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第2章 新たな社会の始まり
第36話 因果と神罰
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「おう。そうか、10人。そりゃ普通の家には無理だな……」
そう言ったまま、おやじは黙り込む。
「だから、あれだけ言えないと言ったのに。まあ会えばわかるけれど、普通の子だから怖がらないでくれ。いま、綾織が教育中だし大丈夫だろう」
「まあ和也がそう言うなら、ちゃんとお世話をするのよ」
母さんの言い方だと、なんだか、ペットでも飼うような話になっているな。
「はーい」
と、一応返事はしておく。
ただその会話の中で、紗莉だけがフーンと言う感じで理解しているようだ。
こいつ抜けているけれど、ただのおバカじゃないからな。
翌日の夕方。国森さんが普通? にパトカーでやって来た。
警察の、お偉いさんだろうか? 制服を着た人も一緒だ。
「やあ、山瀬くん。親御さんは在宅かね」
そう言う、国森さん顔色が悪い。
「なんだかお疲れですね」
「ああちょっと事実関係の捏ぞ、いや確認と書面での確認で疲れてね」
「まあ中へどうぞ」
そう言って上がってもらう。
「お客さんだよ」
「だれ?」
そう答える、かあさんののんきな声。
「国の偉い人と、警察の偉い人」
そう言った瞬間、おろおろし始める。
「そう。えっ。っそうじ」
「もう、俺の後ろにいる」
そっと母さんの目線が、俺の後ろを見る。
「どうして、こっちに案内するのよ。廊下から回って、床の間へご案内して」
言われておれも、客を台所に案内するのは変だと理解した。
「すみません。こちらへどうぞ」
そう言いながら、母さんにも言い忘れたことを伝える。
「母さん。父さんも必要だってさ」
そう言い残して、家を逆に半周する。
家の構造的に、エル字に廊下があり、玄関からまっすぐ進むと台所に行きあたる。
客間と言うか、床の間は玄関から右手に曲がる。
普段台所を通って行くから忘れていたが、客が来たときは直接案内をしていたな。
そうして座敷へ案内する。
座布団を出して、着座を促す。
「ありがとう。それで彼女だが、今どうなっている?」
国森さんに聞かれて、俺は固まる。
「あーいま。この世に居ません」
「なっ。亡くなったのか?」
そりゃ慌てるか。
「いや、あの。綾織が教育すると言って連れて行ったから、明日くらいには帰ってくるんじゃないでしょうか?」
「綾織というと、あの女の人かね。聞きたかったんだ、彼女何者だね? むろん言えればでいいが」
「俺の師匠と言うのは言いましたよね。それで、どうも話を合わせると、神様の1柱みたいですよ」
二人がうん? と言う顔をする。
「それは本当に?」
「ええ。今も、少し違う世界にいるし、彼女、竹内さんの角もなくなっていたでしょう」
そう説明すると、警察の偉い手さんとにらめっこを始めた。
「それでかな? 新聞に載っていたんだが見たかね」
「何をですか?」
「君に、いや綾織さんに見せられた関係者が、次々に事故や自殺をしているんだ」
そう言って、関東付近の新聞を出して来る。
『呪われた学校。』などと言うタイトルが付き、実際の学校名は伏せられているが、盗んだワンボックスでふ頭から海へ飛んでみたり、校舎の屋上から飛んでみたり、あるクラスを中心に生徒数が激減しているようだ。
見て見ぬふりをしていただけでも、影響があるらしく、その学校に勤めている某先生は道で絡まれタコ殴りにあったようだ。
ほかにも、いきなり防火扉が閉まり腕を骨折とか、謎の事件が多発していると書かれている。
「参考人で引っ張ろうと思った矢先に、次々と消えて行ってね」
「まあ、綾織も見たから怒ったんでしょう。神罰だと思ってあきらめてください」
そう言うと、すごく言い辛そうにしながら、
「その学校ね。2年を中心に大半の生徒が死ぬか、怪我を負ってね。それもこの2日で。指示を出そうにも、先生方も次々と被害を受けて自然に休校状態になっている」
「まあ神様のすることですから、容赦はないでしょう。多分逃げられないし」
「そうなんだよ。実際怪我をした瞬間に、竹内さんをいじめているところが脳裏に浮かんで、自分がひどく醜い顔で笑っている姿を見たと言う報告がある。つまり自分がなぜそんな目に遭うのかをしっかり認識させてから、被害に遭わせている」
そう言われて、少し考える。
「それは、素直に反省して逆恨みをさせないでください。きっと容赦されませんよ」
なぜか俺はそう思った。
「ああそうだな。聞くかどうかは知らないが、通知はしてみる」
そう話している同時刻。
前日に料理をしていた一人の女の子。
油がはねて顔に結構ひどいやけどを負った。
それは、多少痕にはなるが、そこまで状態の悪いけがではなかった。
ところが、事故の時に見た脳裏に浮かんだ映像。
自分が彼女の悪口や噂を吹聴した姿。
なんでそんなことで? 本当の事じゃない。私は何も悪くないと、自分を納得させてしまった。
そして部屋にこもり、机に座ると呪いの対処に関して検索。
その時、目の前の道路で、トラックがピンポン玉より少し大きい石を落とす。
よくある話だが、その石は後続の車がはね、それがさらに隣を走っていた車のタイヤに当たり、勢いと角度を増す。
その石は、彼女の部屋にある窓ガラスを突き破る。
音に気が付き、ふと見上げた彼女の右目を石が直撃する。
同時に降り注ぐガラス。
前日のやけどとは、比べ物にならない怪我を負うことになった。
その後、彼女が反省したかは知らないが、さらに謎の事故に遭う。
見ることとしゃべることができなくなったが、まだ生きてはいるらしい。
そう言ったまま、おやじは黙り込む。
「だから、あれだけ言えないと言ったのに。まあ会えばわかるけれど、普通の子だから怖がらないでくれ。いま、綾織が教育中だし大丈夫だろう」
「まあ和也がそう言うなら、ちゃんとお世話をするのよ」
母さんの言い方だと、なんだか、ペットでも飼うような話になっているな。
「はーい」
と、一応返事はしておく。
ただその会話の中で、紗莉だけがフーンと言う感じで理解しているようだ。
こいつ抜けているけれど、ただのおバカじゃないからな。
翌日の夕方。国森さんが普通? にパトカーでやって来た。
警察の、お偉いさんだろうか? 制服を着た人も一緒だ。
「やあ、山瀬くん。親御さんは在宅かね」
そう言う、国森さん顔色が悪い。
「なんだかお疲れですね」
「ああちょっと事実関係の捏ぞ、いや確認と書面での確認で疲れてね」
「まあ中へどうぞ」
そう言って上がってもらう。
「お客さんだよ」
「だれ?」
そう答える、かあさんののんきな声。
「国の偉い人と、警察の偉い人」
そう言った瞬間、おろおろし始める。
「そう。えっ。っそうじ」
「もう、俺の後ろにいる」
そっと母さんの目線が、俺の後ろを見る。
「どうして、こっちに案内するのよ。廊下から回って、床の間へご案内して」
言われておれも、客を台所に案内するのは変だと理解した。
「すみません。こちらへどうぞ」
そう言いながら、母さんにも言い忘れたことを伝える。
「母さん。父さんも必要だってさ」
そう言い残して、家を逆に半周する。
家の構造的に、エル字に廊下があり、玄関からまっすぐ進むと台所に行きあたる。
客間と言うか、床の間は玄関から右手に曲がる。
普段台所を通って行くから忘れていたが、客が来たときは直接案内をしていたな。
そうして座敷へ案内する。
座布団を出して、着座を促す。
「ありがとう。それで彼女だが、今どうなっている?」
国森さんに聞かれて、俺は固まる。
「あーいま。この世に居ません」
「なっ。亡くなったのか?」
そりゃ慌てるか。
「いや、あの。綾織が教育すると言って連れて行ったから、明日くらいには帰ってくるんじゃないでしょうか?」
「綾織というと、あの女の人かね。聞きたかったんだ、彼女何者だね? むろん言えればでいいが」
「俺の師匠と言うのは言いましたよね。それで、どうも話を合わせると、神様の1柱みたいですよ」
二人がうん? と言う顔をする。
「それは本当に?」
「ええ。今も、少し違う世界にいるし、彼女、竹内さんの角もなくなっていたでしょう」
そう説明すると、警察の偉い手さんとにらめっこを始めた。
「それでかな? 新聞に載っていたんだが見たかね」
「何をですか?」
「君に、いや綾織さんに見せられた関係者が、次々に事故や自殺をしているんだ」
そう言って、関東付近の新聞を出して来る。
『呪われた学校。』などと言うタイトルが付き、実際の学校名は伏せられているが、盗んだワンボックスでふ頭から海へ飛んでみたり、校舎の屋上から飛んでみたり、あるクラスを中心に生徒数が激減しているようだ。
見て見ぬふりをしていただけでも、影響があるらしく、その学校に勤めている某先生は道で絡まれタコ殴りにあったようだ。
ほかにも、いきなり防火扉が閉まり腕を骨折とか、謎の事件が多発していると書かれている。
「参考人で引っ張ろうと思った矢先に、次々と消えて行ってね」
「まあ、綾織も見たから怒ったんでしょう。神罰だと思ってあきらめてください」
そう言うと、すごく言い辛そうにしながら、
「その学校ね。2年を中心に大半の生徒が死ぬか、怪我を負ってね。それもこの2日で。指示を出そうにも、先生方も次々と被害を受けて自然に休校状態になっている」
「まあ神様のすることですから、容赦はないでしょう。多分逃げられないし」
「そうなんだよ。実際怪我をした瞬間に、竹内さんをいじめているところが脳裏に浮かんで、自分がひどく醜い顔で笑っている姿を見たと言う報告がある。つまり自分がなぜそんな目に遭うのかをしっかり認識させてから、被害に遭わせている」
そう言われて、少し考える。
「それは、素直に反省して逆恨みをさせないでください。きっと容赦されませんよ」
なぜか俺はそう思った。
「ああそうだな。聞くかどうかは知らないが、通知はしてみる」
そう話している同時刻。
前日に料理をしていた一人の女の子。
油がはねて顔に結構ひどいやけどを負った。
それは、多少痕にはなるが、そこまで状態の悪いけがではなかった。
ところが、事故の時に見た脳裏に浮かんだ映像。
自分が彼女の悪口や噂を吹聴した姿。
なんでそんなことで? 本当の事じゃない。私は何も悪くないと、自分を納得させてしまった。
そして部屋にこもり、机に座ると呪いの対処に関して検索。
その時、目の前の道路で、トラックがピンポン玉より少し大きい石を落とす。
よくある話だが、その石は後続の車がはね、それがさらに隣を走っていた車のタイヤに当たり、勢いと角度を増す。
その石は、彼女の部屋にある窓ガラスを突き破る。
音に気が付き、ふと見上げた彼女の右目を石が直撃する。
同時に降り注ぐガラス。
前日のやけどとは、比べ物にならない怪我を負うことになった。
その後、彼女が反省したかは知らないが、さらに謎の事故に遭う。
見ることとしゃべることができなくなったが、まだ生きてはいるらしい。
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