざわ市とか、都内なら練馬区とか板橋区とかに近かったかな。暮らすには丁度な感じ」

「ここより都会じゃん」

「かもしれません」

「シティボーイだ」

「それは言い過ぎ」

 するとマキはふーやれやれ、と言わんばかりの動作で呆れ顔でこちらを見た。

「気仙沼の人間から見たら大都会なのよ。だってハルトはタクシーを拾うものだと思ってるでしょ」

「……? タクシーは拾うもの……まあ、そうだね」

「田舎モンはタクシー拾うなんて言葉知らないの。巡回してないから。田舎ではタクシーは『呼ぶ』ものなのよ。必ずね」




 なるほど、と思った。




「じゃあこのあたりはタクシー拾えるから……」

「大都会よね」

「そっか」




 何の話をしに集まったんだっけ。

 まあ俺の知らないマキのことを知れて良かった。その日はくだらない話ばかりしてたけど、それこそが新婚生活っぽいよな、とも思った。







 





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