はい。ちゅうもーく。これから異世界に向かいます。 - 私立徳井天世高校の修学旅行 -

久遠 れんり

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第四章 魔王と魔人

第62話 霊廟

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「くっ、これは」
 彼女の体を炎をが包み込み、体が燃やされる。

 フラーマは、性格に合った炎が得意ではあるが、自身を燃やされるのは好きではない。
 だがその炎は、自身の内より発生をして体を焼いてゆく。
 それと同時に、体はブレーカーを落とし、限度を超えた痛みをシャットダウンする。
 普通なら意識の喪失が起こり、精神を守るのだが、彼女の精神力は強かった。

「なんだこれは、こんなの始めてぇ……」
 そう、痛みが消されて、究極の苦しみの中、彼女は快楽の海に沈んでいく。

 体を構成する魔の成分。それが浄化により消されて、細胞レベルで分解が始まってしまう。
 彼女は生きながら、体が分解される。

 そう、その究極の状態で、痛みはブロックされ、彼女は究極の快楽を感じながら、逝ってしまう。
 だが、その直前、恍惚とした表情で涙をこぼしながら、彼女は文字通り究極の快楽を体験をした。

 その体は、崩れ内なる魔力により燃え上がる。
 炎系の頂点らしい最後、完全に燃え尽きてしまった。


「あちゃーやっぱり、駄目だったのか」
「純血の魔人族は、存在がゴミなのね」
 なぜか、最近言葉が悪くなってきた。
 ウェヌスはそう言いながら、叱ってもらえるかもと、うずうずして龍一をチラチラと見ている。

 だが、今は戦闘中ではある。
 彼は流石に、目の前の戦闘に集中をしている。
 それを理解して、つい舌打ちをしてしまう。
「こら、ウェヌス。女の子が舌打ちなんかするんじゃない」
 そう言って、ペシッとお尻が叩かれる。

 おありがとうございます。心の中でウェヌスは叫ぶ。
 お尻から伝わる甘酸っぱい刺激。
 そのわずかな刺激は、女の子特有の器官を刺激する。

「ああっ」
「どうした?」
「いえ何でも」
 一度スイッチが入ると、荷車の振動が心地良い。

 龍一に知られように我慢しながら、側で達する。
 究極の自慰行為。
 膝がガクガクとなり、彼女は座り込む。

 潤んだ瞳は、龍一の真剣な横顔を見つめる。

 ただ、側にいたデモゴルゴンは何かに気がつき、複雑な思いで妹を見つめる。

 我が妹ながら、なんつーエロい奴。
 そんな色々な思いを乗せて、荷車は町を通り抜け、街道を山脈に向けて北上を始める。


「なんだと、フラーマが燃えた?」
「はい、いつもの様に、調子よく炎を連射していましたが、いきなり動きが止まると、その、非常に気持ちよさそうに…… 自身の、胸とか股間とか抑えながら、それはもう…… 気持ちよさそうに逝かれていました。あれが本当の昇天ですね」
「そうか、気持ちよさそうに。それは見たかったな」
 ベントスが、クールな感じでそんなことを……
 
 格好いい男がニヒルな顔で、台詞の大半が下ネタ。

 彼も意外と人気がある。

「それで敵は? 兵が抑えているのか?」
「いえ、町には入らず、街道を北上しました」
「街道を北上?? 馬鹿者、相手の目標は魔王様の霊廟じゃないか? 追いかけろぉ」
 アクーラは重要なところに気がつく。

「それはまずいなぁ、起こされるときっと機嫌が悪いぞ」
 ベントスがそう言ったことで、兵達も事の重大さに思い当たる。

 霊廟に向かったのは判っていたが、魔王様が起きれば何とかするのじゃないかと、安易に考えていた。

 だが中途半端に起こされた時、魔王様の寝起きの悪さは魔王級。
 町の一つや二つは、消えてもおかしくないだろう。

「やばいですよね」
「ああっ、やばいよねぇ」
「ああ、魔王様っ」
 アクーラはダークエロ婦らしい反応。
 暴れ回る彼の姿を思い出す。

 ちょい悪なガキ大将、そんなイメージの魔王。
 困ったことに、龍一とキャラがだぶる。

 そんな両雄がいま、ぶつかろうとしている。
「いかん、魔王様の眠りを妨げるな。追いかけろ、馬鹿者どもを捕まえろぉ」
「は、はいいぃ」
 兵達は適当に、装備ができた者達から飛び出していく。
 それに先だち、ハルピュイア部隊が槍や石を抱えて飛び出していく。


「龍一、後方から敵。上空」
 キュピーンという感じで、ウェヌスが魔力を感じる。

「後方、対空用意」
「りょ」
 皆が、適当に構える。

「あれだな」
 目視で見え始めた。

「ほい、皆、構えー…… てぇー」
 心地良い炸裂音が、パパパと聞こえ始める。
 たまに混じる曳光弾が、綺麗な線を描く。

 当たった瞬間、花火のように弾ける。
 種族的に、彼女達は脆いようだ。

 彼女達は、追いつく前にすべて撃墜されてしまった。

 全方位レーダーとして、ウェヌスは実に優秀だった。
 結局彼らは追いつかず、龍一達は霊廟へと到着してしまう。


 その石造りで荘厳な霊廟は、結構立派な物だった。
 ただ、空から俯瞰すると、それは女性を模した物で、入り口から奥へ繋がる霊廟は産道、そして奥の部屋自体は子宮を模している。

 そう、魔王の再生。
 それを願い、建立されている。

 ただし、幾度か扉が壊され、修復された跡があるのが気になる。
「わぁ、初めて来た。すごーい」
 ウェヌスは周りをキョロキョロしながら、喜んでいるが、俺達とデモゴルゴンは感じていた。

 扉の奥から流れ出してくる濃密な何か……
 それは体の奥をザワつかせる。
 
 人の悪意を増長させて、さらに行動を後押しをする。
 そう、言うなれば不良増産ガス。

 その何かを浴びると、人はヤンキー化する。
 きっと関西とか千葉には、どこかから噴き出しているのかもしれない。
 そのガスは、一般に瘴気と呼ばれる呼ばれる物に近く、それよりも濃密。

 それを浴びると、人々は狂気を引き出されて、暴走を始める。
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