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第9話 そして……
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元カノ杉田 希実は、義也の会社へ行った後、怒りのあまりセフレの一人を呼び出して遊びに行く。
ただ呼び出された相手も、来たのは良いが引きつっていた。
仲間達が次々と死んでいた。
仲間達は、みんながその場限りで楽しく暮らしていたはずなのに……
みんな笑顔の裏で、怒りを溜めていたようだ。
そう彼等は皆、自分の望む事を優先をする。
好き勝手をして、それが上手く行かないとか、妨害されるだけで、瞬間沸騰的に激しい怒りを募らせる。
それは、アンガーキラーウィルスの大好物。
仕方が無いことだろう。
周りのことを考えない連中は、逆に怒りを募らせやすい。
自制心は、子供の頃から周りを見て、他人の行動や反応を見てそれを理解、その情報を心の中で昇華して、己のものとする。
それは日本人の特性かもしれないが、強靱な精神は簡単には手に入らない。
一時期Aiが、日本語の事を習得が難しくさらに、言語に頼らない究極の言語だと評したことがあった。
そう、日本人特有の空気を読むというのが、最も進化したコミュニケーションだと言ったのだ。
言葉に表れない心の内。それを無意識に日本人は読み取り、引くときは引き責めるところは攻め、わかり合える。
昔アニメで描かれていた言葉、人はわかり合えると言うもの。
宇宙に出なくとも、それは地上で日本人は行っていたのだ。
むろん、子どもの頃からの教育や生活環境によって、習得できていない人間もいる。それは仕方が無いだろう。
そういう人物は、今回の浄化によって淘汰される事になる。
そう、これは誰かが唱えたように、神による人類浄化かもしれない。
それがネット上で流れたとき、人々は馬鹿にした。
だが、他国に言いがかりを付けたり、自身の望みだけを周りに押しつけていた国は民族ごと大部分が淘汰された。
それは、政治的なもの、宗教的なもの、その他主義主張。
声高に何かを唱えていた人々は、自身の行動に酔いしれ踊りまくった。
文字通り命をかけて……
自身が信じた何かのために殉じて、死ぬまで到達をしたのは本望ではないだろうか?
「ふざけないでよ。何これ? 何で踊っているの? 何これ。訳わかんない」
彼女はとうとう踊り始めた。
自分の都合だけを、いつも周りにまき散らし続けていた。
その思いに導かれるように、彼女は踊り続ける。
今まで周りを振り回した分なのかも知れないが、それは激しく情熱的に……
ホテルの中で倒れていたところを発見されて、病院へと搬送されたのだが、数日後、燃え尽きたように彼女は息を引き取った。
彼女が言っていた、思いのままに。
若く美しい姿の内に、その命を終わらせた……
「ねえどう?」
「うん。美味しいよ」
凪海。彼女は、人をよく見る。
誰かのために何かして、喜ばれることが大好き。
「お父さんも、お母さんもそういう性格でね。困っている人を助けなさいって」
「そうか。立派だな。ひっとして俺が困っていたから助けたのか?」
そう言うと睨まれた。
「それだけで…… あんなことをしないわよ」
「あんなこと?」
「ばか、えっち」
「ああ。はいはい」
あの時、彼女は好きだからと……
あいつの動画を見て、げっそりしていたのだが、いきなり脱ぎ出すと俺に覆い被さってきた。
「すべて私が綺麗にします」
などと言い出して、まあ、愛し合ったのだよ。
されたことのない事まで、彼女は必死で……
だけどその必死さで、コロッと俺は心を持って行かれてしまった。
どうしてこんなに必死で俺のことを?
どうして彼女はこんなに必死で?
どうして、彼女は、俺のために泣くんだ?
そう彼女の献身。
その姿に俺は、情けなくって、彼女の思いに応えようと思う事が出来た。
いま、世界の人口は三分の一まで急激に減ったようだ。
ただ内乱はなくなり、他国への侵略もなくなった。
それは、余裕がなくなったというのもあるが、旗振りをしていた人間は思いの強さ分踊り狂った。
そう…… 生き残ったのは、平和主義の人達ばかり。
そこに争いは生まれない。
反動で色々な決まりが緩くなったのだが、意外と上手く世界は回っている。
ニュースでは、遅れてきた恐怖の大王とかカタストロフィーだとか、クトゥルー神話のニャルラトテップが顕現したとか言われたのだが、一番の有力案は、ノアの箱船。
そう…… 人類浄化だと、まことしやかに提唱された。
環境破壊、戦争、核兵器、行きすぎた文明……
まあ色々と言われたが、結局分からない。
数年が過ぎると、鎮魂の祭が始まった。
最後の死亡者が確認されたとされる、十二月二十一日。この日、世界中で踊りが踊られる。人類の滅亡と再生の記念日である。
そして、日の光が一年で最も短い冬至でもあり、人々はそこに意味を求めた。
騒動から、十年。
今世界は活気を取り戻してきている。
あれから、発症者は出ていない。
再び、蔓延しないことを祈る。
ああ、そうそう。あの後すぐに、係長と課長は、仲良く取引先からの金銭授受がばれて首になった。
おれは、復職後に面接を受けて、なぜか開発へと異動が出来た。
まあ会社的に、社員が壊れ掛かったのは、あまり良くない事なのだろう。
最悪な数年を経て、俺は本当の幸せを見つけるために、あの騒動が必要だったのではないかと勝手に思っている。
そうすべては、何か大いなる意思の元で……
そんなことを思いながら、横で寝ている俺にとっての女神様、凪海の頭をなでる。
-----------------------------------------------------
お読みくださり、ありがとうございます。
宣言通り、ふわっとした終わり方になってしまいました。
はたしてこれは、SFだったのだろうか?
ただ呼び出された相手も、来たのは良いが引きつっていた。
仲間達が次々と死んでいた。
仲間達は、みんながその場限りで楽しく暮らしていたはずなのに……
みんな笑顔の裏で、怒りを溜めていたようだ。
そう彼等は皆、自分の望む事を優先をする。
好き勝手をして、それが上手く行かないとか、妨害されるだけで、瞬間沸騰的に激しい怒りを募らせる。
それは、アンガーキラーウィルスの大好物。
仕方が無いことだろう。
周りのことを考えない連中は、逆に怒りを募らせやすい。
自制心は、子供の頃から周りを見て、他人の行動や反応を見てそれを理解、その情報を心の中で昇華して、己のものとする。
それは日本人の特性かもしれないが、強靱な精神は簡単には手に入らない。
一時期Aiが、日本語の事を習得が難しくさらに、言語に頼らない究極の言語だと評したことがあった。
そう、日本人特有の空気を読むというのが、最も進化したコミュニケーションだと言ったのだ。
言葉に表れない心の内。それを無意識に日本人は読み取り、引くときは引き責めるところは攻め、わかり合える。
昔アニメで描かれていた言葉、人はわかり合えると言うもの。
宇宙に出なくとも、それは地上で日本人は行っていたのだ。
むろん、子どもの頃からの教育や生活環境によって、習得できていない人間もいる。それは仕方が無いだろう。
そういう人物は、今回の浄化によって淘汰される事になる。
そう、これは誰かが唱えたように、神による人類浄化かもしれない。
それがネット上で流れたとき、人々は馬鹿にした。
だが、他国に言いがかりを付けたり、自身の望みだけを周りに押しつけていた国は民族ごと大部分が淘汰された。
それは、政治的なもの、宗教的なもの、その他主義主張。
声高に何かを唱えていた人々は、自身の行動に酔いしれ踊りまくった。
文字通り命をかけて……
自身が信じた何かのために殉じて、死ぬまで到達をしたのは本望ではないだろうか?
「ふざけないでよ。何これ? 何で踊っているの? 何これ。訳わかんない」
彼女はとうとう踊り始めた。
自分の都合だけを、いつも周りにまき散らし続けていた。
その思いに導かれるように、彼女は踊り続ける。
今まで周りを振り回した分なのかも知れないが、それは激しく情熱的に……
ホテルの中で倒れていたところを発見されて、病院へと搬送されたのだが、数日後、燃え尽きたように彼女は息を引き取った。
彼女が言っていた、思いのままに。
若く美しい姿の内に、その命を終わらせた……
「ねえどう?」
「うん。美味しいよ」
凪海。彼女は、人をよく見る。
誰かのために何かして、喜ばれることが大好き。
「お父さんも、お母さんもそういう性格でね。困っている人を助けなさいって」
「そうか。立派だな。ひっとして俺が困っていたから助けたのか?」
そう言うと睨まれた。
「それだけで…… あんなことをしないわよ」
「あんなこと?」
「ばか、えっち」
「ああ。はいはい」
あの時、彼女は好きだからと……
あいつの動画を見て、げっそりしていたのだが、いきなり脱ぎ出すと俺に覆い被さってきた。
「すべて私が綺麗にします」
などと言い出して、まあ、愛し合ったのだよ。
されたことのない事まで、彼女は必死で……
だけどその必死さで、コロッと俺は心を持って行かれてしまった。
どうしてこんなに必死で俺のことを?
どうして彼女はこんなに必死で?
どうして、彼女は、俺のために泣くんだ?
そう彼女の献身。
その姿に俺は、情けなくって、彼女の思いに応えようと思う事が出来た。
いま、世界の人口は三分の一まで急激に減ったようだ。
ただ内乱はなくなり、他国への侵略もなくなった。
それは、余裕がなくなったというのもあるが、旗振りをしていた人間は思いの強さ分踊り狂った。
そう…… 生き残ったのは、平和主義の人達ばかり。
そこに争いは生まれない。
反動で色々な決まりが緩くなったのだが、意外と上手く世界は回っている。
ニュースでは、遅れてきた恐怖の大王とかカタストロフィーだとか、クトゥルー神話のニャルラトテップが顕現したとか言われたのだが、一番の有力案は、ノアの箱船。
そう…… 人類浄化だと、まことしやかに提唱された。
環境破壊、戦争、核兵器、行きすぎた文明……
まあ色々と言われたが、結局分からない。
数年が過ぎると、鎮魂の祭が始まった。
最後の死亡者が確認されたとされる、十二月二十一日。この日、世界中で踊りが踊られる。人類の滅亡と再生の記念日である。
そして、日の光が一年で最も短い冬至でもあり、人々はそこに意味を求めた。
騒動から、十年。
今世界は活気を取り戻してきている。
あれから、発症者は出ていない。
再び、蔓延しないことを祈る。
ああ、そうそう。あの後すぐに、係長と課長は、仲良く取引先からの金銭授受がばれて首になった。
おれは、復職後に面接を受けて、なぜか開発へと異動が出来た。
まあ会社的に、社員が壊れ掛かったのは、あまり良くない事なのだろう。
最悪な数年を経て、俺は本当の幸せを見つけるために、あの騒動が必要だったのではないかと勝手に思っている。
そうすべては、何か大いなる意思の元で……
そんなことを思いながら、横で寝ている俺にとっての女神様、凪海の頭をなでる。
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お読みくださり、ありがとうございます。
宣言通り、ふわっとした終わり方になってしまいました。
はたしてこれは、SFだったのだろうか?
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