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第3章 アミサム王国 動乱
第89話 嵐の予感
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とりあえず、牢から出て。他の室内も見ていく。
壁は漆喰ぽいが、基本は石組み。
半地下構造で、寒い。
檻は、木に金属板を打ちつけたものだが、湿気で木が痩せているところもある。
とりあえず、膨らんできている。床や壁を修復し。
奥の土を、石化させる。
奥行き、1mまで石化してしまった。
転移で解放したせいか、力が余ってる。
天井は、高めだが。上に見えるのは、上部に乗っている建物の床。
罪人を拷問のために吊ったりするから、便利なのだろう。
「本格的改修は、今度するから。壊れそうな所だけ。今修復した。下水管も繋いだからな」
全体が、石板になった。
失敗したから、ピラミッド内部みたいだが。まあいい。
魔族は小脇に抱えると、動きにくいので抱っこをする。
そして、クスティと別れ、家へと帰る。
すると、美咲と見たことがない女が、にらみ合いをしていた。
「誰だ。あんた?」
俺が聞くと。
「あなたこそ他人の家へと勝手に。何者ですか?」
そんな事を仰る。
「ここは、俺の家。誰かに売ったつもりもないぞ」
騒いでいると、シーラが出てきた。
「あっ。お帰りなさいませ。と言う事は、真一さんも帰ってきました?」
「ああ帰ってきたが、こいつは何者だ? 人の家を、我が物状態だが」
「なっ。何をやっているのですか? アウラさん。勝手に上がり込んで帰らないのはあなたでしょう。この方がここの家主。松田様です」
それを聞いて、首をひねっている。
「確かアミサムの王都まで、行っていると伺いましたが?」
「ああ確かに。行って帰ってきた。途中で用事ができたから、転移したがな」
「転移? それは古の技。ですが、あなたが松田様?」
「そうだが、何だ?」
「違います。私の考えでは、もっと神々しく。ああっ。この世にいてはならないほどの美しさと、気高さを持ったお方です」
「おい。この頭がぶっ飛んだ。失礼な奴は何だ?」
シーラをにらむ。
「えーと確か、アルテリウムのお姫様だったと思います」
「姫だと? クスティに言って送り返せ。大体何で、こんな奴が、我が物で家の中にいるんだ?」
シーラがそーっと、逃げようとする。
当然逃げられもせず。あっさり捕まる。
「えへへ。お店でラーメンの汁とかをかぶって、お風呂を貸したら、出て行かなくなっちゃって」
「『軒を貸して、母屋を取られる』状態だな。何でも良いが、出て行け。家主として、これ以上の滞在は許さん」
「なっそんな横暴な。やはり、あなたは松田様ではありませんね」
「ああ御託は良い。出て行け。ああそれと、美咲。この子を寝室へ」
何が何か分からず。ぼーっとしていた美咲だが。広大が抱える魔族を見て。
「何この娘。妾にでもするの?」
「いや違う。家のチームが捕まえたらしいが、牢でほとんど虐待されて、死にかかっていた。さっきも言ったように魔族のようだ」
そう言うと、美咲が。えーという顔をする。
「大丈夫なの? 凄く危険そうだけど」
「何処が?」
「この胸とか、お尻が。あなた、ふらふらと手を出さない?」
「まだこいつ、ガキだろ?」
「そうかなあ」
ぶつぶつ言いながら、美咲は小脇に魔族を抱えていく。
美咲を見送ると、向き直り。
「それで。まだいたのか。お帰りはあちらだ」
「いやでございます。ここには、すべてがあるのです」
そんなこと言って、柱にしがみつく。
「そんな事をしても無駄だ」
背中側から腹回りに、腕を通し。小脇に抱える。
「ぶ。無礼者ぉ。離しなさい。ええい離せぇ」
と叫びながら玄関へ連れて行かれ、ぺいっと放り出される。
「おい。シーラ。真一の家に行くなら、ついでだ。こいつをクスティの所へ放り込んでいけ」
まだ、玄関先で。横暴を許すな的な、シュプレヒコールをあげている。
私は、アルテリウムから、慰問に訪れ。縁があったのか。それともこの世を司る神の導きか。
我が、アルテリウムの王城など陳腐に思える。この素晴らしいお家へと。たどり着いた。
優雅に流れる時間の中で、この数日。本当にすばらしい生活を、私は満喫をしていた。体に優しい家具のあれこれ、ゆったりと、心地の良いお風呂。そして、体をいたわるような、優しい寝具。ああ何もかもが神の御業。そして、あの。極上であり、至高の食べ物。忘れてはいけない、お風呂上がりの、アイスクリーム。ああっ。
思い出すだけで、いけない女になってしまう。教えの中での、静謐は向上心と、質素で、慎ましやかに暮らせば。得られるものと教えられましたが。真逆の堕落の中に、私は、幸せを見つけてしまいました。
そんな幸せな空間へ、見慣れない女が勝手に入ってきて。
私を見るなり。
「あんた。誰よ」
そんな戯れ言を、事もあろうに私に向かって、投げかけた。
「失礼な。私に向かってなに者とは。そちらこそ。さっさと出てお行きなさい」
「ふざけないで、ちょっと留守の間に、上がり込んで。家から出ていって」
「家から? 笑止。ここは気高く偉大な。松田様のお宅。下賎な者は出てお行きなさい」
そんな愚か者を、諭していたら、わたくしがなぜか放り出された。
そうだわ、領主のキルペライネン殿に注進して、賊を追い払わねば。松田様にご迷惑がかかってしまうし、アイスクリームが食べられなくなってしまう。
私は、幼少期に叱られ。封印してきたけれど。人目も憚らず走ったわ。
壁は漆喰ぽいが、基本は石組み。
半地下構造で、寒い。
檻は、木に金属板を打ちつけたものだが、湿気で木が痩せているところもある。
とりあえず、膨らんできている。床や壁を修復し。
奥の土を、石化させる。
奥行き、1mまで石化してしまった。
転移で解放したせいか、力が余ってる。
天井は、高めだが。上に見えるのは、上部に乗っている建物の床。
罪人を拷問のために吊ったりするから、便利なのだろう。
「本格的改修は、今度するから。壊れそうな所だけ。今修復した。下水管も繋いだからな」
全体が、石板になった。
失敗したから、ピラミッド内部みたいだが。まあいい。
魔族は小脇に抱えると、動きにくいので抱っこをする。
そして、クスティと別れ、家へと帰る。
すると、美咲と見たことがない女が、にらみ合いをしていた。
「誰だ。あんた?」
俺が聞くと。
「あなたこそ他人の家へと勝手に。何者ですか?」
そんな事を仰る。
「ここは、俺の家。誰かに売ったつもりもないぞ」
騒いでいると、シーラが出てきた。
「あっ。お帰りなさいませ。と言う事は、真一さんも帰ってきました?」
「ああ帰ってきたが、こいつは何者だ? 人の家を、我が物状態だが」
「なっ。何をやっているのですか? アウラさん。勝手に上がり込んで帰らないのはあなたでしょう。この方がここの家主。松田様です」
それを聞いて、首をひねっている。
「確かアミサムの王都まで、行っていると伺いましたが?」
「ああ確かに。行って帰ってきた。途中で用事ができたから、転移したがな」
「転移? それは古の技。ですが、あなたが松田様?」
「そうだが、何だ?」
「違います。私の考えでは、もっと神々しく。ああっ。この世にいてはならないほどの美しさと、気高さを持ったお方です」
「おい。この頭がぶっ飛んだ。失礼な奴は何だ?」
シーラをにらむ。
「えーと確か、アルテリウムのお姫様だったと思います」
「姫だと? クスティに言って送り返せ。大体何で、こんな奴が、我が物で家の中にいるんだ?」
シーラがそーっと、逃げようとする。
当然逃げられもせず。あっさり捕まる。
「えへへ。お店でラーメンの汁とかをかぶって、お風呂を貸したら、出て行かなくなっちゃって」
「『軒を貸して、母屋を取られる』状態だな。何でも良いが、出て行け。家主として、これ以上の滞在は許さん」
「なっそんな横暴な。やはり、あなたは松田様ではありませんね」
「ああ御託は良い。出て行け。ああそれと、美咲。この子を寝室へ」
何が何か分からず。ぼーっとしていた美咲だが。広大が抱える魔族を見て。
「何この娘。妾にでもするの?」
「いや違う。家のチームが捕まえたらしいが、牢でほとんど虐待されて、死にかかっていた。さっきも言ったように魔族のようだ」
そう言うと、美咲が。えーという顔をする。
「大丈夫なの? 凄く危険そうだけど」
「何処が?」
「この胸とか、お尻が。あなた、ふらふらと手を出さない?」
「まだこいつ、ガキだろ?」
「そうかなあ」
ぶつぶつ言いながら、美咲は小脇に魔族を抱えていく。
美咲を見送ると、向き直り。
「それで。まだいたのか。お帰りはあちらだ」
「いやでございます。ここには、すべてがあるのです」
そんなこと言って、柱にしがみつく。
「そんな事をしても無駄だ」
背中側から腹回りに、腕を通し。小脇に抱える。
「ぶ。無礼者ぉ。離しなさい。ええい離せぇ」
と叫びながら玄関へ連れて行かれ、ぺいっと放り出される。
「おい。シーラ。真一の家に行くなら、ついでだ。こいつをクスティの所へ放り込んでいけ」
まだ、玄関先で。横暴を許すな的な、シュプレヒコールをあげている。
私は、アルテリウムから、慰問に訪れ。縁があったのか。それともこの世を司る神の導きか。
我が、アルテリウムの王城など陳腐に思える。この素晴らしいお家へと。たどり着いた。
優雅に流れる時間の中で、この数日。本当にすばらしい生活を、私は満喫をしていた。体に優しい家具のあれこれ、ゆったりと、心地の良いお風呂。そして、体をいたわるような、優しい寝具。ああ何もかもが神の御業。そして、あの。極上であり、至高の食べ物。忘れてはいけない、お風呂上がりの、アイスクリーム。ああっ。
思い出すだけで、いけない女になってしまう。教えの中での、静謐は向上心と、質素で、慎ましやかに暮らせば。得られるものと教えられましたが。真逆の堕落の中に、私は、幸せを見つけてしまいました。
そんな幸せな空間へ、見慣れない女が勝手に入ってきて。
私を見るなり。
「あんた。誰よ」
そんな戯れ言を、事もあろうに私に向かって、投げかけた。
「失礼な。私に向かってなに者とは。そちらこそ。さっさと出てお行きなさい」
「ふざけないで、ちょっと留守の間に、上がり込んで。家から出ていって」
「家から? 笑止。ここは気高く偉大な。松田様のお宅。下賎な者は出てお行きなさい」
そんな愚か者を、諭していたら、わたくしがなぜか放り出された。
そうだわ、領主のキルペライネン殿に注進して、賊を追い払わねば。松田様にご迷惑がかかってしまうし、アイスクリームが食べられなくなってしまう。
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