勇者召喚されたので、とりあえず逃げます。

久遠 れんり

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伝説を求めて、そう西へ向かえ

第11話 西へ向かえ、そこには…… 何が?

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 追いついてきた四人。
 おれたちの周りにくっ付いている者達に、案内をされてやって来た。

「お久しぶりですね。追いかけたのはお邪魔でしたか?」
「やあ、山口さん。そう言うわけではありませんが、少しお待ちください」
 今借りている小さな家。

 無論冷暖房はない。
 家の中は少し暑く、俺しかいないからと、二人は薄衣でうろうろしていた。

 彼らが追いつくまで、二月くらいかかっていた。
 俺達は、真っ直ぐここへ来たし、周りに護衛もいた。
 彼らは、そのまま放り出されたので、道に迷ったり騙されたり色々あったようだ。
「この世界、金の入った袋を見せるだけで殺されそうになった」
 落ち着いた後、飲んでいるときに、そんな事を疲れた顔で言っていた。

 まあそこで、お姫様の紹介とここでやっている旅行用の路銀稼ぎ。
 目的地についてを説明をする。

「なるほど、帰るあてですか」
「まあ伝承レベルだ。確実なあてにはならん。最悪はここで暮らしても良いし」
 一応、アイデア料とかその辺りは職人達と話が付いている。
 そして、もっと他の良いものも、沢山考えていると俺達の価値を言ってある。

 そして彼らが合流して三年。
 嘘だ。
 三月もすると冷えてきたので、もう三ヶ月。

 春になって俺達は、出発をすることにした。
 職人達にはいくつかアイデアを残してきた。

 この大陸の端まで行っても、そんなに驚くほどの距離はない。
 すぐに戻ってくるかもと言ってある。
 家も、俺達の物だしな。

 色々考え、俺達だけが向こうに帰り。エレオノーラが取り残された場合、住む家も必要だ。

 
「さあて、何があるのか不明だが、西に向かって出発だぁ」
「「「おうっ」」」

 元気は良いが、道中は退屈になる。
 俺が御者をしている車内では、坂本さん達が愚痴っていたらしい。

「かっこよくいなくなったと思ったら、御姫さん相手にただれた生活をしているとは思いませんでしたよ」
「でもこの子、彼と寝るために薬を使ったのよ」
 そう言うとみんなが驚く。

「ええっ?」
「それがね。彼が使われたのは、意識があるのに体は動かない。でもあそこはずっと、すっごく元気なんだって」
「きゃー何それ」
「おまけにこの子ったら、自分も媚薬を使っていて、もう大変。ただ私は、体が動かず、それをずっと見ているという…… あれはある意味地獄だったわ……」
 あやはそう言って遠い目をする。

 そして、一つ後ろの馬車には、荷物が満載されていた。

 周囲は探知しているが、酒を飲みながらたらたら進む。
 えっ? 飲酒運転? だいじょぶ。
 馬は飲んでいないし、ある意味自動パイロット。
 道なりに進むし、障害物があればきちんと止まる。
 ほらね。

 幾度目か判らない盗賊達。
 最近、出てきた瞬間、彼らは道路を塞いでいる丸太ごと消滅をする。

 そうまるで、ロープレのゲーム。
 ゴブリンの集団が現れた。
 戦いますか?
 そんなダイアログが出る前に彼らは消える。

 良いんだけど、なぜか殺し、つまり汚れ仕事はいつの間にか俺が担当になっている。

「俺達がやっても良いんですけどね、やはりためらいがあって……」
「そうですね。あんな若い子に手が出せる長尾さんほど、この世界になじんでいないし」
「―― 二人とも、喧嘩を売っています?」
「いやいや、そんなつもりは無いさ」
 そんな感じで、男二人からいじめ? を受けている。

 だから俺の馬車が、先。
 だけど、後背を突くこしゃくな奴もいる。

 その場合、通り抜けながら、丸太を破壊。
 彼らが出てくる前に抜けてしまう。

 そして、むかしむかし西に向かったお坊さんよろしく、途中で困っている農民に堆肥の知恵を授けてみたり、途中で川の中州の位置が変わりどちらの領地かと、もめて川が渡れなかったときには、知恵を与えた。
 中州の権利を持つものは川の持ち主として、洪水の被害を出たときには、相手に弁済すれば良いと言ってあげた。

 治水能力は低い。
 川は氾濫し、周りに被害が出る。
 中州を専有する小さな利益より当然賠償の方が大きい。
 川が一本しかなければ、水利で問題だろうが、他にもある。

 結局、川の両岸で境界として、水の権利は共用で決まった。
 中州など、大きな洪水が来たら水没し、なくなる危険な所だ。
 持つ価値などない。
 そう、治水技術の低い今の所は……

 だがそれを伝える気も無い。
 とりあえず話がまとまり、川を渡る。

 そんな事をしながら、数ヶ月。
 冬になる前に、なんとか遺跡へと着いた。

 古代文明と聞いていたが、思っていた感じとは違い、超未来的な半円のドームが並んでいるとかそんな事はない。

 どっちかというと、マチュピチュとかそんな感じ。
 石造りの遺跡。
 名前は、ギガス・ナラカ。
 名前の意味がなあ……
 どうも、大穴とかそんな意味なんだよなぁ。
 ナラカが奈落と聞こえる。

 一応、遺跡のエリア前。入り口付近でキャンプを張り、一応魔法でも作れるが、水の確保などをする。
 そう湯を沸かし湯冷ましを作る。
 ついでに、風呂まで造らされた。

 ああ、そうそう、浄化による体が綺麗魔法は、バレた瞬間に坂本さんや、大石さんに首を絞められた。
「一体何時からぁ?」
「…… 来てすぐ」
 そう言ったら泣かれた。

 みんな結構気にしていて、人の近くへ行けなかったらしい。
 浄化もしたが、家の外に即席で風呂も造ってあげたら喜ばれた。
 まあ、それから即旅に出たが……

 そんな事はさておき、ここから先は、禁足地となり管理をしている国さえない。

 意外とモンスターが出没するらしく、住み着きそうな盗賊すらいないそうだ。
 まあ盗賊も、商売をするなら人の多いところが便利なのだろう。

「さあて、行ってみるか」
 俺達は、遺跡へと足を踏みいれた。
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