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繰り返された戦い。
第5話 責任
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それは学校へ掛かって来た、一本の電話。
だがすでに、校内には誰も居ない。
「繋がらない。これはもう、警察だな。行くぞ」
「うん」
自宅のリビングで、真剣な顔をしているのは、司の両親。
父親である新世 護 四十三歳。
二十七歳で結婚、三年目に司ができた。
母親は、新世 綾。四十一歳。
そして、妹。
新世 千尋 十一歳。最近は偉そうだが、実はお兄ちゃんが大好きである。
彼等は、近くの交番に行くが、巡回中で誰もおらず。
いつものことだが、仕方が無い。
車に乗り所轄の警察署へ向かう。
「子どもさん。中学一年生ですか? 友人のお家とか行っていませんか?」
「まだこの町に引っ越して来たばかりで、息子に友人など居ません」
護は断言してしまう。
「友人が居ない?」
担当者の、それを聞いた瞬間に浮かべた顔。わずかな嘲笑にむかつく。
「仕方が無いだろう。それでだ。これが息子の自転車。ええと防犯登録のナンバーです」
写真なども渡して、行方不明者届を出す。
そして捜査が始まる頃、震えながら、コミュニケーションアプリで連絡を取りあう連中がいた。
そう、司を押したクラスメイト達。
現場にいたのは男三人。中村 正樹 は悪ガキで威圧的。某ジャイアンタイプ。そして、小林 駿 。こいつも態度が悪い。 意外と見栄っ張りで、その上お調子者。中村に言われて、司を押したのはこいつ。
もう一人、五島 尚史。彼は、多少頭が良く、便利だから彼等にくっ付いている。目立たないが、ちょこちょこ悪さをするタイプ。
そして、女子二人。
神谷 香織。彼女は比較的おとなしめ。
だが、山野 まりこは気が強くて少し攻撃的であり、こいつが中村と仲が良いために、一緒にいる。
「だから、戻ったときには川にいなかっただろ」
「でもあそこ、噂じゃ底なし沼みたいになっているって聞いたぞ」
帰り道から散々話し合った内容。
おもしろがって押したら、自転車にまたがった司は、ガードレールを越えて落ちてしまった。無論、原因は腕立て百回の恨みだ。
「ははっ、ざまあ」
最初は川なので、落ちても大丈夫だろうと軽く考えていた。
だが、一度逃げてから、気になって戻って来たのだが、濡れたあいつが上がってきている様子が無い。
彼等は、川を覗き込む。
あまり綺麗ではない川。
だが両側の護岸まで、川幅いっぱいに水が流れている。
川底が見えているところは無い。
「意外と浅いのか?」
周りを探して、落ちていたブロックの欠片を拾い、川へ落としてみる。
ドボンと言う音。そこそこの深さはありそうだ。
川下に視線を移すが、人が流れている様子もない。
「溺れて流れたとか……」
誰かが口にする…… そして彼等は、逃げ始める。
「おれ、知ーらね」
「おれも」
「ちょっと待ってよ」
五島だけが、最後まで川を眺めていたが、結局放置をして逃げ帰った。
やってしまった事への、罪の重さ。
それは、発覚すればまずいことを、彼だけは感じていた。
そして、その一連のことを見ていた女の子が一人。
司と同じく、この春に余所から来て、学校に入学をした篠原 麻衣 。
どちらかと言えば引っ込み思案だが、普通に良い子。司と違い、すでに友達がいる。ただまあ、同じ境遇だと知り、司のことが気にはなっていた。
今日の体育で騒動があった後、彼の元気がなかったことと、クラスメイトからの仕打ちを見ていた。
何も行動せずに、何も言わずだが……
「あれは、先生の勘違いなのにひどいよね」
「だけど、彼があんな変な感じで聞かなきゃ、先生だって怒らなかったのに」
「あれは…… 多分方言なのよ」
そう彼女も気を付けないと、方言が出る。
ただ、転勤になれていて、なるべく標準語を使い、慣れればその土地の方言を使うことにしている。
いつまでも標準語だと、それはそれで周りは壁があるように感じるらしい。
それでまあ帰り道。川の土手沿いを帰っていて、ふと見ると、彼が橋の上から落ちて、川に飛び込む寸前に消えたのを目撃をした。
「何あれ?」
川面には波も立たず、変化はなかった。
少し呆然としていたが、彼が落ちた原因。
中村たちが橋の上でうろうろしていたので、彼女は元来た道を戻り、一本川下の橋から家へと帰った。
そう、彼女は彼が、魔法でも使ったのかと思った。
荒唐無稽な話しだが、それが一番しっくりする。
川に落ちて、濡れたくなかったから。きっとそうだわ。
そう思って、いや、思い込んでいたのだが……
翌日、彼が行方不明だということで話が変わってくる。
「昨日から、新世君が家に帰っていない。皆、何か知っていることがあれば教えて頂戴」
担任は、板垣 未希二十五歳。
まだ三年目で、初担任。
朝一から校長達に呼ばれて、失踪について聞いた所だ。
事が事だから、話しは当該クラスと関係者以上に広げなかったのだが、情報収集の中で、体育教師、外狩 岳夫 二十八歳の関与があったのではないかと噂が出る。
「体育の授業中、彼に対して体罰を行った様だね。これを見たことがあるかね」
差し出されたのは、文部科学省監修『体罰・不適切な指導防止ハンドブック』である。
当然だが、その意味は理解される。
「しかし……」
外狩の言葉を聞き、校長である建瀬 芳希五十四歳が睨み付ける。
その脇では、教頭仲間 慎二。五十五歳が申し訳なさそうな表情で立っている。
教頭はたたき上げで、校長はキャリア組である。
「体罰は全面的に禁止されている。組織的にも、対外的にも印象が良くない。幾度か申し伝えたはずだが?」
「はい。お聞きしました」
「昨日の放課後、学校の帰り道。彼は、悲しそうな顔をして川面を眺めていたのが、最後の姿だそうだ。その事は幾人かの生徒から連絡が来ている。そもそも、中学一年生というのは、子どもから大人に変わる多感な時期で、それを指導する我々大人はだな……」
うんたらかんたらと、よくわからない説教が続く中で、部屋の外からノックがされる。
「はい。どうしました? 今大事な話を……」
「それが…… 校長先生。例の彼ですが、同級生が突き飛ばして川に落としたようです」
話を持ってきたのは、まだ若い担任。板垣 未希だ。
その事実に、校長の表情が曇る。
それが本当なら……
当然頭の中に浮かんだのは、自分に対しての懲罰不可避。そんな事実……
生徒はどうでも良いのだが、それは困る。
だがすでに、校内には誰も居ない。
「繋がらない。これはもう、警察だな。行くぞ」
「うん」
自宅のリビングで、真剣な顔をしているのは、司の両親。
父親である新世 護 四十三歳。
二十七歳で結婚、三年目に司ができた。
母親は、新世 綾。四十一歳。
そして、妹。
新世 千尋 十一歳。最近は偉そうだが、実はお兄ちゃんが大好きである。
彼等は、近くの交番に行くが、巡回中で誰もおらず。
いつものことだが、仕方が無い。
車に乗り所轄の警察署へ向かう。
「子どもさん。中学一年生ですか? 友人のお家とか行っていませんか?」
「まだこの町に引っ越して来たばかりで、息子に友人など居ません」
護は断言してしまう。
「友人が居ない?」
担当者の、それを聞いた瞬間に浮かべた顔。わずかな嘲笑にむかつく。
「仕方が無いだろう。それでだ。これが息子の自転車。ええと防犯登録のナンバーです」
写真なども渡して、行方不明者届を出す。
そして捜査が始まる頃、震えながら、コミュニケーションアプリで連絡を取りあう連中がいた。
そう、司を押したクラスメイト達。
現場にいたのは男三人。中村 正樹 は悪ガキで威圧的。某ジャイアンタイプ。そして、小林 駿 。こいつも態度が悪い。 意外と見栄っ張りで、その上お調子者。中村に言われて、司を押したのはこいつ。
もう一人、五島 尚史。彼は、多少頭が良く、便利だから彼等にくっ付いている。目立たないが、ちょこちょこ悪さをするタイプ。
そして、女子二人。
神谷 香織。彼女は比較的おとなしめ。
だが、山野 まりこは気が強くて少し攻撃的であり、こいつが中村と仲が良いために、一緒にいる。
「だから、戻ったときには川にいなかっただろ」
「でもあそこ、噂じゃ底なし沼みたいになっているって聞いたぞ」
帰り道から散々話し合った内容。
おもしろがって押したら、自転車にまたがった司は、ガードレールを越えて落ちてしまった。無論、原因は腕立て百回の恨みだ。
「ははっ、ざまあ」
最初は川なので、落ちても大丈夫だろうと軽く考えていた。
だが、一度逃げてから、気になって戻って来たのだが、濡れたあいつが上がってきている様子が無い。
彼等は、川を覗き込む。
あまり綺麗ではない川。
だが両側の護岸まで、川幅いっぱいに水が流れている。
川底が見えているところは無い。
「意外と浅いのか?」
周りを探して、落ちていたブロックの欠片を拾い、川へ落としてみる。
ドボンと言う音。そこそこの深さはありそうだ。
川下に視線を移すが、人が流れている様子もない。
「溺れて流れたとか……」
誰かが口にする…… そして彼等は、逃げ始める。
「おれ、知ーらね」
「おれも」
「ちょっと待ってよ」
五島だけが、最後まで川を眺めていたが、結局放置をして逃げ帰った。
やってしまった事への、罪の重さ。
それは、発覚すればまずいことを、彼だけは感じていた。
そして、その一連のことを見ていた女の子が一人。
司と同じく、この春に余所から来て、学校に入学をした篠原 麻衣 。
どちらかと言えば引っ込み思案だが、普通に良い子。司と違い、すでに友達がいる。ただまあ、同じ境遇だと知り、司のことが気にはなっていた。
今日の体育で騒動があった後、彼の元気がなかったことと、クラスメイトからの仕打ちを見ていた。
何も行動せずに、何も言わずだが……
「あれは、先生の勘違いなのにひどいよね」
「だけど、彼があんな変な感じで聞かなきゃ、先生だって怒らなかったのに」
「あれは…… 多分方言なのよ」
そう彼女も気を付けないと、方言が出る。
ただ、転勤になれていて、なるべく標準語を使い、慣れればその土地の方言を使うことにしている。
いつまでも標準語だと、それはそれで周りは壁があるように感じるらしい。
それでまあ帰り道。川の土手沿いを帰っていて、ふと見ると、彼が橋の上から落ちて、川に飛び込む寸前に消えたのを目撃をした。
「何あれ?」
川面には波も立たず、変化はなかった。
少し呆然としていたが、彼が落ちた原因。
中村たちが橋の上でうろうろしていたので、彼女は元来た道を戻り、一本川下の橋から家へと帰った。
そう、彼女は彼が、魔法でも使ったのかと思った。
荒唐無稽な話しだが、それが一番しっくりする。
川に落ちて、濡れたくなかったから。きっとそうだわ。
そう思って、いや、思い込んでいたのだが……
翌日、彼が行方不明だということで話が変わってくる。
「昨日から、新世君が家に帰っていない。皆、何か知っていることがあれば教えて頂戴」
担任は、板垣 未希二十五歳。
まだ三年目で、初担任。
朝一から校長達に呼ばれて、失踪について聞いた所だ。
事が事だから、話しは当該クラスと関係者以上に広げなかったのだが、情報収集の中で、体育教師、外狩 岳夫 二十八歳の関与があったのではないかと噂が出る。
「体育の授業中、彼に対して体罰を行った様だね。これを見たことがあるかね」
差し出されたのは、文部科学省監修『体罰・不適切な指導防止ハンドブック』である。
当然だが、その意味は理解される。
「しかし……」
外狩の言葉を聞き、校長である建瀬 芳希五十四歳が睨み付ける。
その脇では、教頭仲間 慎二。五十五歳が申し訳なさそうな表情で立っている。
教頭はたたき上げで、校長はキャリア組である。
「体罰は全面的に禁止されている。組織的にも、対外的にも印象が良くない。幾度か申し伝えたはずだが?」
「はい。お聞きしました」
「昨日の放課後、学校の帰り道。彼は、悲しそうな顔をして川面を眺めていたのが、最後の姿だそうだ。その事は幾人かの生徒から連絡が来ている。そもそも、中学一年生というのは、子どもから大人に変わる多感な時期で、それを指導する我々大人はだな……」
うんたらかんたらと、よくわからない説教が続く中で、部屋の外からノックがされる。
「はい。どうしました? 今大事な話を……」
「それが…… 校長先生。例の彼ですが、同級生が突き飛ばして川に落としたようです」
話を持ってきたのは、まだ若い担任。板垣 未希だ。
その事実に、校長の表情が曇る。
それが本当なら……
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