人類最強は農家だ。異世界へ行って嫁さんを見つけよう。

久遠 れんり

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第3章 アミサム王国 動乱

第90話 神の証明

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「大変でございます。キルペライネン殿。松田様のお屋敷に、賊が入り込みました」

 執務室で、ヤルマリに松田様を怒らせてしまったと、愚痴を聞いて貰っていれば、アウラ王女が飛び込んでくる。ノックくらいはしていただきたいが。そう思いながら対応をする。
「先ほど、本人が帰ってこられましたので。賊など。あの方にかかれば、どうにでも。アウラ・アレクシス・ヘルムル様。人数は? 何人くらいでしょうか?」

「はい偉そうな、傍若無人な男と女。それに、あと男が幾人か一緒に。それと小脇に女の方を抱えておりましたわ」
「女を小脇に? ああじゃあ。本人でしょう」
「違います。決して。松田様は気高く。崇高でないと駄目なのです」

「いや。そう、おっしゃいましても。では一緒に参りましょう」
「私も、ご一緒いたします」
 ヤルマリまで、ニコニコとしながら付いてくるようだ。
 完全に、何かの催しを楽しみにしている表情。

 部屋出るとき兵に、松田様の屋敷まで、窪田様とマリアーナ様を連れてくるよう、ヤルマリから指示が行く。

「まだ王女様は、一緒なのか?」
「はい帰ってきたときに、連絡が来ております。マリアーナ様とアウラ様。面識があったはずでございます」
「なら話は早そうだ。しかし、王女の言う。気高くあれというのは何だ?」
「待っている間に、噂をかき集めていたそうですから、極端に美化でもされましたかね」
「じゃあ。現物は」
「はい。大変おおらかで、お優しいですが、気高く。崇高とは少し違いますな」
 なにげにひどい。ヤルマリ。

 馬車を出し、屋敷まで向かう。

 屋敷に到着し、呼び出しのインターフォンというものを押す。
「おう。どうした。なにか忘れた事でもあったか?」
 姿は見えないのに声がする。
「鍵は開けるから、入ってきてくれ」
 指示に従い、玄関まではいる。

 途中の、大曲リ(おおまがり)に配置された飛び石を進む。
 植木と池により、門から玄関は直接見る事ができない。

「こういう庭も。良いなあ」
「左様ですなぁ」

 玄関が開く。
「どうした。って、馬鹿そんな奴を連れてくるな。さっきやっと追い出したのに」
 アウラ王女を見つけたらしく、松田様が珍しくうろたえている。

「あの方が、松田広大で間違いないです。アウラ王女」
「えっでも。究極の聖魔法を使われる方ですよ」
「そうですね。私も彼に治していただきました」
 腕を組みぐぬぬと、アウラ王女は唸る。

「おう。こんな所でどうした。ヤルマリさん何の用事だ? さっき兵が来てこのうちへ来いと言われたのだが」
「ご足労をおかけして、申し訳ありません。実はこの方アルテリウム王国の第1王女アウラ・アレクシス・ヘルムル様なのですが、松田様が偽物だと」
「アウラ? ああ。お久しぶりでございます。私アミサム王国。第二王女マリアーナ・ヘレナ・アミサムでございます」
「マリアーナ? あっ。こちらこそ、御無沙汰いたしております」

「それで、またあなたは、子供のときと変わらず、思い込みからの暴走をしておりますの? お父上に報告を私の方から。いたしましょう」
「ちょ。ちょっとお待ちください。そこにいるのが、本当に松田様だと?」
「ええ。あなた以外はきちんと認識をいたして、お認めになっております。おわかり? おかしいのは、あなた様の頭でございます。よーくご理解くださいませ。治せるものなら、治していただいたらどうかしら?」

 そこまで、言われて、広大をちらっと見る。
「でも。そこまで神々しいとかそんな事も無いし」
「おい広大。姫様は、神々しいのがお望み用だぜ。ぱーっと行け」
「よし。ぱーっとだな」
 そう言って、神気の方を解放する。

 その瞬間、周辺は、黄金色の光りに包まれ、プローペの町は、光に飲み込まれていく。
 病人けが人が一瞬で完治し、浄化されていく。

「おおこの光は。松田様か。帰ってこられたのか」
 教会で祈っていた、クリストフェル・ヘーグリンド司教も光に気がつく。
「現世での奇跡。ありがたい事だ」

 そして姫様は、間近で光を浴び、自身の体のだるさや張りが癒やされていくのが分かった。体のだるさは、土地柄仕方がないが、いくつかの虫に寄生されていたもの。特に、聖女と呼ばれ、不潔なところで作業したため気を付けていてもどこかで拾っていた。むろん。聖魔法で虫下しはできない。
 一時的に、治療されたのみ。
 だが、強化された広大の浄化はひと味違う。

 寄生虫どころか、毛根の汚れまですべてを浄化する。
「これは奇跡」
 座り込み。涙を流す。

 そして、奥の座敷では、魔族のダニエラが、馬鹿みたいな力を感じ目を覚ます。魔力の放出ではなく癒やされる光。そして、とても生き物に扱えるとは思えないエネルギー。自然に強者を感じて、体が震え始める。
「何だこの化け物は。すぐ近くに神が居る」
 そして体の傷や状態が治っている事。牢ではなく見慣れないところに寝かされている事に気がつく。
「あたいは一体?」
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