111 / 120
第3章 アミサム王国 動乱
第111話 青い星。名前はもう無い
しおりを挟む
ある日のプローペ。城郭近く。
珍しく、クスティ達まで、引っ張り出された。
目の前には、白くのっぺりとした物体。
「これが調査船ですか?」
クスティが、すべすべの表面をなでる。
触った感じは、釉薬の塗られたツボの表面のよう。
「今飛び回っている調査船はもっと小型だ。これは乗客も乗れる飛行機と言っても分からないか。旅客船だな全長は30m位だが、中には空間拡張の魔法が掛かっていてかなり広い。ベッドルームとかも完備。武器もこの星くらいなら1発で、破壊できるそうだ。何だったかな。原子核反応を物理変換して運動エネルギーを撃ちだす。とか言っていたな。俺じゃあ理解できなくて、ステラがそれ以降、原理じゃなく撃てば強力です。星くらいなら壊せます。とか、こっちは大陸程度が壊せます。そんな説明しか、してくれなくなった」
説明をしながら、思わず苦笑いだ。
それを聞いて、日本側の人間は理解してくれたようだが。
とりあえず、ゲートを開き。皆を中へ案内する。
今から乗り込む人間は、登録済みの人間以外は、ゲスト登録をするようにしている。
乗るのは身内と、多分遊びに来ているアミサム王族。第1王女ビルギッタに当然いる第二王女マリアーナ。それと第2王子クトゥルフ。
領主クスティと執事のヤルマリ。メイド長アニタとこれまた当然カリーネ。
ついでに拉致をしてきた、魔王イブリース。
家に、新しい店のことで、話をしに来ていたさすらいの裁縫人斉藤さん。
後は、日本から来ている人間で希望者。多くなりすぎ。あみだをしたようだ。
多分全員乗れたと思うが、言っていない。
ああ。そういえば、シーラも真一にくっ付いていた。
「さーてと、飛ぶぞ」
コントロール用ヘアバンドをして、サポートをステラとこの船の航行AIに任せる。
振動も何もなく、浮き上がる。
だが中では、何も変化がない。
重力まで、制御を行っているようだ。凄いな。だがつまらん。
「壁面モード変更。全面展望」
皆に聞こえないように、命令を出す。すると、壁面すべてが展望モード。つまり透明になる。
当然、客室内に絶叫が響き渡る。
まだ高度は10m位だが、突然だしな。
「落ち着け、床はあるだろう。映像だ」
そうは言ったが、皆があわてて、見えている座席へ座り始める。
徐々に上昇をして行くと、騒めきが日本関係者から聞こえ始める。
「こりゃ、場所的には中東か?」
「そうだな。アフガニスタン辺りから、イラン。アフリカと地中海は隆起をしたんだな」
「おい。あれ見ろよ」
指さす方向には、砕けて大きくピースの掛けたユーラシアが見えている。
モンゴル辺りが、大陸として残っているのが魔王領のある大陸だろう。
地軸と極が傾き、日本の辺りから上は北極圏なんだろう。
他にも、アメリカ大陸もあるが、大きくクレーターに食われたかのような姿がある。
「これは、地球の未来か?」
〈ステラ。過去の地名でインド、アメリカとか、日本とかあったか?〉
〈存在しません。現在の大陸のある辺りは、コンテネンス大陸と呼ばれ。人が支配をしていました。そのほかの大陸にも、人ですがこの星の原種が存在。頑なに原始的な暮らしを守っていたとなっています。記録は明確ではありませんが、コンテネンス大陸の西方にあった島国に、先祖が戦いに敗れ。広大な宇宙を流浪の末に流れ着き、自然を神とあがめる智のある民と混血後。大陸へと渡り、今のアミサム王国東方に王国レグナムヒエムスを建国。レグナム歴5356年。些細な意見の相違から大戦が勃発。星全体を巻き込み、爆弾による地殻変動と気候変動が巻き起こったとなっています。大戦後変動した気候に耐えるため我々の設備と、遺伝子を操作した種をいくつか残したと記録上はなっています。レグナム人は暴走した魔力に体が耐えきれず。戦後三世代目を残せず500年ほどで姿を消しています。ですが、誕生した星に帰ったとも一部データがあります〉
「おおう。情報が多い。土門さん。歴史が違うから、地球じゃないようですが。彼らの先祖。元々は宇宙人のようです」
「なんと」
そう言っている間に、大気圏は突き抜けたようだ。
うん? ちょっと待て。
〈おおい。この船。宇宙空間でも平気なのか?〉
〈無論です。このまま、衛星にでも行きましょう〉
そう言うと、船は加速し、月へと向かい始める。
凄いスピードで。
「おお、地球じゃないが。青いな」
誰かが言った声が、艦内に響く。
振り向くと、急速に小さくなる青い星。
正面を向けば、急激に大きくなる月。
〈ちょっと、怖いが大丈夫か?〉
〈気を付けましょう。ぶつかれば月が無くなります〉
「はっ? 月が無くなる?」
聞こえないはずの、ステラのため息が聞こえる。
〈この船は、強固なシールドが展開されています。このスピードで行けば、結構深くまで突き刺さりますが、シールドがエネルギーを反射いたしますので、月が割れる可能性があります。無論内部。この船には何の影響はありませんが、母星において潮汐関係で問題が発生。星内部でも月の重力の影響がなくなると、発熱が減るため、星が死ぬ時間が早くなります〉
〈そうか。ありがとう〉
珍しく、クスティ達まで、引っ張り出された。
目の前には、白くのっぺりとした物体。
「これが調査船ですか?」
クスティが、すべすべの表面をなでる。
触った感じは、釉薬の塗られたツボの表面のよう。
「今飛び回っている調査船はもっと小型だ。これは乗客も乗れる飛行機と言っても分からないか。旅客船だな全長は30m位だが、中には空間拡張の魔法が掛かっていてかなり広い。ベッドルームとかも完備。武器もこの星くらいなら1発で、破壊できるそうだ。何だったかな。原子核反応を物理変換して運動エネルギーを撃ちだす。とか言っていたな。俺じゃあ理解できなくて、ステラがそれ以降、原理じゃなく撃てば強力です。星くらいなら壊せます。とか、こっちは大陸程度が壊せます。そんな説明しか、してくれなくなった」
説明をしながら、思わず苦笑いだ。
それを聞いて、日本側の人間は理解してくれたようだが。
とりあえず、ゲートを開き。皆を中へ案内する。
今から乗り込む人間は、登録済みの人間以外は、ゲスト登録をするようにしている。
乗るのは身内と、多分遊びに来ているアミサム王族。第1王女ビルギッタに当然いる第二王女マリアーナ。それと第2王子クトゥルフ。
領主クスティと執事のヤルマリ。メイド長アニタとこれまた当然カリーネ。
ついでに拉致をしてきた、魔王イブリース。
家に、新しい店のことで、話をしに来ていたさすらいの裁縫人斉藤さん。
後は、日本から来ている人間で希望者。多くなりすぎ。あみだをしたようだ。
多分全員乗れたと思うが、言っていない。
ああ。そういえば、シーラも真一にくっ付いていた。
「さーてと、飛ぶぞ」
コントロール用ヘアバンドをして、サポートをステラとこの船の航行AIに任せる。
振動も何もなく、浮き上がる。
だが中では、何も変化がない。
重力まで、制御を行っているようだ。凄いな。だがつまらん。
「壁面モード変更。全面展望」
皆に聞こえないように、命令を出す。すると、壁面すべてが展望モード。つまり透明になる。
当然、客室内に絶叫が響き渡る。
まだ高度は10m位だが、突然だしな。
「落ち着け、床はあるだろう。映像だ」
そうは言ったが、皆があわてて、見えている座席へ座り始める。
徐々に上昇をして行くと、騒めきが日本関係者から聞こえ始める。
「こりゃ、場所的には中東か?」
「そうだな。アフガニスタン辺りから、イラン。アフリカと地中海は隆起をしたんだな」
「おい。あれ見ろよ」
指さす方向には、砕けて大きくピースの掛けたユーラシアが見えている。
モンゴル辺りが、大陸として残っているのが魔王領のある大陸だろう。
地軸と極が傾き、日本の辺りから上は北極圏なんだろう。
他にも、アメリカ大陸もあるが、大きくクレーターに食われたかのような姿がある。
「これは、地球の未来か?」
〈ステラ。過去の地名でインド、アメリカとか、日本とかあったか?〉
〈存在しません。現在の大陸のある辺りは、コンテネンス大陸と呼ばれ。人が支配をしていました。そのほかの大陸にも、人ですがこの星の原種が存在。頑なに原始的な暮らしを守っていたとなっています。記録は明確ではありませんが、コンテネンス大陸の西方にあった島国に、先祖が戦いに敗れ。広大な宇宙を流浪の末に流れ着き、自然を神とあがめる智のある民と混血後。大陸へと渡り、今のアミサム王国東方に王国レグナムヒエムスを建国。レグナム歴5356年。些細な意見の相違から大戦が勃発。星全体を巻き込み、爆弾による地殻変動と気候変動が巻き起こったとなっています。大戦後変動した気候に耐えるため我々の設備と、遺伝子を操作した種をいくつか残したと記録上はなっています。レグナム人は暴走した魔力に体が耐えきれず。戦後三世代目を残せず500年ほどで姿を消しています。ですが、誕生した星に帰ったとも一部データがあります〉
「おおう。情報が多い。土門さん。歴史が違うから、地球じゃないようですが。彼らの先祖。元々は宇宙人のようです」
「なんと」
そう言っている間に、大気圏は突き抜けたようだ。
うん? ちょっと待て。
〈おおい。この船。宇宙空間でも平気なのか?〉
〈無論です。このまま、衛星にでも行きましょう〉
そう言うと、船は加速し、月へと向かい始める。
凄いスピードで。
「おお、地球じゃないが。青いな」
誰かが言った声が、艦内に響く。
振り向くと、急速に小さくなる青い星。
正面を向けば、急激に大きくなる月。
〈ちょっと、怖いが大丈夫か?〉
〈気を付けましょう。ぶつかれば月が無くなります〉
「はっ? 月が無くなる?」
聞こえないはずの、ステラのため息が聞こえる。
〈この船は、強固なシールドが展開されています。このスピードで行けば、結構深くまで突き刺さりますが、シールドがエネルギーを反射いたしますので、月が割れる可能性があります。無論内部。この船には何の影響はありませんが、母星において潮汐関係で問題が発生。星内部でも月の重力の影響がなくなると、発熱が減るため、星が死ぬ時間が早くなります〉
〈そうか。ありがとう〉
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さくら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる