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第三章 暗躍する者達
第22話 無慈悲な宣言
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「昨日の勉強が…… 記憶が消えてるぅ」
朝っぱらから、朱莉が叫ぶ。
昨夜は、物の怪達がおかしかった。
妙に空気もざわついていた。
そしてあれは……
気が付けば、皆夕方まで爆睡。
「やば」
いつもの様に、指令に従い飛び出す。
「なあに? 子鬼が活性化?」
「珍しいわね」
そう言いながらも、川の上流へと昇って行く。
水の流れは、時に向こうの世界と繋がる。
滝となり流れ落ちるところを念入りに探していく。
こう言うときは、雫が強い。
水は、雫の意のままに動き流れを変える。
空間のゆがみを風で読む。
「無いぞ……」
「うん。水のよどみも無い」
ふと見つめ合い、下流へと向かう。
たまに洞、つまり暗渠とかのトンネルが繋がることがある。
走っていく俺たちを見て、遅れていた陸斗や朱莉が、ニタニタしながら追いかけてくる。
「探査ご苦労様」
「ああ、上の方にゆがみはない」
「じゃあ、側溝とか暗渠ね」
川が少し広がり、交わる川が増える。
皆が別れたとき、この世の物では無い空気が、瘴気をもって吹き抜ける。
「あっちは、朱莉。大丈夫か?」
追いかけて少し上流へ。
すると、川の法面ぽっかり空いた暗渠の出口そこから、怪しい空気が流れ出ていた。
その風に当たると、体中を虫が這い回るような不快さを感じる。
「朱莉」
水に体が半分浸かり、岩にもたれるように倒れていた。
声をかけると目が覚めたが、言うことがおかしい。
「うん。頭が痛いから、キスして」
「ふざけるな、頭から血が出てる」
「うん。わたし初めてだもん……」
これはいけない。相当強く頭を打ったようだ。
治癒の風と、浄化の風。
浄化の風は、この一帯を包むくらい広く、そして強く。
すると、空間の揺らぎは消えた。
朱莉を抱えるように後頭部を見ると、血は止まり、傷もなくなっていた。
「なんか、反応が良くなったな」
治療といっても普通はもっと時間がかかるのに、スパッと治っている。
まあいい、後は、出てきた子鬼を見つけて、滅するのみ。
朱莉を抱えたまま、上の道路へと飛び上がる。
風を広げ、注意深く探す。
「いた、一と二。三これで終わりか?」
見つけた瞬間に切り、そして払う。
向こうの者は浄化をしないと蘇る。
抱っこされながら、ぼーっとしていた意識が蘇る。
あれ? 颯司……
さっき何か言った気がする。
あー。キスしてとか言ったよね。
はうううっ。恥ずかしいぃ。
そして、現在進行形で抱かれている。
そう抱かれている。
颯司に抱かれて…… 言葉にするとえっちぃ。
この前封印が取れ、気持ちがまだ不安定なようだ。
腕の中で、怪しくうひゃうひゃと朱莉は喜ぶ。
おかげで、雫達が来たときには、なぜか足が立たずガクガクしていた。
だけど……
「これは駄目だな、送っていくよ」
「えっ、それならあたしが持つわ」
「いえ大丈夫です。颯司お願い」
雫の申し出をぶった切る。
抱っこは、おんぶに変わるが、颯司の手が私の太ももに食い込み、私お股の敏感なところが良い感じにこすれて……
ズボンが濡れていてラッキーだったわ。
そう連れて帰られ、私はシャワーを浴び……
時間が無いのに一時間も。
かなりのぼせて、布団に入り、また手が勝手に……
私何時からこんなにエッチになったんだろう……
前からだね。
ただ前はこんなに気持ちよくなかったぁ……
「朱莉。朝よ起きなさい」
「へっ? 朝?」
私は最悪な朝を迎える。
「今日のとこ覚えているか?」
数時間ぶりの、颯司。
顔を見るだけで、色々と思い出して、顔が真っ赤になるし、体も反応をする。
ウヒャーとか言いたい。
毎日こんなのだと、私死ぬかもしれない。
「朱莉、大丈夫か?」
颯司に手を引かれる。
ちょっとふらついたようだ。
彼の手が、額にやって来る。
ああドキドキが、止まらない。
「熱くないか?」
「どれ?」
雫の手は、まるで超低温。
「ひゃっ」
「大丈夫よ。この猿」
「えっ? 猿?」
雫が口パクで伝えてくる。
「盛るんじゃないわよ」
「盛るってなに?」
「言って欲しい?」
雫の指が私のお腹の方を指さす。
「あっ…… 結構です」
自分では分からないけれど、人だと匂いが分かるらしい。
シートを引いていても、やっぱり駄目だとか。
もう頭がうひゃうひゃ状態で、学校へ行き……
私は寝た。
ええ、学校へ行き、席に着く。するともうパブロフの犬状態。
テストだからと気合いで昨日は乗り切ったのに、今日はもうだめ。
背筋を伸ばし、なんとか起きようとする努力ポジションのまま、陸斗のように寝たらしい。
友人が見ると、努力をしたせいか、半眼で白目だったらしい。
「無表情で、半眼で白目。背筋はピンだもの。シャーペンはきっちり握って……」
そう言って笑っていた。
後ろなんだから、起こしてよね。
「ああ、そうそう。先生が言っていたわよ。『点数が足りない子は補習をします』ですって」
「えっ何時?」
「当然今じゃないでしょ、休み。夏休みに頑張れ。高校の特進クラスみたいでかっこいい」
思わず、ケラケラ笑う友人を燃やしたくなった。
能力の無駄使いは駄目ね。
警察には捕まらないけれど、一〇年くらい座敷牢で反省させられそう。
今日だけで、四教科真っ白。
昨日は…… 名前くらいは書いたわね。
朝っぱらから、朱莉が叫ぶ。
昨夜は、物の怪達がおかしかった。
妙に空気もざわついていた。
そしてあれは……
気が付けば、皆夕方まで爆睡。
「やば」
いつもの様に、指令に従い飛び出す。
「なあに? 子鬼が活性化?」
「珍しいわね」
そう言いながらも、川の上流へと昇って行く。
水の流れは、時に向こうの世界と繋がる。
滝となり流れ落ちるところを念入りに探していく。
こう言うときは、雫が強い。
水は、雫の意のままに動き流れを変える。
空間のゆがみを風で読む。
「無いぞ……」
「うん。水のよどみも無い」
ふと見つめ合い、下流へと向かう。
たまに洞、つまり暗渠とかのトンネルが繋がることがある。
走っていく俺たちを見て、遅れていた陸斗や朱莉が、ニタニタしながら追いかけてくる。
「探査ご苦労様」
「ああ、上の方にゆがみはない」
「じゃあ、側溝とか暗渠ね」
川が少し広がり、交わる川が増える。
皆が別れたとき、この世の物では無い空気が、瘴気をもって吹き抜ける。
「あっちは、朱莉。大丈夫か?」
追いかけて少し上流へ。
すると、川の法面ぽっかり空いた暗渠の出口そこから、怪しい空気が流れ出ていた。
その風に当たると、体中を虫が這い回るような不快さを感じる。
「朱莉」
水に体が半分浸かり、岩にもたれるように倒れていた。
声をかけると目が覚めたが、言うことがおかしい。
「うん。頭が痛いから、キスして」
「ふざけるな、頭から血が出てる」
「うん。わたし初めてだもん……」
これはいけない。相当強く頭を打ったようだ。
治癒の風と、浄化の風。
浄化の風は、この一帯を包むくらい広く、そして強く。
すると、空間の揺らぎは消えた。
朱莉を抱えるように後頭部を見ると、血は止まり、傷もなくなっていた。
「なんか、反応が良くなったな」
治療といっても普通はもっと時間がかかるのに、スパッと治っている。
まあいい、後は、出てきた子鬼を見つけて、滅するのみ。
朱莉を抱えたまま、上の道路へと飛び上がる。
風を広げ、注意深く探す。
「いた、一と二。三これで終わりか?」
見つけた瞬間に切り、そして払う。
向こうの者は浄化をしないと蘇る。
抱っこされながら、ぼーっとしていた意識が蘇る。
あれ? 颯司……
さっき何か言った気がする。
あー。キスしてとか言ったよね。
はうううっ。恥ずかしいぃ。
そして、現在進行形で抱かれている。
そう抱かれている。
颯司に抱かれて…… 言葉にするとえっちぃ。
この前封印が取れ、気持ちがまだ不安定なようだ。
腕の中で、怪しくうひゃうひゃと朱莉は喜ぶ。
おかげで、雫達が来たときには、なぜか足が立たずガクガクしていた。
だけど……
「これは駄目だな、送っていくよ」
「えっ、それならあたしが持つわ」
「いえ大丈夫です。颯司お願い」
雫の申し出をぶった切る。
抱っこは、おんぶに変わるが、颯司の手が私の太ももに食い込み、私お股の敏感なところが良い感じにこすれて……
ズボンが濡れていてラッキーだったわ。
そう連れて帰られ、私はシャワーを浴び……
時間が無いのに一時間も。
かなりのぼせて、布団に入り、また手が勝手に……
私何時からこんなにエッチになったんだろう……
前からだね。
ただ前はこんなに気持ちよくなかったぁ……
「朱莉。朝よ起きなさい」
「へっ? 朝?」
私は最悪な朝を迎える。
「今日のとこ覚えているか?」
数時間ぶりの、颯司。
顔を見るだけで、色々と思い出して、顔が真っ赤になるし、体も反応をする。
ウヒャーとか言いたい。
毎日こんなのだと、私死ぬかもしれない。
「朱莉、大丈夫か?」
颯司に手を引かれる。
ちょっとふらついたようだ。
彼の手が、額にやって来る。
ああドキドキが、止まらない。
「熱くないか?」
「どれ?」
雫の手は、まるで超低温。
「ひゃっ」
「大丈夫よ。この猿」
「えっ? 猿?」
雫が口パクで伝えてくる。
「盛るんじゃないわよ」
「盛るってなに?」
「言って欲しい?」
雫の指が私のお腹の方を指さす。
「あっ…… 結構です」
自分では分からないけれど、人だと匂いが分かるらしい。
シートを引いていても、やっぱり駄目だとか。
もう頭がうひゃうひゃ状態で、学校へ行き……
私は寝た。
ええ、学校へ行き、席に着く。するともうパブロフの犬状態。
テストだからと気合いで昨日は乗り切ったのに、今日はもうだめ。
背筋を伸ばし、なんとか起きようとする努力ポジションのまま、陸斗のように寝たらしい。
友人が見ると、努力をしたせいか、半眼で白目だったらしい。
「無表情で、半眼で白目。背筋はピンだもの。シャーペンはきっちり握って……」
そう言って笑っていた。
後ろなんだから、起こしてよね。
「ああ、そうそう。先生が言っていたわよ。『点数が足りない子は補習をします』ですって」
「えっ何時?」
「当然今じゃないでしょ、休み。夏休みに頑張れ。高校の特進クラスみたいでかっこいい」
思わず、ケラケラ笑う友人を燃やしたくなった。
能力の無駄使いは駄目ね。
警察には捕まらないけれど、一〇年くらい座敷牢で反省させられそう。
今日だけで、四教科真っ白。
昨日は…… 名前くらいは書いたわね。
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