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第3章 本格的侵攻開始   か?

第38話 新年度その2

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 一翔も、実は家のすぐ横の部屋に入っている。
 家にいると、姉ちゃんがうっとうしいのと、近くにいないと何かの行事の時に、すぐ仲間外れにされるとごねたらしい。

 本人は給料から部屋代を払うつもりのようだったが、社宅として俺が借りた。
 野良ダンジョンは適当に生えてくるので、その連絡を受けて放課後などに初級のダンジョンをつぶしてくれるだけで十分に賄える。

 仲間外れで思い出したが、静岡での事務所と言っていたが、俺がゲートを公にしたことで必要が無くなった。
 そのため、約束した手前、神地さんの気に入ったマンションの一室を借り上げた。
 契約と引っ越しの時に顔を出したが、「愛人契約ですね。頑張ります」と言われ、早々に逃げてきた。ゲートに潜る寸前に「へたれ」と聞こえたが気のせいだろう。


「まあ、ざっとこんな感じで、最近の事柄について忘れたものはないかな?」

 俺はベッドの上で寝転がりながら、確認をする。
 その後、美月に問いかける。
「君は人の上に跨って何をしているんだ?」
 と聞くと、こいつは当然という感じで答える。
「いや、立っている者は親でも使えと言うじゃない」
「それは、意味が違うと思うぞ」
 そういいながら、俺は美月を抱きしめる。

 一瞬うれしそうな顔をしたが、俺の意図が分かったらしく、
「えへっ。……あっ、それだめ。いやぁーああ゛あ゛っ」
 何をしているかというと、新型魔法。

 俺は雷魔法を利用して体中から弱いパルス波電流を流している。
 俗にいう人間低周波治療器となっている。

 現在、繋がっているからね。中と外から刺激が襲うらしく、あっという間に痙攣して白目をむいて悶絶している。
 よいこはマネしちゃだめだな。

「どうも、調整が難しいな。まあいいか」

 俺は、起き上がり時計を見ると、9時過ぎ。
 状態を整理する。
 ああ、皆が学校に行ったんで起こしに来て、一部だけを起こして遊んでいたのか。 
 痙攣をしている美月を見る。


 ダイニングへ移動をして、適当にトーストをして、バターを塗りコーヒーで流し込む。
 その後、冷蔵庫に、サラダがあったのでそれも頂く。
 しまった。挟めばよかった。
 そう考えて、最後にハムを口にいれる。
 あとは、からしとマヨネーズを飲めば完璧だがやめよう。
 俺はそこまでこだわらない。


「あーまだ、疲れが抜けんな」
 風呂場へ向かいながら思い出す。
 9時過ぎまで起きられないほど、なんでこんなに疲れているかというと、総理からの連絡により、「タコでパーティするから大量に作って」、そんなやばそうな連絡が入り対応するためだ。

 理由は聞いてしまうとやばそうだから、何も聞かず。
 大量生産用の魔道具生産ゴーレムを作っていた。
 基本性能はすぐ出せた。
 しかし足のうにょうにょ感を出すために、必要以上にこだわってしまい、材料選択と調整で沼にはまってしまった。
 技術系のあるある事件。
 これのせいで疲れたが、少ししか後悔をしていない。
 
 ちなみに、足の吸盤からレーザーが出せるタイプも作成した。
 こちらはバッテリー代わりの魔石が場所を取り一回り大きくなっている。飯蛸(イイダコ)の『イイ』が入った感じだろうか。

 それとは別に、リモートだが大きな2足歩行ゴーレムも作ってみた。
 自分で操作をすると、意識と実際の動きに性能の為か差があり、体を動かす感覚で操作するとゴーレムの動作が遅くて、躓きひっくり返ってしまう。

 自分と、同サイズなら違和感があまりないのだが、巨大タイプは速度アップが課題となっている。

 そして、みんな大好き。
 勝手に飛び回る武器だが、複数はコントロールできない。
 絶対頭が、馬鹿になる。

 ドラムをたたける才能がある人間なら使えるかもしれないが、両手両足でもバラバラにコントロールするのは難しい。
 そのため、いくつかの命令セットを組み込み。
 一つが命令に従っている間に、次々と命令していく物を作ってみたが、俺の才能がないのか3つで一杯一杯だった。
 それに命令待ちで止まって浮いているだけの時間ができてしまう。
 そんな隙は、新しいタイプの人たちは、見逃してくれないだろう。



 さて、そんなこんなで幾日か経つと、宇宙空間のいたるところで、宇宙物体登録条約で未登録となっている人工衛星が消え始めた。

 宇宙空間の人工衛星等は、現在、宇宙物体登録条約で規定されている。国連の国連事務総長への通報が必要で、打上げ国は登録簿に、打上げ国の国名、宇宙物体の適当な標識又は登録番号、打上げが行われた日及び領域又は場所、基本的な軌道要素(周期、傾斜角、遠地点、近地点)、宇宙物体の一般的機能等を記入することにより宇宙物体を登録することになっている。

 だが、それがすべては守られておらず、正体不明なものも確認されている。
 それを勝手にどうにかはできなかったが、ここにきて月からの無差別攻撃だ。

 人工衛星消滅に対してユーラシア大陸に存在する大きな国が2か所、文句を言ったが、それに合わせたタイミングで、日本とアメリカがこれは異世界からの侵略であると宣言をした。

 大統領報道官は記者の質問に対し、その詳細を語ることはできない。
 私は死にたくないと言葉を残して、一本のビデオデータをその記者に渡した。
 そのデータは、いくつかの新聞社やテレビ局にすぐにコピーされたが、その後放送はされなかった。
 ジャパニーズホラー、ウイルス、我々は拡散してしまった。のちに、そんなキーワードが広がった。

 その後、動画配信サイトで、短期間謎の映像が流れた。
 それは、どこかの記者会見の様子に見える。
 真っ黒な格好で猫と犬を連れた男。
 ある事柄に対して一人の男が質問をした瞬間、会場が突然氷り始める。

 白い息を吐き、うろたえおびえる人々が映る映像は、人々が逃げ出して終わった。
 だがもう一本では、司会者が何かを探し始めた瞬間、糸が切れるように倒れこむ姿が映っていた。

 その2つの動画は、静かに話題にはなったが、静かに消された。
 そして敵についての詳細を、問い詰める勇者も現れなかった。
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