バックパックガールズ ~孤独なオタク少女は学園一の美少女たちの心を癒し、登山部で甘々な百合ハーレムの姫となる~

宮城こはく

文字の大きさ
61 / 133
第四章「陽を見あげる向日葵のように」

第四話「可愛い制服に身を包んで」

しおりを挟む
 いよいよやってきた土曜日。
 今日は千景さんのお母さんのお店で、一日限定のアルバイトだ。
 開店前のお店に集合した私たちは、さっそくお店の制服に着替えていた。

 制服と言えば、千景さんが来ていたものと同じエプロンドレス風の制服だ。
 お腹あたりをコルセットで絞っているので、胸と腰のふくらみが目立って少し照れてしまう。
 頭に千景さんとおそろいの大きなリボンを結んでみると、心なしか自分の無個性な顔にチャームポイントが出来たようで、結構嬉しくなってしまった。

「……ど、どうでしょう?」

 フレア状に広がったスカートのすそを持ち上げ、千景さんの目の前でくるりと回ってみる。

「とっても可愛いのです!」

 千景さんは両手を合わせ、満面の笑みでほめてくれる。
 彼女はすでに銀色のウィッグをかぶっているので、いつものような小さな声ではなく、語尾も「のです」口調になっていた。
 銀色のウィッグには黒い大きなリボンをつけていて、その色のコントラストがとてもきれいだ。

「へへへ……。千景さんと同じ制服……。なんか嬉しいです」
「ヒカリなのです」
「え?」

 千景さんが口をとがらせて言うので、思わず聞き返してしまった。

「ボクは『ヒカリ』なのです。間違えてはダメなのですよ?」
「そ、そうでした! ヒカリさんでした。失礼しました!」

 そう。
 この銀色のウィッグを身に着けているとき、千景さんは『ヒカリさん』という明るい店員さんキャラに変身しているという設定だった。
 千景さんの人格が変わったわけではないけれど、恥ずかしがり屋の自分を隠すことでスムーズな接客が可能になるということだ。

「ヒカリさん。今日はよろしくお願いします~!」
「こちらこそ、手伝ってくれてとても嬉しいのです!」

 同じ格好になったことが嬉しくて、私とヒカリさんは笑いあうのだった。



 その時、更衣室の扉が開いた。

「お、お姉さんは……どうかな?」

 そう言って出てきたほたか先輩は、なんとコック服を身にまとっていた。
 頭にも白いコック帽をかぶっていて、完全にシェフという風貌ふうぼうだ。

「かわいい! ……ですけど、なんでコック服なんです?」
「お姉さんもみんなと一緒の制服を着て接客すると思ってたんだけどね。……百合香 ゆりかさんが、どうしても厨房を手伝ってほしいって……」
「お母さんがそんなことを言ったのですか……」

 千景さん、いやヒカリさんはため息をついた。

「……おそらく、母は恥ずかしいのです。厨房の手伝いは欲しいけど、知り合いのほたかじゃないと、恥ずかしくって動けないかもしれないのです」

 私は先輩の可愛い衣装が楽しみだったけど、そういう理由なら仕方がない。
 むしろ、貴重なコック姿を目に焼き付けようとじっくり観察し続けた。



「あれ? ……そう言えば美嶺みれいちゃんはまだかな? 更衣室では制服を見るなり、奥のほうに逃げて行っちゃったけど……」
「そうなのですか? 制服のサイズが合わなかったのでしょうか……」
「あっ! いますよ、美嶺。ほら、商品棚に隠れてます!」

 美嶺はきれいな金髪で背も高いから、とても目立つ。
 隠れているようだけど、まったく姿を隠せていなかった。

「美嶺~。もうすぐ開店時間なんだから、早くおいでよ~」
「く、来んな!」
「あ~、わかった! 可愛い制服が恥ずかしいんでしょ? 大丈夫だよ~。私もヒカリさんも同じだから!」

 そう言って商品棚の向こうに回り込んだ時、私は驚いてしまった。
 美嶺が英国風のメイド服を着ていたのだ。
 スカートや服の袖口はレースやフリルで飾られ、形も伝統的なロングスカートのメイド服で、すごく可愛い!
 金髪の頭頂部にはフリルのついたカチューシャも身に着けているので、本物の英国メイドのようだった。

「すごい……。美嶺、似合ってるね。背も高いから可愛さとカッコよさが同居してて、最高だよ!」
「や、やめろ! 可愛いとか言うな!」

 美嶺が恥ずかしがって顔を赤らめていると、ヒカリさんがやってきた。

「ちょうどサイズがあっていて、良かったのです~」
「ヒカリさん。どうして美嶺だけ衣装が違うんですか?」
「それはですね……。美嶺さんの身長に合う制服がなかったもので、今のデザインに変わる前に使われていた制服を引っ張り出してみたのですよ~」
「ム……ムリっすよ! せめて、いつものシンプルめの制服でお願いしますよぉ~」

 美嶺は両手で顔を覆い、うずくまった。
 そのしぐさも可愛くて、ついついいじりたくなってしまう。

「美嶺、すごく可愛いよ~」
「うんっ、お姉さんも、とっても似合ってると思うな!」
「ぐぬぬ……。これで一日……。しかもお客に見つめられながら? アタシ、きっと死にますよ……」
「美嶺、あきらめるんだよ~。これも自転車のため、でしょ?」
「くそ……。仕方ないな」

 自転車という言葉が効いたらしい。
 美嶺はそう言って、深くため息をつきながら立ち上がった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。 「再婚するから」 そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。 次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。 それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。 ※他サイトにも掲載しております

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

処理中です...