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第2章 新たな社会の始まり

第30話 人間と言うものは

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 綾織の所から帰って来て、いつものように風呂洗い、そして水を溜める。
 釜で火をおこしながら、燃え上がる炎を見つめながら考える。

 湧いてくるモンスターを、ある程度倒して器のできた人間が、あの球を取り強くなる。
 欲望のままに、暴れまわり鬼へとかわる?
 その時、強さはどのくらいなんだろう?

 奥まで行けるなら、当然生身でオーガと呼ばれる鬼を倒せると言う事。
 きっと圧倒的に強くなる。
「きっと警察じゃあ、相手ができないよな。情報を踏まえて連絡をするか」
 無意識だが、気持ちをきめるため炎に向かってつぶやく。
 特に、正義感の強い方じゃないが、事情を知っていて、だんまりもなんだかいやだ。
 それに組織に関われば、深い階層を持った洞へと、潜ることができる可能性も高くなる。

「よし。明日電話をしよう」
 そう言って、立ち上がる。

 下の家へと降りて、紬たちを探すが見当たらない。
「もうすぐ日が暮れるのに、あいつら何処でうろうろしているんだ? まあ後でもいいか」
 探知すれば、近くに居ればわかるだろうが、そこまでしなくてもいいだろう。

 その二人。
 畑の納屋の中。怪しい二人が、18禁のビデオ鑑賞会をしていた。
 良い子はマネしてはいけない。


 おれは、国の組織に報告する情報をまとめて、対処方法を考えていた。
 いま分かっていることは、湧きがある境界は、ある程度以上の力を加えればはじける。
 境界の奥はダンジョン状の洞が階層をつくり存在している。
 深さは、創った奴の強さに比例。あれ? そうだよな。

 俺が潜った奴と、紗莉たちが潜った奴は階層が違うから、創った奴が違う? 鬼の種のようなものは仕込まれていなかったのか? まあ、連れて行って綾織に確認してもらわないとだめだが。
 予想外で、焦ったが。
 俺の入った洞のみ、性格が悪い奴が創った可能性もあるのか。
 そんなふと楽な方へ考えが進む。

 えーとそれから、
 奥には、地獄と現世を繋ぐ光る壁があり、中心に球が埋められている。
 取り出せば、洞は死ぬ。

 球は取り込めば、その人間が洞を管理ができるようになる。
 同時に、強力な力を得ることができるが、体の改造? に耐えられる器がないと死んでしまう。
 耐えることができても、鬼の種が仕込まれていることがあり、欲望が暴走して鬼へと至る。

「こんなものかな?」
 いつの間にか、母さんたちが晩御飯の準備をはじめ、父さんいや、おやじが風呂から出たようだ。
 ノートを閉じて、風呂場へ向かう。

 風呂に浸かりながら、欲望とは何だろう? と考える。あとで調べるか、そこでふと思い出す。紬たちのご飯の量が増えたと母さんが言っていた。
 食欲も欲か。
 体が少し育ったことで、食べる分が増えたのかと思ったが、違うとすれば仕込まれていた?
 そんなことを考えていて、紗莉の事をふと思い出し、水をかぶる羽目になった。

 風呂から出て、いつも間にか居た紬たちを見て安心をする。

 食事も終わり、畳に寝転がってノートを眺めていた。
 くそおやじが、牛になるぞと言っているが無視をする。

 しばらくして、紬が風呂から上がった様で、頭にターバンのようにタオルを巻いてやって来た。
「お兄ちゃん。紗莉ちゃんが話があるって」
「うん? そうなのか。俺もちょうど話があるし、髪を乾かしたら一緒に話そうか」
「うーん。後で戻るから先に部屋に行っといて」
「あーうん。わかった」
 ノートを持って部屋に行きドアをノックする。

「和也だけど入っていいか?」
「うん」
 と中から、紗莉の声がする。

 ガチャっと入り、ドアを……。
「中へ入って。ドア閉めて」
「ああまあそれは良いが、どうしてそんな恰好なんだ?」
「いやなの?」
「いやと言う訳じゃないが……」
 なぜか、紗莉は風呂上がりで上気した感じ。
 それは良い。
 だが、うるんだ瞳と、はだけたパジャマ。
 ブラも付けず、お胸が丸見えですが。

 すっと手を取られ、引っ張られる。
 ベッドに座っていた、紗莉を押し倒す形になる。

「この前からね。和也のことが好きすぎて、おかしくなりそうなの」
 そんなことを、この状態で仰る。
「体もおかしくてずっと…… おかしいの」
 そう言って俺の手を取り、自分の股間へと導く。

 あー性欲も欲か。
 ヌルっと指もあれだし、内から浄化を掛ける。
 すると紗莉は、かはっと言う感じで、口を開け。目を見開く。
 再度浄化をする。

 一瞬、紗莉はぼーっとしていたが、うるうるが止まり。
 はっとした顔をする。
 おれが、
「大丈夫か?」
 そう言って、体を離すとお胸が見える。
 慌てて、パジャマの前を閉じる。

 紗莉は、面白いくらい真っ赤になっていく。

「私一体?」
「ああ。説明をしようと思っていたんだ」
 パジャマのボタンを閉め終わり。
 紗莉の顔がこっちを向く。
「説明?」

 綾織から聞いた話と、欲を増幅して理性を飛ばし、鬼とする仕組みが加えられていたことを説明する。
「そうなんだ。でも、さっき言っていた気持ちは本当だからね。いつでも受け入れるから」
 そう言った後、一瞬で雰囲気が切り替わり、部屋の気温が下がる。
 背後から何か危険なものが這い出して来るような幻視が起こる。
 あれは、鬼か?
「どうしてもなら仕方がないけど。なるべく一人で、綾織さんに会いに行ってほしくないな。私の単なる、わがままだけどね」
 本当に静かにそう言った後、また雰囲気が変化して、
「えっちな事なら、この数日お勉強したから…… 色々してあげる」
 そう言って、枕を抱え。顔を隠して、いやいやしている。

「お勉強って、誰と?」
 俺は自分のことは棚に上げて、やきもちが顔を出す。
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