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第四章 中等部
第52話 水のダンジョン
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ダンジョン内は、パニックを起こす。
化け物が二人、やって来た。
悠々と歩みを進める彼ら。
その後ろを、カミラは目を見開いたまま、放心状態で付いて行く。
仲間達と、何回も行った探査とは全く違う。
そもそも、上階層のモンスターが姿を見せない。
異常が起こり、湧きまくっていたはずなのに……
あいつらは、一体どこに行ったの?
先日、調査からの帰りは、まだモンスターがいなかったと思った。
だけど、戻ってみると、ギルドの報告ではとんでもないエンカウント率で、下級の者達は絶対入るなと注意がされていた。
そして今日。
モンスターがいない。
何が一体起こっているの?
それは、モンスターの方こそ思っていた。
何が一体来たんだ?
凶悪な圧力が、ダンジョン内を支配をする。
何かやばい。
皆逃げろ。
彼らはその何かに追われて、理を破り、下層へと逃げていく。
「腰抜けどもめが」
シンがぼそっとつぶやく。
だが彼らとて、魔素の異常な流入により数は増えている。
それなのに、我先にと階段を下り、まさに地獄絵図。
ローラは、横にいる巨大な力をぼーっと見ていた。
力の系統では、闇の者に属するのは間違いない。
普通の人では無い。
カミラと共に、地上へ出ていく人もの人は見た。
見た目は同じだが、中身が…… そうこの世の理から、少し外れている。
ローラが使うのは、精霊魔法。
魔素を直接、現象へと変換をする。
だが彼は、見た事のない術式が介在をして、その特性が変わる。
同じ魔素だが、威力が上がる。
そう、使用量の割に効果が強い。
魔法理論というのだろうか、その働きに異物が混ざっている。
ローラはそれを見て、興味を持つ。
ローラが行うのは、単純な変換。
それに対して、シンの魔法は、ターボ付き。
自身の魔力を使い、現象が起こったとき、その力を利用して周りの空間にある魔素までを自動的に変換して力を強める。
そして、物理現象としても、有効的に使う。
水魔法などは、適当に放っても空気との摩擦で拡散をしてしまう。
それに対抗するため、らせん状に先行する風魔法がくっ付いている。
ずるい。
そう思うローラは、周囲にいる妖精達に手伝わせるから、果たしてどちらがずるいのか?
どちらにしろ、ただの人間。カミラからすると、どちらもおかしい。
むきになって、ローラが使う水魔法により、ダンジョンの壁までが切られる。
思わず、目を開けたまま、目をこすってしまう。
彼女は泣きながら、二人の後ろを付いていく。
チームメイトは、スキルなど持ってはいなかった。
当然、こんな凶悪な魔法を見るのも始めて。
一応剣を握りしめ、周囲を警戒して必死でついて行く。
薄暗い洞の中。
二人は、ずっと駆け足程度で進んでくれている。
実は、ダンジョンへ入った瞬間、置いて行かれて泣きそうになった。
ローラが気が付き、戻ってきてくれたのだが、それ以降は、小走り。
だが、彼女は人間。
限界は、やって来る。
「だめぇ。休憩をしよう」
とうとう泣きが入る。
「もうか? 鍛え方が足りぬな」
休憩と言いながら、魔力循環と身体強化を教えられる。
「えっ? 何これ。すごい」
そして、基本的な魔法まで習う。
「スキルが無いのに。なんで?」
「原理が判れば誰でも使える。スキルは補助じゃ」
さらっと、そんな事を教えられる。
そう、シンにしてみればいつものこと。
だが、カミラは聞いた瞬間に、いやな予感がする。
この話、コンラート王国では普通の話でも、フィリップ商国では聞くとまずい気がする。
偉い人はスキル持ち。
持っていない者は、役立たずというのが一般的な常識。
チームリーダのロイスにすら、言うのはまずいかもしれない。
彼女は知らないが、コンラート王国でも一般的ではない話しだ。
彼女は、ぐるぐると考え始める。
「シン。結婚しよ」
その考えた結果がこれである。
「どうしてそうなる」
「なんか、まずいことを聞いた気がするの。身を守るには誰かを頼らないと…… だめ?」
「ふむ。見目は悪くないが、まだわしも若いからのう」
カミラは探索者としては一般的。
伸びた亜麻色の髪を無造作に後ろでまとめ、ブルーの瞳が、キリッとした眉の下に。通った鼻筋と薄い唇。
ジャマにはならない程度の胸と、百六十センチほどの身長。
シンはいま十三歳。
第二次成長期を迎え、体は大分成長をしてお年頃ではある。
だが脳裏に浮かぶ、夜叉。
いや、ヘルミーナ。
「いやまあ、一緒に来るのは良いが、結婚は約束出来んな」
一応牽制をしておく。
その時、学園では。
「はっ。お兄様に何か不穏な影が」
ヘルミーナが周囲に威圧を振りまく、そのおかげで教室の中に居た幾人かが気を失う。
カミラは言ってしまってから、急に意識を始めてしまい。わたわたし始める。
その様子を、じっとりした目で見つめるローラ。
「何をしておる。行くぞ」
ローラは走り始める。
それを見て走り始め、身体強化のすごさを実感するカミラ。
「すごい何これ。きゃー」
と調子に乗って魔力切れを起こし、シンに背負われる事になる。
その頃。
海の底では、スライム状の塊が海底の穴を塞いでいた。
そいつは、一個体に見えるが群体であり、退治をするには全部を消滅させないといけない面倒なモンスターだった。
化け物が二人、やって来た。
悠々と歩みを進める彼ら。
その後ろを、カミラは目を見開いたまま、放心状態で付いて行く。
仲間達と、何回も行った探査とは全く違う。
そもそも、上階層のモンスターが姿を見せない。
異常が起こり、湧きまくっていたはずなのに……
あいつらは、一体どこに行ったの?
先日、調査からの帰りは、まだモンスターがいなかったと思った。
だけど、戻ってみると、ギルドの報告ではとんでもないエンカウント率で、下級の者達は絶対入るなと注意がされていた。
そして今日。
モンスターがいない。
何が一体起こっているの?
それは、モンスターの方こそ思っていた。
何が一体来たんだ?
凶悪な圧力が、ダンジョン内を支配をする。
何かやばい。
皆逃げろ。
彼らはその何かに追われて、理を破り、下層へと逃げていく。
「腰抜けどもめが」
シンがぼそっとつぶやく。
だが彼らとて、魔素の異常な流入により数は増えている。
それなのに、我先にと階段を下り、まさに地獄絵図。
ローラは、横にいる巨大な力をぼーっと見ていた。
力の系統では、闇の者に属するのは間違いない。
普通の人では無い。
カミラと共に、地上へ出ていく人もの人は見た。
見た目は同じだが、中身が…… そうこの世の理から、少し外れている。
ローラが使うのは、精霊魔法。
魔素を直接、現象へと変換をする。
だが彼は、見た事のない術式が介在をして、その特性が変わる。
同じ魔素だが、威力が上がる。
そう、使用量の割に効果が強い。
魔法理論というのだろうか、その働きに異物が混ざっている。
ローラはそれを見て、興味を持つ。
ローラが行うのは、単純な変換。
それに対して、シンの魔法は、ターボ付き。
自身の魔力を使い、現象が起こったとき、その力を利用して周りの空間にある魔素までを自動的に変換して力を強める。
そして、物理現象としても、有効的に使う。
水魔法などは、適当に放っても空気との摩擦で拡散をしてしまう。
それに対抗するため、らせん状に先行する風魔法がくっ付いている。
ずるい。
そう思うローラは、周囲にいる妖精達に手伝わせるから、果たしてどちらがずるいのか?
どちらにしろ、ただの人間。カミラからすると、どちらもおかしい。
むきになって、ローラが使う水魔法により、ダンジョンの壁までが切られる。
思わず、目を開けたまま、目をこすってしまう。
彼女は泣きながら、二人の後ろを付いていく。
チームメイトは、スキルなど持ってはいなかった。
当然、こんな凶悪な魔法を見るのも始めて。
一応剣を握りしめ、周囲を警戒して必死でついて行く。
薄暗い洞の中。
二人は、ずっと駆け足程度で進んでくれている。
実は、ダンジョンへ入った瞬間、置いて行かれて泣きそうになった。
ローラが気が付き、戻ってきてくれたのだが、それ以降は、小走り。
だが、彼女は人間。
限界は、やって来る。
「だめぇ。休憩をしよう」
とうとう泣きが入る。
「もうか? 鍛え方が足りぬな」
休憩と言いながら、魔力循環と身体強化を教えられる。
「えっ? 何これ。すごい」
そして、基本的な魔法まで習う。
「スキルが無いのに。なんで?」
「原理が判れば誰でも使える。スキルは補助じゃ」
さらっと、そんな事を教えられる。
そう、シンにしてみればいつものこと。
だが、カミラは聞いた瞬間に、いやな予感がする。
この話、コンラート王国では普通の話でも、フィリップ商国では聞くとまずい気がする。
偉い人はスキル持ち。
持っていない者は、役立たずというのが一般的な常識。
チームリーダのロイスにすら、言うのはまずいかもしれない。
彼女は知らないが、コンラート王国でも一般的ではない話しだ。
彼女は、ぐるぐると考え始める。
「シン。結婚しよ」
その考えた結果がこれである。
「どうしてそうなる」
「なんか、まずいことを聞いた気がするの。身を守るには誰かを頼らないと…… だめ?」
「ふむ。見目は悪くないが、まだわしも若いからのう」
カミラは探索者としては一般的。
伸びた亜麻色の髪を無造作に後ろでまとめ、ブルーの瞳が、キリッとした眉の下に。通った鼻筋と薄い唇。
ジャマにはならない程度の胸と、百六十センチほどの身長。
シンはいま十三歳。
第二次成長期を迎え、体は大分成長をしてお年頃ではある。
だが脳裏に浮かぶ、夜叉。
いや、ヘルミーナ。
「いやまあ、一緒に来るのは良いが、結婚は約束出来んな」
一応牽制をしておく。
その時、学園では。
「はっ。お兄様に何か不穏な影が」
ヘルミーナが周囲に威圧を振りまく、そのおかげで教室の中に居た幾人かが気を失う。
カミラは言ってしまってから、急に意識を始めてしまい。わたわたし始める。
その様子を、じっとりした目で見つめるローラ。
「何をしておる。行くぞ」
ローラは走り始める。
それを見て走り始め、身体強化のすごさを実感するカミラ。
「すごい何これ。きゃー」
と調子に乗って魔力切れを起こし、シンに背負われる事になる。
その頃。
海の底では、スライム状の塊が海底の穴を塞いでいた。
そいつは、一個体に見えるが群体であり、退治をするには全部を消滅させないといけない面倒なモンスターだった。
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