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第四章 日本の竜司から、世界の竜司へ

第52話 地球での、神話が始まる。まだ切っ掛け。

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 復活した竜司。

 下へ降りたら、もみくちゃにされる。
 言ってみれば当然かもしれないが、鈴木さん達、彩と葉月の両親に何でもするからと謝られる。
 当然、そんなことを言われても困る。「もう治りましたから」と言って落ち着いて貰う。昔からの知り合いだし、関係としては、もう一つの両親の様なもの。

 当然、彩と葉月も、お詫びに何でもします状態だ。
 元気そうな俺を見て、安心した瞬間。
 よだれを垂らしている時点で、誰得か判らない。

 数日、体を慣らし、久しぶりの狩りへと出かけてみる。

 みんなの攻撃を見ていたが、モンスターの動き。
 その予測が、見えるようになっていた。
 少し驚く。

 未来予測。
 経験のある武道者は、先の先と言うが、体や筋肉の緊張などから先を見通し、予測ができる。
 だが竜司のそれは、完全なる未来視。

 意識をするだけで、数分先までは見通せる。
 だが、まだその代償は大きい様で、鼻血が流れ始める。

 地面に落ちた血を見て、それを理解する。
「あっやべ、みんなを見ていて、鼻血なんか出したら、欲求不満だと思われる」
 目の前では、制服のスカートが翻っている。
 それも、竜司の居る方向に向かっては、何故かめくれている時間が長い。

 「あれを、意識的にやっているのは、すごい才能だな」

 そして背後から、やって来たゴブリンとホブさん。
 間抜けが居るぜ、やっちまえと思っているのかは知らないが、意気揚々と、棍棒を高く掲げる。
 至近距離。おおよそ二メートル範囲に入った瞬間、彼らは、灰になり崩れる。

 こそこそと覗いていた、警備部の連中は顔を青くする。

「何だあれ? 見えない何かがあるんじゃないか?」
「だれか、石でも投げてみろよ」
「警備対象に、そんな事ができるか」

 そんな時。
 彩を始め、ドラゴンズアイあての通知が届く。
『座標35.4150339,139.6593309,17.74zにおいて、強力なモンスター発現。通知を受けたチームは、救援に向かうこと』

「おおい、遊んでないで行くぞ」


 行って見た。
 海の近くにある、風光明媚な公園。
 規制のせいで、人気ひとけはないが、そいつは巨大だった。

 正式名称は、発表されていないが、巨人サイクロプス。むろん普段より少し大きなゴブリンやオークもうじゃうじゃいて、ミノタウロスやオーガ。
 そして、その間を軽快に走る、グリフォン達。

 何でこんな事に、充分にそんな事をぼやきたくなる様な有様だった。

 入り口で仁王立ちしながらも、音がするたびに振り返る警官達。
「すみません。ドラゴンズアイ。参加します」
 そう言って、ライセンスを見せる。
 ついでに、命令文も。

 意外と、見かけたハンターが勝手に参加では、被害者が出るため。こういうときは命令書の提示が必須となった。
「頑張ってくれ」
 制服での参加で、怪訝そうだが、通して貰う。

 エリアに入った瞬間、ここでの小者ミノタウロスやオーガに向けて、彩により愛の火がばら撒かれる。

 通りがかったグリフォンは、ひらりと躱し、飛び上がった勢いのまま、まどかを襲う。

「お座り」
 着陸して、お座りをする。
「お手」
 鷲爪だが、器用に先だけでお手をする。

「やっておしまい。人は襲っちゃ駄目よ」
 そう指さしつつ命令をすると、こっくりと頭を下げ、咆哮を上げながら、敵であるモンスターに攻撃を始める。
 首を掴んで、上空へ持ち上げて、自由落下。

 かわいそうに、暴れたオーガは地面に叩き付けられる。

 ここに居る、ミノタウロスやオーガは野良と違い。体長で三メートル近い。
 サイクロプスは見た感じ三匹居て、体長五メートル程度。
 物理的に、無理がありそうだが、体の筋肉がごつい。
 さらに、うっすらと光っている。

 そして、まどかはあっさりと、しもべとしたが、グリフォンは牛や馬よりも一廻りは大きい。
 体高は、二メートル程度。頭のてっぺんなら、三メートル近い。

 そして、翼の両翼。翼端の距離は、一〇メートルはあるだろう。

 そして、羽ばたくことなく、周囲に風をまき散らし、空を飛ぶ。
 くちばしと爪、そして魔法だろうか、火の玉を連射する。

 馬鹿なことに、上空へ入ってきたヘリが、攻撃をされて、公園外へ落下。人家を巻き添えにする。

 俺は、伶菜の訓練と、保護。

 彩とまどかのガードは、マイリに任せていた。

 そして、大騒ぎをしている、サイクロプスの一匹へと到着する。

 自衛隊のチームと、警官のチームが、弾をばら撒いているが効いていない。
 一応射線は考えて、海向けに撃っているようだ。

 向こうに船が見えるが、大丈夫だろうか?
 そして、ランチャーが、「発射、警戒と退避」そんなかけ声と共に、撃ち出されている。
 一般のハンターがいるので、判るようにだろうか?

 そして、俺達はこんな銃弾が飛び交い、どーん何という音が響く戦闘を、初めて見た。

 俺達の他にも、一般のハンターはいるが、未だに中へ入らせてもらえず、どちらかと言えば、周囲から襲ってくる他のモンスター退治を行っている。

「兵隊さん手伝わせろよ。俺の方が火力が強いぜ」
 若そうな、男。
 頭ツンツンの世紀末ファッションの奴が、返事も聞かず、炎の槍を投げる。

 その槍は、体を見事突き抜け、サイクロプスを燃やし始めるが、咆哮一つ。
 炎はいきなり消えた。
 そしてよく見ると、一気に傷が消えていく。

「何だありゃ?」
 その男は、あっけにとられるが、自衛隊達が、道を開いてくれた。

 どうやら、すでに手がなかった様で、弾薬の消耗が辛かったのかもしれない。
 小銃先に剣を付けているが、そんなもの、効くのはオークまでだ。

「ひゃっはー。野郎ども行くぜぇ」
 わーと言う感じで、パンク野郎どもが群がり、棍棒の一振りで蹴散らされる。

「あれ、生きているか?」
 仕方なく、治療をしに行く。
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