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第ニ章 異世界側開拓

第40話 すべては有耶無耶(うやむや)

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「で、改。ここが、異世界側のお家で、この人達全員が精霊?」
「そう。髪とかの色が違うから、見分けがつくだろ。土がつくしで、火がほのか。光はひかり。闇がちかげ。水がいずみで、大気というか、空間がそら」
 順にみんなが頭を下げる。だが、俺にはエレメンタル達から、気持ちが流れ込んでくる。なんだこの虫たちは。そんな感情。

「おい。おまえ達。妙な感情を持っているようだが、この二人は俺にとって大事な人たちだ。変な扱いはするな」
 そう言うと、あまり表情に変化の無い。エレメンタル達の顔に、驚きが出る。
 まるで漫画の、ガーンという感じ。初めて見た。

「えーと、歩坂万結(ほさかまゆ)です。よろしくお願いします」
 そう言って、頭を下げる。
「万結の姉。凪紗(なぎさ)です。お願いします」

 そう言って、静に両方の初接触は無事終了した。

 だが、俺が大事と言ったことで、エレメンタル達はその晩、万結と凪紗さんをもてなし。あふれ出た成分を吸収。一度固定されていた姿を変化させると言う、エレメンタル達の理をゆがめた。

 その日、挨拶をした後。家の中を案内し、ベッドルームでボディブローを万結にくらい。それを見た、エレメンタル達の暴走をおさえ、大きな浴室や、彼女達の創る食事。

 そして、ベッドルームでの背徳な行為。

 姉妹は、エレメンタル達にたかられ、舐め尽くされていた。
 そらは、俺に張り付いていたが。
 見ている分には、楽しかったが、二人は気が狂いそうで、俺に助けを求めたと言っていたが。どう見ても、喜んでいたとしか思えなくって、見守ってしまった。

 翌朝。姉妹にたかっていた、エレメンタル達。
 ベースは沙羅さんだが、つくしは万結と凪紗が混ざった感じに変化して。
 ほのかとひかりは、万結ぽい。かわいい感じに変化。
 ちかげといずみは、凪紗さん風のお姉さんキャラに変化していた。

「うーんなかなか。個性が出てきたな」
 朝食をとりながら、感想を言うと、万結達にジト目で見られる。

「どうした?」
「どうしたもこうしたも。昨夜助けてくれなかったし。死ぬかと思ったわよ」
 横で、凪紗さんも頷いている。

「見た感じ、凄く気持ちよさそうだったから」
「気持ちは…… 良かったわよ。凄く」
 横で、凪紗さんも頷いている。

「じゃあ。良かったじゃ無い」
 そう言うと、万結が悩み始める。

「そうなのかなあ。こっちへ来て、みんなを見た瞬間。凄くむかっときたけど。今、全然だし。それどころか、されたことを考えると、凄く恥ずかしい」
「基本人間じゃ無いからな。色々が遠慮無いよな」
「あーうん。そんな感じ。それに、体を変形させたけど、どうなっているわけ?」
「これは、そらも分からないらしい。普通は受肉すると、契約が切れるまで変わらないはずだが。俺に対する思いで変わったと言うことらしい。なんか、この世界の理を変えたって、そらが喜んでいたぞ」

「それって大丈夫なの? 神罰とか?」
「大丈夫だろ。なんとなくだけど」

「それで、改はこっちに住むの?」
「まあ、出来ればな。家より快適だしな」
「エッチし放題だし?」
 万結からの、冷たい視線が刺さる。
「あーいや、まあ。色々とあるんだよ」

「あたしも、ここに住む」
 当然そうなる。
「わたしも」
 凪紗さんも手を上げる。

「じゃあ、家を一つに纏めて、そこをここと繋ぐか。家と、そっちのマンションどっちか解約して住民票を移す。まあ俺の家を解約した方が簡単そうだな」
「良いわね。同棲にステップアップ。お手伝いさん付きの豪邸。エッチ付きなのが引っかかるけど」
 そう宣言して、また考え出す。

 結局、俺の方を解約して、住民票の移動。転出と、転入が同じ市区町村内で引っ越しなので、転居届ですんだ。
 郵便や、銀行。電話その他諸々手続きをする。

 どこもかしこも、手続きは平日の昼間。
 また講義に出られない。
 本気でやばい気がする。

 収納魔法が便利で、一発で荷物が消える。
 掃除も、浄化一発。普段から使えば良かった。
 鍵を渡して終了。

 ただ一件。某テレビ局の解約が凄く面倒だった。
 世帯の統合で、納得して貰ったが。

「スマートフォンや、携帯に受信装置はありませんか」とか、車もナビに受信機がとか、ゲーム機がとか、パソコンが…… 嘘つくと罰則がとか、数百万円の罰金がといろいろまあ。

 万結達は、魔法が使えないので、万結の家と、向こうの家に魔道具を置いて、魔力を通せば繋がる様にしたが、万結達は魔力? それなに? 状態だったので、最初の頃に拾っていたゴブリンの魔石を、魔道具の皿にのせることで起動できるようにした。創ったのは当然、つくし。

 これで快適になった。

 そんなこんなしていると、妖芽から通信アプリに情報が来ていた。
 経理や発注関係で関与できるのは、三人。
 四十代の古参お姉さんが一人。
 同じく四十代のおっさん。この人は、よくわからんが、銀行がらみの人。
 そして、三十代のお姉さん。

 ちなみに、契約の変更というか、解約等電話をしたのは、四十代の古参お姉さん。
 ただデスクの上に、指示書があったので従ったまで。
 当然、指示書は誰が置いたのか不明。
 これからは、電話をする前に、担当部署の誰かに、確認すること。そんな注意を受けた。元々そういう決まりはあった。だが、忙しいときには間に合わないため、慣習的にその決まりは、飛ばされるようになっていた。
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