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その8『新しい生活』編
第八話 それから
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第八話 それから
マキとは話し合った結果、子供は作らないということに決まった。45歳でも健康的な子供を出産できる可能性はできるできないで比較すればできる寄りで、成功の%だけを考えれば充分高い成功率があると言える。
だがリスクの高さは若い子の比ではないし、そもそも子供を欲しいという気持ちはマキにはとくになかった。ただ生きる時間を共にする、楽しい恋人が欲しい。そういうことらしい。
「だからずっと一緒にいてね~♡」
「わかった」
あやのさんは「私は子供を作るのもいいし、できないならそれはそれでいい。自然に任せましょう」と言った。
自然を愛するあやのさんらしい答えだった。
俺も、あやのさんのように自然の流れに身を投じるような爽やかな生き方でありたい。
──────
────
──
俺の生活が一変する出会いがあったあの初夏の日から2年の歳月が流れた。
美咲は今日『日本プロ麻雀師団』のプロテストを受けに行く。美咲なら間違いなく合格するだろう。これからは女流麻雀プロと作家の二足の草鞋というわけだ。こんな格好いい妹を持って兄として誇らしい。
メタさんはプロ麻雀界にプラスアルファリーグのチーム監督として復帰していた。選手時代に稼いだ貯金も底をつきそうなのでジュンコさんに仕事を与えてもらえないかと頼んだ結果こうなったらしい。選手をやめてから今までは何をやっていたんだろう?
ジュンコさんは同世代のライバルだった早坂公子プロと組んで『左田早坂のマージャン愛好クラブ』という番組を作った。これが地味に人気があり、それによって発生したグッズや書籍も好評で、生活するには十分な売り上げを出していた。
とても楽しそうな番組で、こんなに笑顔で働いて稼ぎになるなんて羨ましいなと思う。
カンはとくに変化せずいつも通りだ。最近ヒゲがのびるのが早くなってきたのが悩みだとか。そう言えばヒゲって20代前半の頃は4日に一度剃ればいい程度のものだったのに、いつの間にか毎日剃る必要があるようになってたな。あれはなんなんだろう。
「ヒゲを毎日剃るようになったのも、手の油が減ってビニール袋をあけにくくなったのも成長なんだろうか」とカンは最近の悩みをSNSで呟いてた。悩み、小さくていいな。
俺はと言うと、教育していたはずの品川愛に抜かれ品川の部下になっていた。
新人時代から感じていた事だが、この女はやり手だ。だからって同じ部署で上司にならなくてもいいじゃないか。仕事へのモチベーションなど最初から特にない俺はこの頃さらに仕事が嫌になっていた。
品川は俺を気に入ってくれてるが嬉しくない。自分の部下が上司になった時の男の気持ちがわかるもんか。
俺は俺なりに真面目に働いていたんだ。真面目だけが取り柄だから。
自分のやる気が失われて行くのを感じていた――
第八話 それから
マキとは話し合った結果、子供は作らないということに決まった。45歳でも健康的な子供を出産できる可能性はできるできないで比較すればできる寄りで、成功の%だけを考えれば充分高い成功率があると言える。
だがリスクの高さは若い子の比ではないし、そもそも子供を欲しいという気持ちはマキにはとくになかった。ただ生きる時間を共にする、楽しい恋人が欲しい。そういうことらしい。
「だからずっと一緒にいてね~♡」
「わかった」
あやのさんは「私は子供を作るのもいいし、できないならそれはそれでいい。自然に任せましょう」と言った。
自然を愛するあやのさんらしい答えだった。
俺も、あやのさんのように自然の流れに身を投じるような爽やかな生き方でありたい。
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俺の生活が一変する出会いがあったあの初夏の日から2年の歳月が流れた。
美咲は今日『日本プロ麻雀師団』のプロテストを受けに行く。美咲なら間違いなく合格するだろう。これからは女流麻雀プロと作家の二足の草鞋というわけだ。こんな格好いい妹を持って兄として誇らしい。
メタさんはプロ麻雀界にプラスアルファリーグのチーム監督として復帰していた。選手時代に稼いだ貯金も底をつきそうなのでジュンコさんに仕事を与えてもらえないかと頼んだ結果こうなったらしい。選手をやめてから今までは何をやっていたんだろう?
ジュンコさんは同世代のライバルだった早坂公子プロと組んで『左田早坂のマージャン愛好クラブ』という番組を作った。これが地味に人気があり、それによって発生したグッズや書籍も好評で、生活するには十分な売り上げを出していた。
とても楽しそうな番組で、こんなに笑顔で働いて稼ぎになるなんて羨ましいなと思う。
カンはとくに変化せずいつも通りだ。最近ヒゲがのびるのが早くなってきたのが悩みだとか。そう言えばヒゲって20代前半の頃は4日に一度剃ればいい程度のものだったのに、いつの間にか毎日剃る必要があるようになってたな。あれはなんなんだろう。
「ヒゲを毎日剃るようになったのも、手の油が減ってビニール袋をあけにくくなったのも成長なんだろうか」とカンは最近の悩みをSNSで呟いてた。悩み、小さくていいな。
俺はと言うと、教育していたはずの品川愛に抜かれ品川の部下になっていた。
新人時代から感じていた事だが、この女はやり手だ。だからって同じ部署で上司にならなくてもいいじゃないか。仕事へのモチベーションなど最初から特にない俺はこの頃さらに仕事が嫌になっていた。
品川は俺を気に入ってくれてるが嬉しくない。自分の部下が上司になった時の男の気持ちがわかるもんか。
俺は俺なりに真面目に働いていたんだ。真面目だけが取り柄だから。
自分のやる気が失われて行くのを感じていた――
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