あの視線の主人【高校〜のストーリー】

kouji

文字の大きさ
7 / 67

直との昼休み

しおりを挟む
昼休み。
 いつものように、中庭のベンチに座って、結人はパンを頬張っていた。

 「なあ、それで先生、マジで間違えてないって言ったの?」

 隣で笑いながら話すのは、クラスメイトの橘 直。
 明るくて、誰にでも気さくなタイプだ。
 結人がこの学校で、自然体で話せる唯一の相手だった。

 「うん。正しいと思ったのに……」

 「いや、合ってただろあれは。」

 直は肩を揺らして笑い、結人もつられて小さく笑った。
 そんな時間が、ただ穏やかに過ぎていく。

 二階の廊下、窓辺。
 その光景を見下ろす一人の影があった。

 神谷徹。

 口元に何の感情も浮かべず、ただじっと中庭を見つめていた。
 
 その視線の先。
 ベンチで笑い合う結人と直。
 肩が触れそうなくらい近く、時折、頭を寄せて話している。

 結人が軽く笑って、パンのかけらを直に押しつける。
 それを払いながら、直がふざけて笑い返す。

 徹の瞳は、わずかに細められ、唇をきつく噛んだ。


 階段の踊り場から、その背中を見ていた女子生徒が、
 隣にいた友人に小声でささやく。

 「……徹先輩、あんな怖い顔するの初めて見た。
 告白する女子は多いけど彼女は作らないところが
 ミステリアスで好きなんだけど、、、」

 「誰か好きな人でもいるのかな」

 「やめてよ、私たちの徹先輩なんだから」

 徹のただならぬ様子を見て、
 二人はその場からすぐに離れていった。

 結人がふと視線を上げる。
 二階の窓。
 影のように立つ人影が徹と気がつき、
 頭をペコリと下げる。

 けれど、徹は動かなかった。

 「あれ、、、僕に気がついていないのかな」

 結人は軽く考えてその場を後にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヒーロー組織のサポートメンバーになりました!

はちのす
BL
朝起きたら、街はゾンビだらけ!生き残りたい俺は、敵に立ち向かうヒーロー組織<ビジランテ>に出逢った。 ******** 癖の強いヒーロー達の"心と胃の拠り所"になるストーリー! ※ちょっとイチャつきます。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

病弱の花

雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

処理中です...