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第四章 脅威は広がっていた
第47話 トラウマ
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雫は、結構重傷だった。
犯人は消えていたが、脊髄損傷を起こしていたらしく呼吸は出来ていたが下半身の感覚がなかったようだ。
通りがかりの人が、警察と救急車を呼んでくれたらしい。
俺は、父さん達と一緒に、水祭の家に呼ばれた。
雫は、水祭家の御神水の中に浸かっていた。
白装束だったから、見た瞬間少し驚いた。
だが、寝ていただけなので一安心。
父さん達が状態を、流水さん達から聞いている。
「あっ、颯司」
雫が気がついた。
「なんかドジッちゃった」
そう言いながら、別件で恥ずかしそうだ。
目線が体を見るなと訴える。
「相手は、どんな奴だ?」
「うーん、見た目は普通の疲れたおじさん。だけど人の首から血を吸っていたからどうなんだろ」
困ったみたいな顔をする。
「だけど攻撃の気配も、何もなかったの…… 気がついたら背中が木に当たって、息ができなくて、この状態……」
「空気の揺らぎも、何もなかったのか?」
「うん。ただ飛ばされてドンって……」
「そうか、癒やしの風を送り込むから、安心をしろ」
「うんお願い。感覚がなくて困っていたの」
そう言って、へらっと笑う。
父さんによると、やっぱり胸髄損傷で神経を傷つけたらしい。
病院だと治せない。
水祭の癒やしと、うちの癒やし。
体の内と外から修復を掛ける。
治り始めると、しびれや痛みが出るらしく少し暴れる。
父さん母さん俺で、ずっと治療する。
時間が空くと治せなくなる。
三日ほど経ち、なんとか治ったようだ。
「痛みが消えた、それに痺れも…… 水の感覚も分かる」
雫はそう言って立ち上がった。
流水さんや美沙は、うっすらと泣いていた。
「いや家も困った時には頼りますし」
そう行って帰った。
それでだ、一週間ほどして、アルバイトをしようと雫は家を出た。
いつもの様に。
だが魔と対峙する。倒すと考えただけで、足から力が抜けて、呼吸が苦しく、道を進めば目眩までし始めた。
これはおかしい……
その日は、諦めて家に帰った。
だが翌日も同じ。
そのため、彼女は考えたすえ、俺はお願いをされた。
「一緒に行って」
俺は素直に受ける。
迎えに行って、玄関を出る。
家の門を出て、しばらくは大丈夫そうだった。
だが徐々に雫の歩みが遅くなる。
「どうした?」
「手を引いて貰って良い?」
「ああ良いよ」
昔も、こんな事があった。
あれは、戦闘に向かうときじゃなく、キャンプのときだったか……
だけどそれでも、彼女の顔は青くなり、ガクガクと震え始めだした。
よく言う、イップスだろう。
心が体にブレーキを掛ける。
不可視の攻撃は、雫にとって恐怖だったのだろう。
人間誰しも、知らない物は怖い。
だがその恐れが集まり、固まり闇を創り出す…… 魔を生み出す。
強くあれ。
子供の頃からよく聞いた言葉。
だがこの状態で、震えている彼女に言うのは酷だろう。
そっと抱きしめ聞く。
「大丈夫か? 怖いなら帰るか?」
「ごめんね。なんだかおかしくて…… 体が、言うことを…… 聞くわ」
「はっ?」
体を離そうとするが、ぎゅっと抱きつかれて離れない。
だけど震えていない。
気のせいか顔色は、青から赤へ……
「んっ」
キスをされる。
まあいやじゃ無いけれど、いつもの奴より情熱的で。
お返しに、彼女側もなめ回す。
かくっと彼女の膝から力が抜ける。
「あれ、力が」
「やっぱり、無理しちゃだめなんだよ」
「いやちが…… そう、そうね。ほほほっ」
「なんかおかしいし」
手を繋いで帰る。
その晩、雫の封印がはじけた。
その時以来、おまじないにかこつけた、雫のお願い。
それからも、雫が言っていた、そのわけの分からない奴とは会っていない。
出会ったとき、どうなるのかも不明。
ただ何のリアクションのない攻撃というのは恐怖。
四属性は必ず何か変化があり、来る気配が分かる。
だが、超能力のようなものなら、距離が関係がなく、へたすれば途中にある物質すら関係がないのかもしれない。
雫が言っていた様に、防ぐ手段がない。
父さんにも相談をしてみたが、力の行使なら何かがあるはずだ。
思いを物理的変化にする。
何もなくて発動できるなら、そいつは神だ。
そう言っていた。
そんな事を言いながら、悩みつつ俺達は高校生となった。
「犯人は中です、集団でか弱い女子を襲うつもりで、計画をしていたようです」
「此の、部室。水があふれているようだが……」
「中でたばこでも吸って、スプリンクラーでも動いたんじゃないですか?」
雫はそう答える。
先生は、横からドアを開ける。
水でドアが押されていたため、ひねるだけではじけるようにドアが開く。
勢いで押されて飛んでいく先生。
流れ出す、部員達。
大部分は白目をむいていたが、幾人かは正気だった。
起き上がり、逃げようとする。
だが突然、グランドに穴が開き落ちる。
都合八人。
「うわー最低」
この人数で一人を? バカじゃない。
きっと皆思っただろう。
うわー私って人気者? でも……
雫は、横に立ち、呆れた顔で犯人達を見ている、颯司をちらっと見つめる。
犯人は消えていたが、脊髄損傷を起こしていたらしく呼吸は出来ていたが下半身の感覚がなかったようだ。
通りがかりの人が、警察と救急車を呼んでくれたらしい。
俺は、父さん達と一緒に、水祭の家に呼ばれた。
雫は、水祭家の御神水の中に浸かっていた。
白装束だったから、見た瞬間少し驚いた。
だが、寝ていただけなので一安心。
父さん達が状態を、流水さん達から聞いている。
「あっ、颯司」
雫が気がついた。
「なんかドジッちゃった」
そう言いながら、別件で恥ずかしそうだ。
目線が体を見るなと訴える。
「相手は、どんな奴だ?」
「うーん、見た目は普通の疲れたおじさん。だけど人の首から血を吸っていたからどうなんだろ」
困ったみたいな顔をする。
「だけど攻撃の気配も、何もなかったの…… 気がついたら背中が木に当たって、息ができなくて、この状態……」
「空気の揺らぎも、何もなかったのか?」
「うん。ただ飛ばされてドンって……」
「そうか、癒やしの風を送り込むから、安心をしろ」
「うんお願い。感覚がなくて困っていたの」
そう言って、へらっと笑う。
父さんによると、やっぱり胸髄損傷で神経を傷つけたらしい。
病院だと治せない。
水祭の癒やしと、うちの癒やし。
体の内と外から修復を掛ける。
治り始めると、しびれや痛みが出るらしく少し暴れる。
父さん母さん俺で、ずっと治療する。
時間が空くと治せなくなる。
三日ほど経ち、なんとか治ったようだ。
「痛みが消えた、それに痺れも…… 水の感覚も分かる」
雫はそう言って立ち上がった。
流水さんや美沙は、うっすらと泣いていた。
「いや家も困った時には頼りますし」
そう行って帰った。
それでだ、一週間ほどして、アルバイトをしようと雫は家を出た。
いつもの様に。
だが魔と対峙する。倒すと考えただけで、足から力が抜けて、呼吸が苦しく、道を進めば目眩までし始めた。
これはおかしい……
その日は、諦めて家に帰った。
だが翌日も同じ。
そのため、彼女は考えたすえ、俺はお願いをされた。
「一緒に行って」
俺は素直に受ける。
迎えに行って、玄関を出る。
家の門を出て、しばらくは大丈夫そうだった。
だが徐々に雫の歩みが遅くなる。
「どうした?」
「手を引いて貰って良い?」
「ああ良いよ」
昔も、こんな事があった。
あれは、戦闘に向かうときじゃなく、キャンプのときだったか……
だけどそれでも、彼女の顔は青くなり、ガクガクと震え始めだした。
よく言う、イップスだろう。
心が体にブレーキを掛ける。
不可視の攻撃は、雫にとって恐怖だったのだろう。
人間誰しも、知らない物は怖い。
だがその恐れが集まり、固まり闇を創り出す…… 魔を生み出す。
強くあれ。
子供の頃からよく聞いた言葉。
だがこの状態で、震えている彼女に言うのは酷だろう。
そっと抱きしめ聞く。
「大丈夫か? 怖いなら帰るか?」
「ごめんね。なんだかおかしくて…… 体が、言うことを…… 聞くわ」
「はっ?」
体を離そうとするが、ぎゅっと抱きつかれて離れない。
だけど震えていない。
気のせいか顔色は、青から赤へ……
「んっ」
キスをされる。
まあいやじゃ無いけれど、いつもの奴より情熱的で。
お返しに、彼女側もなめ回す。
かくっと彼女の膝から力が抜ける。
「あれ、力が」
「やっぱり、無理しちゃだめなんだよ」
「いやちが…… そう、そうね。ほほほっ」
「なんかおかしいし」
手を繋いで帰る。
その晩、雫の封印がはじけた。
その時以来、おまじないにかこつけた、雫のお願い。
それからも、雫が言っていた、そのわけの分からない奴とは会っていない。
出会ったとき、どうなるのかも不明。
ただ何のリアクションのない攻撃というのは恐怖。
四属性は必ず何か変化があり、来る気配が分かる。
だが、超能力のようなものなら、距離が関係がなく、へたすれば途中にある物質すら関係がないのかもしれない。
雫が言っていた様に、防ぐ手段がない。
父さんにも相談をしてみたが、力の行使なら何かがあるはずだ。
思いを物理的変化にする。
何もなくて発動できるなら、そいつは神だ。
そう言っていた。
そんな事を言いながら、悩みつつ俺達は高校生となった。
「犯人は中です、集団でか弱い女子を襲うつもりで、計画をしていたようです」
「此の、部室。水があふれているようだが……」
「中でたばこでも吸って、スプリンクラーでも動いたんじゃないですか?」
雫はそう答える。
先生は、横からドアを開ける。
水でドアが押されていたため、ひねるだけではじけるようにドアが開く。
勢いで押されて飛んでいく先生。
流れ出す、部員達。
大部分は白目をむいていたが、幾人かは正気だった。
起き上がり、逃げようとする。
だが突然、グランドに穴が開き落ちる。
都合八人。
「うわー最低」
この人数で一人を? バカじゃない。
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うわー私って人気者? でも……
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