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第一章 異変の始まり

第2話 朝の影響

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 学校に行くと、案の定だ。
 学生が色々とザワついている。

 呼び出しが来るかな? その時。いやだなでは無く。面倒だと思っていた。
 そう。俺は、変わり者。一般にはそう言われている。

 高校の時は、友人にディスレクシアじゃないのかと、問われた事もある。
 よく知らないが、学習障害のひとつだと言われているが、脳の働きが少し違うようで、天才に多いらしい。

 ただね。友人が言うような。学習の遅れは俺には無い。
 いや英語は除く。どうやっても、単語が覚えられず。必ず、耳の中を右から左に抜けていき、記憶野に残らない。

 そして、自分自身。どちらかと言えば、サイコパスだと自身は思っている。

 そう。興味が無い事には、とことん興味が無い。
 きっと隣の席で、同級生同士でエッチをしていても。
 俺はきっと、興味を抱かないだろう。

 いや、さすがに無理か。興味が在るものには、興味があるのだよ。

 多くのクラスメートは、人付き合いの悪い。上から目線の変な奴。そんな事を思っているだろう。
 だが違う。あくまでも、興味がとことん無いだけ。

「おう。朝からお勤めご苦労。良かったな。美人にビンタ。ご褒美じゃ無いか」
 声をかけてきたのは、悪友。親友とか言うような、あまあまな関係では無い。

「見ていたなら、助けろよ。おまえすぐ脇に居ただろう」
「逃げなきゃ。証言をしたさ。おまえ凄いスピードで逃げたよな」
「体力不足で、すぐ捕まった。学生課から弾劾が来たら、フォローしてくれ。駅でもいい加減、面倒だった」

 そういうと、にまっと笑い。手が出てくる。
「そのくらいなら良いよ。焼き肉一回くらいだな」
 当然、その手をはたきながら。承知する。
「あーまあ良いか。頼むよ。退学はごめんだ」

「それと今度。仲間内で、ゴブリンハントをしに行く。手伝ってくれ。おまえの卓越した。えげつない追い込みが必要だ。最近。高校生が拉致されたらしい」
「高校生? もったいない」

「残念。男5人だってさ」
「そりゃ。新しい世界を開いたな」
 2人とも反応は、なんてこったい状態。

「多分な。ゴブリンも、結構立派な物持っているし、なんか聞くところによると、奴らの体液を入れられると、快感が爆上がりするらしいよ」
 そう言って、ニヤニヤと笑う。

「おまえも、試すのか?」
「いや良い。俺は女の子が好きなんだ」
「奇遇だな。俺もだ」
 そう言うと、そいつ。
 中学から腐れ縁の、久瀬 悠翔(くぜ はると)が笑う。

「なんだ、おまえ。そんな事に興味あったのか?」
「そりゃ。人並みにはあるさ」
 そう答えると、本気で驚きやがった。
「へー。驚きだ。おまえとの付き合い長いけど。いやあ。びっくりだよ」
「どういう目で、俺を見ていたんだ?」
「こんな目」
「何だそりゃ」
 目尻に指を当て、思い切り下げてくる。

「おかめだな」
「ひょっとこと言って欲しい」
「それなら、目は見開かないとな」

 そんなくだらない事を言っていると、放送で呼び出される。
「誰かが、チクったな。行こうぜ」
「仕方ない。助けてやろう」

 案の定。
 学生課からの呼び出しは、痴漢えん罪の事。

 うだうだ言われて、駅に問い合わせてもらい。
 無実だと分かっても。うだうだ。

 いい加減。鬱陶しくなったので反論。
「じゃあ。電車通学を止めますから。公用車で毎日送り迎えしてください」
「そんな事は、できるわけがないじゃ無いか」
 おお良いレスポンスだ。頭の回転速いな。

「じゃあ、どうやって対処しろと。今回立っていただけで。えん罪が降ってきたんです。それも、相手の勘違い」
 そう言うと、ちょっと時間がかかる。

「そこは君。そんなことを言われないように、気を付けるのが。大人になるという事だ。自分で考えなさい」
 素早く返す。
「思いつきません。具体例を出してください」

 考えて、答えが出なかったのだろう。
「いや。それを考えろというのだよ」
 すぐ返す。
「無理です。教えてください。でなければ、アカハラで訴えます」
 すると、ビクッとする。

「いや、ちょっと君それは」
「すみません間違えました。できない事を、しろというのはパワハラでしたね。アカハラは止めて、パワハラにしましょう」

 ちょっと、赤くなって、ぷるぷるし始めた。
「もうういい。えん罪だったのは分かった。気を付けるように。以上だ」

 もう一歩。追い込む。
 どうだ、しつこいと鬱陶しいだろう。
「だからどうやって? それを示してください」

 そういうと、一瞬。口を開けたが何も言わず。
「もう話す事は無い。私は忙しい。授業に行け」
 もう一丁。言ってみる。

 後ろで、悠翔が持っている鞄から振動が伝わる。
 後ろで笑ってやがる。

「すでに、あなたのおかげで、受けるはずだった授業時間は、あと数分です」
「むっ。先生には連絡を一応入れておく。それでいいかね」
「受けていないので、内容が分かりません」
 そこで、悠翔からストップが入る。

「ちょ。改。もう帰ろうぜ」
「むー」
 強引に、外へ。悠翔に引きずって行かれた。


「だー畜生。言い分がおかしいだろう」
「そりゃそうだけどな。世の中。理不尽なものさ。おとがめ無かったし。ちょっと早めだが、食堂へ行くぞ」
「まあ良いか」
「ほら、行くぞ」
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