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第4章 少しずつ変わって行く世界

第17話 玲己の身体改造

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 玲己の様子を確認するため、自分の部屋へ行く。
 すると、何か念仏のような声が聞こえる。

「うううっ。また漏らした…… 前と違って、大きな方は漏らしていないけど、一司のベッドなのに…… 体は全然動かないし、このまま動けないと大きな方も出ちゃう。はっ、でも一司なら、良いんだよ玲己。キリッ。歯をキラッとか光らせて、俺にとってはご褒美だ。さあ俺にかけてごらん。とか、きっと言ってくれて…… 」
「ごん!」

 思わず俺は、体が動かず念仏のように、おばかな妄想を吐き出している玲己の頭をなぐる。
「おしっこ漏らしただけじゃなく、何を馬鹿な妄想まで垂れ流しているんだ。それに俺にはそんな趣味はない。しかし、なんでうちに来ると、みんなおしっこを漏らすんだ?」

 玲己は、本当に動けないらしく、
「殴られたぁ。いたいよー」
 と顔はまっすぐ上を向いたまま、うめいている。
「本気で動けないのか?」

 容赦なく布団をめくり、状態を確認して服を脱がす。玲己を抱え上げると、ベッドのマットごと、脱がしたパジャマも亜空間収納へとしまう。

「抱えるなら、お姫様。小脇に抱えるのはなんか違う」
 と声が聞こえるが、無視だ。
 自分の部屋にある風呂場へ向かう。

 いつの間にか、風呂場に美月が置いていたエアマットを広げると、その上に玲己を寝かせる。風呂場の奥側にある広くなった所へ亜空間収納からマットレスや玲己のパジャマを取り出して30度以下のぬるめのお湯でざっと洗う。

 玲己の、パジャマと下着は、個別にネットへ入れて脱衣所へ備え付けの洗濯機に放り込む。
 自分も服を脱ぐと、マットレスをしまい込み。
 浴室に入ると、足先から順に玲己にお湯をかけて、ボディシャンプーでわしゃわしゃと洗っていく。
 本気で動けないらしく、非常にやり易い。

 そのうち声が変わってきたので、玲己を抱っこする要領で対面で抱え込み、意識的に細胞の変化を促すように考えながらつながってみる。

 ぐたっと、力が抜けていたのが、じたばたして来たので成功だろう。



 ほぼ無理やりお願いして、エッチしてもらったけれど、見たり聞いたりしていた知識と違う。と思う。
 初めてだと痛いよとか、友だちは言っていたけれど、そんなにひどくはなかった。と思う。実は記憶がない。

 ベッドに連れてこられて、一司に見つめられて「本当にいいのか?」「うん」と私が返す、ドラマのような感じで始まり……。そこから、えっなんでという疑問噴出。触られるだけで、もうね。きっと何かをしているんでしょうけれど、「うふふ、くすぐったい。いやん」とか言うような余裕なんてない。

 最初の、キスから始まり、胸に手がと思ったらなんか来た。そこから意識がないの。

 気が付いた時には、ベッドの上に一人で寝ていて、動こうと思っても動けなくて、我慢ができずおしっこした。皮膚の触覚とかの感覚はあり、生あったかい感覚で目が覚めて、夢だと分かったが、現実でも出ていた。しかも止まらない。
 うう、また漏らした~。

 完全に目が覚めても、まだ体は動かないし、冷たくなってきた。
 風邪ひく~う。

「一司のばーか、こんな私を残していなくなるなんて~」
 から、うだうだと
「きっと一司なら、ご褒美だと思ってくれる」
 まで、いろいろ考えていたら、殴られた。口に出していたらしい。

 布団を引っぺがされて、全部脱がされた? あれ?パジャマ、いつ着たの?と思っていたら小脇に抱えられた。
「抱えるなら、お姫様。小脇に抱えるのはなんか違う」
 といったが無視されて、お風呂場に寝かされた。

 エッチした仲と言っても、これはさすがに恥ずかしいのですが…… せめてうつぶせにしてぇ。目線だけ落とすと、マットレスやあれ私のパジャマは良いけど下着まで洗っている。ちゃんと押し洗いしているのは良いけど、じっくり見られることもなく洗われている。下着を洗われるのも、その中身は見られることもなく完全放置ですが、やはり恥ずかしい。こっちの羞恥心が崩壊する。

 パジャマと下着を持って出て行ったと思ったら、ネットへ入れて洗濯機へ。慣れているのが何か悔しいわ。
 そんなことを考え、むっとしていたら脱ぎだした。
 そしてこっちへ来る。
 昨日と違い明るい所で見ると体も筋肉質でたくましいわ。

 きゃーと思ったら、そのまま無視されて行き過ぎ、マットレスの様子を見て収納。
 ふんふんそれで? 
 戻ってきて私の横に座ると、当然のように私にシャワーをかけてくれるのは、あったかくていいけれどボディシャンプーを付けて、まさか…… 洗われた。ざっとじゃなくて隅々まで。もうね恥ずかしさが限界。なぜか…… 私の体は動かないのに、迎えいれの準備ができたみたい。

 一司、私のを拭った指先を、すりすりして確認をしないでよ。
 それも真顔で……。
 恥ずかしさが、限界突破するわ…… いやまあ、突破しても恥ずかしいだけだけど。

 そう思っていたら、気が付いたのか抱えられてつながった。
 すると、今度は中へと入ってきたのが分かった。
 あっまた来た。
 何かが流れ込んでくる。
 こんなものは私の知識にない。
 頭の中がスパークして、すごい気持ちいいのと、幸せなものに包まれる。

 そしてやって来る、下腹から広がって何かが体中を這いずる感覚と痛み。
 一司のあれから触手でも出てきて、私の体の中から食べられているんじゃないかしら? そんな感覚と体の喪失感。
 触手とか本当に出てきていないよね。〇蟲が金色の糸を出しているみたいな感じ?

 こんな感覚が普通なのかしら? 人に聞いたのと全然違う。
 ああっ、痛い? いや、しびれる? ……と思っていると。
 足先や手の先から感覚が徐々に戻ってくる。

 すると…… 来たわよ。
 なにこの快感。
 この感覚の下着を作れば、お金持ち……あっだめ。
 脳みそが溶ける。
 ……そこでまた、意識を失った。


 意識を失った玲己を、もう一度洗って、抱え上げて体をふく。
 ベッドに、新しいマットレスと布団を出して、玲己を寝かせると。
 寝返りをしているようだから、大丈夫だな。
 美月の言う通り、変化が途中だったのか。

 さあ、これでこいつは大丈夫なはず。
 ちょっと、フレイヤとお話しをしに行こうかな。
 俺の体は、いったいどうなっているのか、問い詰めてみようか。


 一司が居なくなると、玲己が目を開く。
 眼だけが、動き部屋の中を確認する。

 おお、ひどい目にあったが、この体は結構いいな。
 物質というものがあると、体を維持する負担が減るのか。
 しかし自由度においては制限されるのう。
 この体では、変化(へんげ)ができんな。

 しかしまあ、無理をすると器としての肉体が壊れそうで不安じゃったが、あやつのおかげで、ふむ。最適化ができた様じゃ。
 体を構築している些少な部分まで魔素が浸透して…… ふむこれは良い。
 これは思ったより、良かったかもしれん。
 おっと、意識が戻るか?

「あれ? 一司?」
 あーまた、放置ですか? そうですか。そういうプレイかな?
「おなかがすいた」
 ヘッドから這い出して、出て行こうと思ったが、服を着ていない。
「ぱじゃま、洗濯中だし。ここ一司の部屋だよね。どうしよ。恥ずかしいけどパンツとワイシャツを借りて……」

 あっ、自分の亜空間収納の中に着替え一式あるじゃん。
 ダンジョン用に着替えはいくつかもっているし。
 ワイシャツを借りるのは、今度二人の時にしよう。


〈フレイヤ先生、助けて~〉
 と、俺がダンジョン側のリビングへ行くと、美月とフレイヤがにらめっこしていた。
「何を、しているんだ?」
〈助けてくれ、こやつに殺される。さっきまで、くすぐられて体が溶けるところだった〉
〈なんだ、遊んでもらったのか?〉
〈ちがう〉

〈一司が来たからやめるけど、本当にクリスタルを受け取っても、前の持ち主の意識は引き継がないのよね。もう隠していることは無い?〉
 あん? なんでフレイヤは、首をぶんぶん縦に振っているんだ?
〈一司には、内緒よ〉

「後は遊んであげて、晩御飯の用意をするから。そういえば、玲己は復活した?」
「ああ寝返りを打っていたから、大丈夫だろう」
「そう、よかったわね」
 そう言って、美月は部屋を出ていく。
 なぜか、ほっとしているフレイヤ先生。

〈どうしたんだ?〉
〈いや、それがな? ……いや、なんでもない〉
〈なんでもない? それは、くすぐって欲しいという、意思表示か?〉
〈いや、それは、もうやめて〉
 そう言い残して、逃げて行った。

「なんだ? 仕方がない。フェンをさすろう」

 やっと逃げ出したフレイヤは、首をひねる。
 クリスタルの移譲では本当に前の持ち主の意識は引き継がない。
 それが普通だが、玲己という娘のは、私たちが体を取り換えるときに使う転生術の様に竜神の意識があった。
 転生術の場合はまっさらなエネルギー結晶をコアとして体を構築する。
 そこへ自ら意識を移す必要がある。

 その後、元の体をつぶして能力のクリスタルを新しい体へと移す。
 玲己という娘が元からあやつの分体というわけでもないだろうに。
 それにあの娘の意識も普段はしっかりあるようだし。
 いったい何が起こっているのか? 推測をすると、この一連の騒動。
 考えられるのはもっと高位の奴らが、絶対絡んでおるという事…… にゃ。
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