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徹の部屋で 徹の視線
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鍵が回る音を聞いたときから、わかっていた。
今日の結人は、何かを隠している。
微かな間。曖昧な笑顔。
視線が合っても、すぐに逸らされる。
あの子特有の、無自覚な揺らぎ、、、けれど、俺にはわかる。
(好きな人でも、できたのか)
それが誰なのか、まだ知らない。
でも、確実に俺以外の何かに心が触れた。その気配だけは、鋭く感じ取れる。
食事をしている間も、結人の口数は少なかった。
食器を片付ける手つきはいつも通り。けれど、動きがほんの少し遅い。
ソファに並んで座ったとき、抱えたクッションのせいで、
距離があるように見えた。
(違和感なんて、気のせいで済ませられるほど、俺は鈍感じゃない)
タブレットを置いたのは、計算ではない。
もう、我慢できなかっただけだ。
「結人、こっち」
声をかけると、素直に寄ってくる。
肩と肩が触れる。けれど、その身体の奥が、
まだ俺だけを向いているとは言えない。
「……ほんとは、迷惑じゃないですか?」
ぽつりと落ちた言葉に、胸が軋んだ。
そんなことを言うのは、自分を責めている証拠だ。
あるいは、他の誰かを意識しはじめている証拠。
「迷惑? そんなふうに思ってるの、君だけだよ。……俺にとって、
君が来る日は、唯一の休息なんだから」
それは、偽りのない本音だった。
俺が唯一、感情を取り戻せるのは、君といるときだけなんだ。
唇を重ねる。
ふわりとした接触から、一気に熱を流し込む。
柔らかな舌を絡め取り、息のすべてを奪っていく。
この口は俺のもの。
この喉、この声、この体温、この脈動――
すべて俺が知っている。誰にも渡さない。
結人の膝に手を添えると、細い太ももがわずかに逃げようとした。
けれど、それは拒絶ではなく、ためらいに近い。
「やだ?」
答えは――「……いえ、別に……」
笑みが滲む。
まだ、俺だけを受け入れている。
だったら、再確認しておこう。
この身体が、どれだけ俺の触れ方を覚えているかを。
シャツの裾をめくる。
白い肌に指を滑らせる。
ぴくりと震え、息が漏れた。
「くすぐったい……」
かわいい。まだ俺のためだけに反応している。
だったら――もっと奥まで、もっと深くまで、俺を染み込ませたい。
「……やめなくていいです」
その許しの声に、心の奥が熱く疼く。
言葉より、行動で証明する。
おまえがまだ俺のものだってことを、体に、骨に、記憶に刻む。
肋骨をなぞり、脇腹に舌を這わせる。
背をそっと押し倒し、唇を胸元に落としていく。
結人の瞳が潤んで、俺を見上げる。
(他の誰かを思う暇なんて、与えない)
この夜が終わるころには、またおまえは俺だけを見ている。
他の影なんて、全部忘れて。
そのために、俺は今夜、おまえを壊すほど愛すつもりだった。
今日の結人は、何かを隠している。
微かな間。曖昧な笑顔。
視線が合っても、すぐに逸らされる。
あの子特有の、無自覚な揺らぎ、、、けれど、俺にはわかる。
(好きな人でも、できたのか)
それが誰なのか、まだ知らない。
でも、確実に俺以外の何かに心が触れた。その気配だけは、鋭く感じ取れる。
食事をしている間も、結人の口数は少なかった。
食器を片付ける手つきはいつも通り。けれど、動きがほんの少し遅い。
ソファに並んで座ったとき、抱えたクッションのせいで、
距離があるように見えた。
(違和感なんて、気のせいで済ませられるほど、俺は鈍感じゃない)
タブレットを置いたのは、計算ではない。
もう、我慢できなかっただけだ。
「結人、こっち」
声をかけると、素直に寄ってくる。
肩と肩が触れる。けれど、その身体の奥が、
まだ俺だけを向いているとは言えない。
「……ほんとは、迷惑じゃないですか?」
ぽつりと落ちた言葉に、胸が軋んだ。
そんなことを言うのは、自分を責めている証拠だ。
あるいは、他の誰かを意識しはじめている証拠。
「迷惑? そんなふうに思ってるの、君だけだよ。……俺にとって、
君が来る日は、唯一の休息なんだから」
それは、偽りのない本音だった。
俺が唯一、感情を取り戻せるのは、君といるときだけなんだ。
唇を重ねる。
ふわりとした接触から、一気に熱を流し込む。
柔らかな舌を絡め取り、息のすべてを奪っていく。
この口は俺のもの。
この喉、この声、この体温、この脈動――
すべて俺が知っている。誰にも渡さない。
結人の膝に手を添えると、細い太ももがわずかに逃げようとした。
けれど、それは拒絶ではなく、ためらいに近い。
「やだ?」
答えは――「……いえ、別に……」
笑みが滲む。
まだ、俺だけを受け入れている。
だったら、再確認しておこう。
この身体が、どれだけ俺の触れ方を覚えているかを。
シャツの裾をめくる。
白い肌に指を滑らせる。
ぴくりと震え、息が漏れた。
「くすぐったい……」
かわいい。まだ俺のためだけに反応している。
だったら――もっと奥まで、もっと深くまで、俺を染み込ませたい。
「……やめなくていいです」
その許しの声に、心の奥が熱く疼く。
言葉より、行動で証明する。
おまえがまだ俺のものだってことを、体に、骨に、記憶に刻む。
肋骨をなぞり、脇腹に舌を這わせる。
背をそっと押し倒し、唇を胸元に落としていく。
結人の瞳が潤んで、俺を見上げる。
(他の誰かを思う暇なんて、与えない)
この夜が終わるころには、またおまえは俺だけを見ている。
他の影なんて、全部忘れて。
そのために、俺は今夜、おまえを壊すほど愛すつもりだった。
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