はい。ちゅうもーく。これから異世界に向かいます。 - 私立徳井天世高校の修学旅行 -

久遠 れんり

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第三章 大陸統一

第59話 魔人族領へ

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 デモゴルゴンは、絶望の中で苦しんでいた。
 体の中をかき混ぜ、作り変えられるような感覚。
 妹であるウェヌスは、横で苦しんでいる兄を嬉しそうに見ている。

 龍一は、具合を確認しながら、力加減を変える。
「どうだ、このくらいで耐えられるか」
「キツい、もう少しゆっくりしてくれ」
「このくらいか?」

「うばあぁ……」
 言いながら、勢いよく突っ込んでしまった。
「悪い」
 軽い感じで謝るが、受けている方はそれどころではない。

「だめだ、体が裂けるぅ」
 彼はそう言って逃げようとする。

「逃げても、浄化とか遠隔で出来るから逃げられないぞ」
 試したのは、浄化をしながら回復をさせる。
 これにより、魔族成分を抜く。

 ところが龍一の魔力で、一気にやろうとすると体が裂けそうになるらしい。
 個人の器という物が存在して、ある程度で制限をする必要があるようだ。

「ぐはぁ、死ぬかと思った…… うん? 周り、竜脈からの力の流れがスムーズになった」
「それに、ずっとあったイライラがなくなったでしょう?」
「そういえば???」
 見た目は変わっていないが、魔族成分が抜けたようだ。

「あんた本当に人間か?」
「ああ、そうだよ。たぶん」
「たぶんねぇ」
 そう言って怪訝そうに見られてしまう。

「じゃあまあ、プルフラスを探しに行こうか」
 そういって移動を始める。
 当然走る。

「ああそうだ、妹のことよろしく頼む」
「ああ、はい、お兄様」
 ウェヌスの口調が移ってしまった。
「やめろ、気持ちが悪い」

 近くで、はっちゃけていたプルフラスを見つける。
 一瞬で捕まえ、魔人成分抜きを試してみる。

「うがああぁ、なんだ、何をする。やめろぉ…………」
 だが、魔人成分を抜くと、彼は、溶けてしまった。
「えっなんで?」
「歴史なのか、俺達とは出来方が違うのか……」

 とにかく、上の方から人の居る大陸を取り上げろと言われていたと聞いた。
「理由? そんな物は知らない。言うことを聞かなければ殺されるだけだ。上の奴らは強く、命令は絶対だ」
 デモゴルゴンはその程度だったようだが、ウェヌスはもう少し知っていた。

「魔王様からの命令があるらしいわよ、今は寝ているらしいけれど。そして魔王様の上に魔神様がいるんだって。こっちも寝て居るみたいよ」
「そうなのか?」
「うん今まで病気を広げたりしたけど、急に失敗をし始めたってぼやいていたわよ」
 龍一はそれを聞いて、ものすごく覚えがあった。

「死んだ人が、生き返ったりした奴か?」
「そうそう、他にも定期的に色々やっていたみたい」
「そうか……」

 一応、二国の土地を浄化をして、国へと帰る。


 そうして、夜の御前会議。
「魔王という言葉が出たんだ、これが終わる為のキーワードだと思わないか?」
「ゲームとかだと、あるわよね」
「あら先日、澪様が、意中の殿方を落とすというのも、確かゲームではありませんでしたか?」
 コピーヌに暴露されて、あたふた。

「龍一、ゲームだけだから、現実ではそんなこと思ったことがないから」
「判っている。そんなにあわてると、逆に不安になるが」
「無いから」
 涙目で睨まれる。

「はいはい」
 そのやり取りで、周りはにやにや。
 そう表面上はおとなしくとも、常に下剋上が虎視眈々と狙われている。
 そう、だから、ウェヌスの技に皆が飛びついた。

 おくれた者すなわち脱落だと考えた。
 こちら側にしてみれば、最上の技も毎日だと胃もたれをして、初々しい者を求めたくなる。
 それぞれ良いと思うのだが、そんなきれい事と一蹴されることに。

 そして御前会議で、うろちょろする黒い物は元から絶たなきゃ駄目という事が決まり、船を造り大陸を渡る事になった。

 ウェヌス達は、空を飛んだり、丸太でサーフィンとかをして来ているらしい。

 一度習ったら、以外と使えることが判った、魔法様々だ。
 こっちに来ている連中には、練習をさせる。
 死に戻ったときに使えるからだ。
「これいいなあ、戻ったらサーフィンで使ってみるよ」
「向こうで魔法が使えるなら良いがな」
「あああぁ、そうか。便利なのに……」
「大丈夫だよ、帰れるのか判らないんだから」
「帰るために、魔王を倒しに行く」
 あっ、つい極秘情報を喋ってしまった。

 皆がこちらを注目する。

「あーまだ秘密だ、皆には言うな」
 皆がここに居るが、気にしない。
 見なかったことにしよう。

「そうか、魔王退治か……」
 楽しそうに、丸太サーフィンをしていた連中が、気がつけば誰も居なくなっていく。

「俺はエクスカリバーを探す旅に出るよ」
「俺は信頼できる仲間だね」
「盾と、騎士、魔法使いとぼいんぼいんの白魔法士がいるな」
「防御力を極振りすれば、強いらしいぜ」
「お伴には、機動性に優れた獣人とかが居るんじゃ無いか?」
「そうだよなぁ、魔王様か、ロリかな。のじゃとか言って」
「それなら龍一が行けば、コロッとこませるんじゃないか?」
「そうだよな」

 そんなことを言いながら、全く違う方向へと散けていった……
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