あの視線の主人【高校〜のストーリー】

kouji

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結人大学に入り

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 徹はスマホをじっと見つめたまま、ソファに沈み込んでいた。

 「……なにが、そんなに楽しいの」

 結人のSNSに載っていた集合写真。
 男女数人で写っているなか、結人は端の方で笑っていた。

 それだけだった。
 ただそれだけのはずだった。

 でも胸がざわつく。

 高校までは簡単だった。
 会いたいときに迎えに行き、見たければ学校に現れればよかった。
 勉強を見てやる口実で触れることも、何かを教えるふりで傍にいることもできた。

 でも、今は違う。

 結人には友達がいて、予定があって、自分の知らない“日常”がある。


 (どうして……僕のいない時間に、あんな風に笑えるんだ)

 画面に浮かぶ結人の笑顔が、別人のものに見えた。

 徹は立ち上がり、結人のTシャツを手に取った。
 柔軟剤の匂いと、微かに残る体温のような温もり。

 喉が鳴った。

 (――君が笑っていいのは、僕の前だけでいい)

 誰にも言えない。
 この感情は“先輩”のふりでは包めない。

 けれど徹は思う。

 (……また、僕の部屋に来るよね?)

 (そのときには、ちゃんと、思い出してもらう)

 誰のものなのかを。
 誰が先に、君を見つけていたのかを。
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