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第三章 暗躍する者達
第28話 本家筋の力
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「わらわは…… ぐはっ」
相手が喋っているのに、容赦のない朱莉。
補習や何かで、ストレスが積もっていたようだ。
その頃、俺も異物がいることを感じていた。
ただ、近くに突然、その存在が出て来たので驚いた。
転移でもしてきたように、本当に突然。
「朱莉が出会ってなければ良いが……」
もう一人が、普通の人ならもっとやばいのだが、なぜかそう思ってしまうのは仕方が無いだろう。他人よりは身内。そう思いながら走っていく。
「ああ、やっぱり」
夕方、この界隈は俺達の住まいがあるため、基本的に人通りは少ないが、それでも居ないわけでは無い。
着物を着た変なおばさんが、電信柱を蹴り空を駆ける。
それに対して、炎の球が追いかける。
非現実な情景。
一見をすると、見た目朱莉はぼーっと非日常な光景、それを見ている中学生という感じ。
流石に、リアクションも控えめにやっているようだ。
「そこの人、危ないから逃げた方が良い」
嬉しそうな顔をして、撮影をしている人達。
こういう人達って、自分だけは大丈夫とでも思っているのだろうか?
「ああ、気が付いちゃった」
大学生くらいの男の人、降りてきた鬼が、ぱっと開いた口に頭を食われた。
「すごいねあれ」
「うん。素早くて捉えきれない」
「加勢をしよう」
足元で風を巻き、その場に留める。
そこに火の玉、燃え尽くすまで消えませんバージョン。
朱莉の呪いと命名された技が撃ち込まれる。
同じ様な感じで、恋の炎バージョンとか色々あるらしい。
見た目だけでは違いが分からない。
そう、他の分家筋が苦労をしていた鬼、橋姫を二人であっさりと倒してしまった。
それは色々理由があるが、ここでは、橋姫が倒れたことに、鬼達が驚いたようだ。
「なに? どこでだ」
大嶽丸は地図の一点を指し示す。
「そんな住宅地で…… いやその大きい屋敷群はなんだ?」
「さあ、ただ、跡形もなかったぞ。警察とやらが集まってきていたが」
うむむと、茨木童子は首をひねるが、結局見に行くのは諦める。
だが、大嶽丸は行ってしまう。
彼は自分が強いことも知っている。
「何もない? いやこの風はなんだ?」
彼が、この場に現れて数秒。
すでに、彼の体で異変が起こる。
体の周りに風が渦巻き、力を使って移動をするが、付いてくる。
剣を持ち、ブンブンと振り回して風を切ろうとする。
だが、無意味。
足が固定をされて、動けなくなる。
見ると足を突き通して出た杭は、足の甲でパカリと割れて、足を縫い止める。
そして、動けない所に、黒い炎が降ってくる。
一度体についた炎は、叩いても払っても消えず、逆に広がっていく。最後まで消えることなく彼の体を燃やしていく。
どこから湧いてきたのか、周囲に散らばった武器が、人に見られる前に回収されていく。
そう、現れたのは風祭 飄重、颯司の親父さん達。
子ども達には、出るなと言っているが、近所で出たらしく、警戒の風が舞っていた。
「意外と強いな、それに転移か?」
「こいつが、転移能力持ちなら、幾人も居ないだろうから被害がましになるな」
「そうなれば良いが」
そう言いながら、各人が、闇へ溶けるように消えていく。
祭家ほどではないが、異能を多少使えるようだ。
そこから、被害を減らすためもあり、分家筋には場所の特定ができれば連絡をして待機という命令が流される。
いくつかの拠点が、絞られてそこに従事派遣される親父たち。
「おらあ、逃げるんじゃねぇ」
「くそう、なんだあいつら」
怪しい奴らが、車に乗って逃げる。
連れてきた鬼は瞬殺をされてしまった。
「まだ居るか?」
車は回り道をしながら、町中の狭い道を縫うように逃げ回る。
「後ろには見えなくなった」
彼らはほっと息をつく。
「結局餌がいねえ」
そう言いながら、アジトの地下駐車場へと入っていく。
とぼとぼと、控え室まで上がっていくと、土蜘蛛が鼻を鳴らす。
「馬鹿野郎ども、何を連れてきやがった」
「おっ、気が付いたのか?」
途端に風が吹き抜ける。
途端に土蜘蛛が飛び跳ねる。
さっき居た場所には針が出ていた。
そして、風が渦を巻き、その流れに炎が乗ってくる。
当然、土蜘蛛の大きな体では避けられない。
軽量鉄骨下地の壁をとっさにぶち抜くが、体に火が付いてしまった。
当然一度つけば消えず、範囲が広がっていく。
苦しみ転がっているが、消えることはなく、転がることでさらに火が広がっていく。
なっあっというまに、土蜘蛛が……
組織の、連中があわてて非常階段へと飛び込んでいく。
むろん、そこにも風に乗った炎が追いかける。
捕まっている人達がいないかを確認をして、その日アジトのビルが焼失をする。
消防が一生懸命消したが消えず、コンクリートを含めて、鉄筋すら燃え尽きた。
「何が起こった?」
「奴らか?」
「やつら?」
「ああ、昔も居たんだ。俺達が暴れたら出てきた奴ら。陰陽師とか退魔師とかさ、奴らが出てきたなら少しやばいかもなぁ」
十人が十人振り返りそうな美形、茨木童子なのだが顔を変えたようだ。
「そんなに?」
「奴らは、普通の人間じゃないんだよ。俺達に近い」
相手が喋っているのに、容赦のない朱莉。
補習や何かで、ストレスが積もっていたようだ。
その頃、俺も異物がいることを感じていた。
ただ、近くに突然、その存在が出て来たので驚いた。
転移でもしてきたように、本当に突然。
「朱莉が出会ってなければ良いが……」
もう一人が、普通の人ならもっとやばいのだが、なぜかそう思ってしまうのは仕方が無いだろう。他人よりは身内。そう思いながら走っていく。
「ああ、やっぱり」
夕方、この界隈は俺達の住まいがあるため、基本的に人通りは少ないが、それでも居ないわけでは無い。
着物を着た変なおばさんが、電信柱を蹴り空を駆ける。
それに対して、炎の球が追いかける。
非現実な情景。
一見をすると、見た目朱莉はぼーっと非日常な光景、それを見ている中学生という感じ。
流石に、リアクションも控えめにやっているようだ。
「そこの人、危ないから逃げた方が良い」
嬉しそうな顔をして、撮影をしている人達。
こういう人達って、自分だけは大丈夫とでも思っているのだろうか?
「ああ、気が付いちゃった」
大学生くらいの男の人、降りてきた鬼が、ぱっと開いた口に頭を食われた。
「すごいねあれ」
「うん。素早くて捉えきれない」
「加勢をしよう」
足元で風を巻き、その場に留める。
そこに火の玉、燃え尽くすまで消えませんバージョン。
朱莉の呪いと命名された技が撃ち込まれる。
同じ様な感じで、恋の炎バージョンとか色々あるらしい。
見た目だけでは違いが分からない。
そう、他の分家筋が苦労をしていた鬼、橋姫を二人であっさりと倒してしまった。
それは色々理由があるが、ここでは、橋姫が倒れたことに、鬼達が驚いたようだ。
「なに? どこでだ」
大嶽丸は地図の一点を指し示す。
「そんな住宅地で…… いやその大きい屋敷群はなんだ?」
「さあ、ただ、跡形もなかったぞ。警察とやらが集まってきていたが」
うむむと、茨木童子は首をひねるが、結局見に行くのは諦める。
だが、大嶽丸は行ってしまう。
彼は自分が強いことも知っている。
「何もない? いやこの風はなんだ?」
彼が、この場に現れて数秒。
すでに、彼の体で異変が起こる。
体の周りに風が渦巻き、力を使って移動をするが、付いてくる。
剣を持ち、ブンブンと振り回して風を切ろうとする。
だが、無意味。
足が固定をされて、動けなくなる。
見ると足を突き通して出た杭は、足の甲でパカリと割れて、足を縫い止める。
そして、動けない所に、黒い炎が降ってくる。
一度体についた炎は、叩いても払っても消えず、逆に広がっていく。最後まで消えることなく彼の体を燃やしていく。
どこから湧いてきたのか、周囲に散らばった武器が、人に見られる前に回収されていく。
そう、現れたのは風祭 飄重、颯司の親父さん達。
子ども達には、出るなと言っているが、近所で出たらしく、警戒の風が舞っていた。
「意外と強いな、それに転移か?」
「こいつが、転移能力持ちなら、幾人も居ないだろうから被害がましになるな」
「そうなれば良いが」
そう言いながら、各人が、闇へ溶けるように消えていく。
祭家ほどではないが、異能を多少使えるようだ。
そこから、被害を減らすためもあり、分家筋には場所の特定ができれば連絡をして待機という命令が流される。
いくつかの拠点が、絞られてそこに従事派遣される親父たち。
「おらあ、逃げるんじゃねぇ」
「くそう、なんだあいつら」
怪しい奴らが、車に乗って逃げる。
連れてきた鬼は瞬殺をされてしまった。
「まだ居るか?」
車は回り道をしながら、町中の狭い道を縫うように逃げ回る。
「後ろには見えなくなった」
彼らはほっと息をつく。
「結局餌がいねえ」
そう言いながら、アジトの地下駐車場へと入っていく。
とぼとぼと、控え室まで上がっていくと、土蜘蛛が鼻を鳴らす。
「馬鹿野郎ども、何を連れてきやがった」
「おっ、気が付いたのか?」
途端に風が吹き抜ける。
途端に土蜘蛛が飛び跳ねる。
さっき居た場所には針が出ていた。
そして、風が渦を巻き、その流れに炎が乗ってくる。
当然、土蜘蛛の大きな体では避けられない。
軽量鉄骨下地の壁をとっさにぶち抜くが、体に火が付いてしまった。
当然一度つけば消えず、範囲が広がっていく。
苦しみ転がっているが、消えることはなく、転がることでさらに火が広がっていく。
なっあっというまに、土蜘蛛が……
組織の、連中があわてて非常階段へと飛び込んでいく。
むろん、そこにも風に乗った炎が追いかける。
捕まっている人達がいないかを確認をして、その日アジトのビルが焼失をする。
消防が一生懸命消したが消えず、コンクリートを含めて、鉄筋すら燃え尽きた。
「何が起こった?」
「奴らか?」
「やつら?」
「ああ、昔も居たんだ。俺達が暴れたら出てきた奴ら。陰陽師とか退魔師とかさ、奴らが出てきたなら少しやばいかもなぁ」
十人が十人振り返りそうな美形、茨木童子なのだが顔を変えたようだ。
「そんなに?」
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