最悪な人生を、華やかに。-能力を得て自分のために使う。 世界を救う? えっ、何で俺が。-

久遠 れんり

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世界の救済

第36話 光輝く未来

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 そう。何処までもつきまとう葛野家。

 葛野 稔。できの悪い息子で、プライドのみが高かった。

 高校の時に部内で暴力事件などを起こし、公務員試験など通らず、内緒だが伝手を使い、警官に押し込んだ。
 たまたま、人員の補充が急がれていたため、無事通った。
 それで、一安心をしていたが、いきなり何かをした様で、移動になる。

 その後、傷害事件で起訴。
 当然だが、懲戒を喰らう。

 息子が妙に拘っていた男。
「その男は絶対に怪しい。誰も信じてくれない」
 そういう息子の言葉を信じて調べ始めるが、ちょっと手を出せる相手ではない。
 息子は、派遣のくせに。そう言っていたが、とんでもない。

 ただ指をくわえるのはあれなので、噂をちらつかせて、聞き込みに行かせた。
 だがまあ、それだけで、無理は出来ない。

「特に怪しい所はありません」
 そんな報告書が上がってきた。

「法令または公序良俗に違反するものは、見つからなかったのか?」
「ありません。厚労省からも指摘を受けたそうでして、検査を受けたそうです。そして金額は、厚労省からの依頼だそうです」
「厚労省からの依頼? 金額が?」
「ええ。水ですが、なぜか、病気や怪我に効くため、薬が売れなくなると言われたらしく、割高にしたとのことです」
「分かったありがとう」

 そうは言ったが、葛野種夫。
 息子の事を考えると、そうかだけで済ませられない。

 各方面、伝手にメールを打ってみる。
 だが、全員から手を出してはいけない。とまあ、言い方は違えどそういう返事が返ってくる。

 そして、彼は話の流れで、国会の中継を見てしまう。

 光と波動。
 自分の行いに関して、反省が始まる。

 自分のこだわり、それが、無知な自分の利己的な行いだと理解をする。
 それが、恥だと理解できて猛省もうせいを行う事になる。
 どうやら、父は真人間へとジョブチェンジを行ったようだ。

 そんな事に、ささやかな効果を生むビデオ。

 世界は静かに変わっていく。

 そう今、世界は浄化され、直樹達に入り込んだ何かの願う方向へと、舵を切ったようだ。

 特異点となるキーマンは、己が欲望を全開で、お気楽に生活をしているようだが、その影響は確実にあり、彼の意図を余所に、世界は良い方向へと動き始めた。

 そう、あくまで本人に世界を救うなどと言う、大それた意思はない。
 それは勝手にそうなっただけ。

 縁の無かった、女の子達との楽しい生活。
 それを楽しみ、聖水によって尽きることのない大金を手に入れ、日々好きなことをする。

 彼は今日も、浜辺で日光浴をしている。

 すると聞こえる内なる声。
『堕落は破滅。闇に落ちたいのか?』
 そんな声に脅されると、少し良いことをする。

 そして、十年二十年と時は経ち、流石に気が付く。
 いや世界は平和で、小競り合いもなくなった。

 それどころか、健康問題が言われなくなって久しい。

 もうみんな、五十近い年だが、見た目が変わらない。

 日焼けなどのダメージを加えると、一般に老化が早いと言われている。
 だが、見た目は二十代の時と変わらず、健康的。
 出産とか体型の変化はあり、小雪が大雪になっているが、触れないでおこう。

 瑠璃も十六夜も、そのままの姿形を保っている。
 当然、使徒である神崎さんも変わらずだ。

 とうとう勝手に神ノ島と呼ばれた地は、聖地となり、日々巡礼の方達がやってくる。
 そのため、ヘリポートや港を造った。

 宿泊施設と、食堂。そう、一大リゾート地のような雰囲気。
 仕方が無いので、奥の院が建立されて、そちらに住むことになった。

「今日の予定は?」
 そう聞くと、神崎さんに睨まれる。

「大統領との面会です。うちから派遣される、聖騎士達の拡充を希望されています」
「負けたのか?」
「いえ、負けてはいませんが、かなり規模が大きく、じり貧のようです」
 魔の者達の残党は、モンスター化したもの達を集めて改造し、数は少ないが凶悪になっていた。そう、倒しても散るだけで、またどこかに湧いてくる。
 そう、ラノベの魔王クラスが、各国の暗部に潜んで規模を拡大していた。

「仕方が無い。行くか」
 そう言って腰を上げる。

「ちょっと待ってください。他の面会もあるので、急に。勝手に…… こらっ」
 神崎さんを振り切って、ヘリポートへ。

「どちらへ?」
「基地だ」

 そう、今回依頼されたアメリカにも、教会併設の軍事基地がある。
 教団の聖騎士部隊。
 弾の中に聖水を封入した特殊弾。
 空中で爆散すると、聖水を振りまく特殊クラスター弾。
 これには、手榴弾があり、隊員にアコースという名を見つけたときには、小躍りしてしまった。
 その時から、手榴弾型のクラスターは、クラッカーと名称変更をした。

 そう。あの台詞を言いたいが為に…… ロマンだよなぁ。

「ぎっ。ぎざま。なんだその光。ぐぎゃぁー」
 じり貧だった戦線。敵基地があっという間に壊滅をする。

 そう、光側陣営の秘密兵器。
 白いコンバットスーツを着たおれ。

 すでに伝説になっていた。
 連合軍の、白いコンバットスーツ。

 むろん。神崎さんには、無茶苦茶怒られている。
「何処の世界に…… 教祖がどうして前線で戦うんですか。そんな事をしなくて良いように、他の使徒達を基地司令にして教会を建立したでしょうが」
 そう世界中に、教会を建立をして聖騎士隊を配備した。

「そう言うなよ。すぐ終わったし」
 そう言うとがっくりと落ち込む神崎さん。

 良くは分からないが、俺と他の使徒には大きな差があるようで、彼らが押される戦場へ赴くとすぐに勝てる。その時の賞賛と来たらもう。
 かわいい子にはキスされるし、ウハウハなんだよ。

「そう、小市民の俗物。それが俺だ。ビールが美味けりゃそれで良い」
「あなたという方はもう……」
 神崎さんが座り込む。
「どうした胃が痛いのか? 治療しよう」
「結構です」

 日々思い至ったら、突然戦場に現れ、解決後。高笑いをして去って行く。
 行ける伝説。
 かれは、百年後にも同じ事をしていたようだ…… 子供や孫と共に。
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