あの視線の主人【高校〜のストーリー】

kouji

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偶然❓

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夏の終わり、大学サークルの合宿。
 海沿いの宿に響く笑い声の中で、結人はどこか浮かれていた。

 「結人~、ほら、もうすぐ夕飯だぞ」

 浴衣姿のはるとが、軽く手を引いてくる。
 ふわっと香る上品な香水の匂い。整った横顔。
 誰が見ても目を引く存在が、結人の隣に自然と立っていた。

 「先輩、なんかテンション高くないですか」

 「結人がいるからでしょ?」

 茶化すように笑って、はるとは結人の肩に腕を回す。
 誰もが笑っている中、その距離感にだけは、どこかざわつく視線があった。

 夜。
 部屋割りは二人部屋。はるとの強い推しで結人は同室だった。

 「なあ、結人。俺、ちょっとドキドキしてるんだけど……」

 「え、なんでですか」

 「好きな結人と同じ部屋だから」

 ベッドに背中を預けたはるとが、真顔でそんなことを言った。
 その瞬間、結人の胸が跳ねた。

 徹とは違う。
 隠さない好意。触れてくる手。笑ってくれる顔。
 それが、嬉しいとすら思ってしまった。

 はるとは結人の髪にそっと触れ、額に軽く唇を落とす。
 そのまま、おでこを預けるように寄りかかってきた。
 はるとは、慎重に優しく結人の肌に手を滑らせた。

 「あ‥」

 結人の声が漏れる。


 翌日。
 海辺の休憩所でジュースを飲んでいた結人の前に、ひとりの男が現れた。

 「……結人」

 視線を上げた瞬間、息が止まった。
 そこにいたのは、見慣れた明るい茶色のサラサラの髪と、整った顔立ち。

 「先、輩……?」

 神谷徹だった。
 ラフなシャツとスラックス姿、
 靴は高級な革靴。
 その場の空気が一瞬で変わる。

 「たまたま、近くで学会があってね。君がこの辺りに来てるって聞いて、
 少し寄ってみただけ」

 結人ははるとの前でとても慌てた。
 そんな結人の様子に気がつき、はるとが徹の前に動いた。

 「こんにちは。先輩……ですよね、結人くんの」

 徹はゆっくりと振り向き、いつもの丁寧な微笑を浮かべる。

 「相馬はるとくん、だね。いつも結人がお世話になっているようで、、
 ありがとう」

 その笑顔に、なぜか寒気が走った。
 視線は笑っていない。静かに、深く、相馬を刺していた。

 「結人。帰りは、僕が送っていくよ。……構わないよね?」

 「え……」

 結人ははるとを上目遣いで見上げた。
 しかし、
 結人は戸惑いながらも、小さくうなずいた。

 「じゃあ……はい」

 高級な黒色のセダンの車にむけ、
 結人は徹に手を引かれながら歩く。
 その瞬間、静かだった空気に、ひとつだけ確かな“支配”の温度が宿った。
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