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第四章 日本の竜司から、世界の竜司へ

第86話 都賀風夏は、その日。

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 そして、彩は今まさに悠月が言ったその状況。
 伶菜と愛し合っていると奴はやって来た。

 そこに、興奮して鼻血を出していた面影は、何処にもない。
 ただ己の本能と欲望のままに、一切を脱ぎ俺を押し倒す。

 尻をこちらに向け、おねだりをする。
 人の顔の上で。
 
 伶菜とナニをしているかは見れない、だが、顔の前で彩の大事な所は自らの指で広げられ、よだれを垂らす。

 それを見ている、四つの目。

「ほらあの勢い」
「わー、女同士で」
「そこは、なんとなく良いのよ」
「いいの?」
 そう、悠月と風夏。

 風夏は、本人の意向と、勢いにより改造計画を発動。
 今マイリは、ポッドの調整に行っている。

 かなり早く来たようで、悠月とのぞきに来たようだ。

「ああ、指が…… 舐められてあんなにのけぞって」
「ほら、客観的に自分を見られないけれど、幸せそうだしきもち良さそう。あっ、伶菜さんが終わったみたい」
 風夏の目には、伶菜が彩に抱きついて痙攣している姿が見えている。

「伶菜さん。普段クールな感じなのに、あんなに幸せそう」
 彩はそのまま伶菜を脇に寄せ、流れるような動きでポジションを変える。

 身体強化魔法まで使っているようだ。体が金色の光を纏う。
 うりゃという感じで、一気に納めたのだろう。
 一気に恍惚とした表情に変わり、動き始める。

「うわあ」
「ひゃあ。いつもこんな感じなの?」
 風夏が悠月に聞くが、すでに悠月のスイッチが入った様で、その耳は何も聞こえていなかった。
 とうぜん、悠月は飛び込んでいく。

 風夏はマイリが帰ってくるまで、淫靡な世界を見続けることになる。

 都賀風夏も一八歳。
 大人になった体は、もう色んな事を受け入れる準備はできている、もう一時間以上見続け少し脳みそがピンクになったところでマイリが来た。

「準備ができました」
 マイリは躊躇無く、その部屋へ踏み込んでいく。
 この部屋に自分が居るのは、当然であるかのように。

「そうか判った。悠月は一緒に行くのか?」
「逝きます。あっ。来るっ」
 そう言って、力が入りぷるぷるし始める。

 カハッという感じで倒れ込む。

「行くなら、用意。いやまあいいか」
 竜司は、目があった風夏と、マイリを連れ一気に宇宙船へ飛ぶ。

 とうぜん、竜司は下をはいている。
「マイリ。ポッドはどれを使う?」
「下です」
「じゃあ行こう」
 そう言って、移動する竜司の小脇に、悠月が抱えられている。
 その足下に、点々と何か雫が滴る。

「そっちだ」
 風夏はこの非現実な所で、小脇に抱えられた悠月を見つめる。
 それすらも非現実だが。

 やがて衝立の前にたどり着く。
「じゃあマイリ頼んだ」
「では、都賀さんでしたっけ。どうぞ」

 無表情のマイリ。
 なぜか少し安心する。

 中で服を脱ぎながら、風夏はずぶ濡れの下着に驚く。
 見なかったことにして、ポッドの中に寝転ぶ。
 不思議なことに、硬質な感じなのに、冷たい感じはしない。
 光る不思議な天井を見ながら、息を吐く。

 これで人間をやめることになる。
 悠月が言うには、寿命もきっと長くなる。
 どれだけかは知らないけれど、竜司様のそばにずっと居られるの。そう言ったときの彼女は、見たことがないほどかわいく見えた。

 生まれた家のせいで、物心が付いた頃から護衛として勤めている。
 その一生を捧げよと、おじいさまや父から教えられた。
 だが、ある日それが変わった。

「この日本に、神のような方が降臨をした。聞けば同じクラスのご学友。懇意になりなさい」
 これは父の言葉。

 小学校中学校高校と、色恋など御法度。
 守るべき主人以上に重要な人間などいない。
 そう、言われ続けてきた。

 お父さんは、神宮路様達の家族と、うちの母が人質に捕らえれば、神宮路様達を優先するだろう。
 母も、子供を産みに来ただけという感じがする。
 父との関係に、もしかするとお役目以上のものは無いのかもしれない。

 確かに、我が子として慈しんでくれる。
 でも、お役目を優先は、子供の頃から言われてきた。
 命を賭してお嬢様を守れば、きっとよくやりましたと言い。褒めてくれるが、悲しむことはないのかもしれない。

 ポッドの液体に浸かり、人知れず涙を流す。

 そんな風夏だが、容赦なくポッドは体を遺伝子レベルで改造していく。
 人間から、逸脱し……

 いや、人の生物としての可能性を、極限まで高めた生物として今生まれ変わっていく。
 その改良に、風夏が直前に見た光景により、少しだけ意識が反映されたようだ。
 カップが一つ上がっていた。

 これにより、悠月が愕然とすることになる。

 その悠月だが、気がつけば宇宙船。
 星々を眺め、マイリと竜司が愛し合っていた。

 なぜか自分も、一糸まとわず同じベットだが、記憶が無い。

 ええと愛して貰って、いっちゃって。その時、行くか聞かれた気がしたけれど、あれはそういう事じゃなく、此処の話だったんだ。
 やっと理解をした。
 なら今、風夏ちゃんが改造中。

 そのスキにこんな所で。
 でも、二人の姿は、なんとなく美しく背後の景色と合わせて、心に来るものがあった。伶菜さんのときも思う。

 まどかさんや、彩さんは、もっと動物的に、愛してほしいというのが前面に出ている。でも本当は違うんだ。

 そんな頃、風夏は目を覚まし、出力の上がった体を実感する。
 そして、お嬢様達よりも、竜司を優先して愛していこうと心に決める。
 守り守られるではなく、共に横に立つ。そしてどのくらいか判らないが、共に歩もうと。

 違った意味で、敵は多いが仕方が無い。
 彼ならば、きっとお嬢様より重要人物だという打算の上に。家からも文句は出ないだろうと考える。
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