ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

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ダンジョンができた世界。

第9話 新たなる夜明け

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 中学校卒業程度認定試験は合格をした。

 喜んだのもつかの間で、今度は、高等学校卒業程度認定試験を受けるらしい。
 四月になれば出願できる。
「そうか。合格おめでとう」
 父さんからのその言葉は嬉しい。

 だが、その祝いとばかりに、目の前に積まれた参考書。
「次はこれだな」
 その言葉と、印刷された数枚の用紙。
 『高等学校卒業程度認定試験』

 それを聞いて、一度高校へも行ってみたいと思ったのだが、二十歳になって通うなど、煩わしさの方が大きそうでやめた。
 そう、これからは、シンに言われてもしないといけない。
 家の周囲には警官なのか、見張りも常に居るし、実に面倒だ。


 ストレスからか、俺達は決断をした。
 人類救済計画を発動する。
「ということで、正月にお年玉だな」
 シンが嬉しそうに発表。

「うん? お年玉?」
「ああ。各国にまず一つ。いくつかの国は、厄災以外の何物でもない地獄の穴が開くけれど、まあ自業自得だな。他の国は、まあ喜んでくれると良いな」
 シンはそう決めたようだ。
 最初はクリスマスに発動だと思ったのだが、クリスマスに厄災だと、なんだか悪魔のようだからやめて、新年にした。
 新たな世界を始めるのは新年だよね。とまあ、安易に。

 国によっては、一階層目にゾンビとスケルトンを配置をして、氾濫時には盾と剣や槍を装備した軍隊スケルトンが襲ってくる。
 聖魔法が使えないと、倒すのが面倒な奴らだ。


 正月早々、日付変更線に合わせる感じで、各国でダンジョンの穴が開いていく。
 先ずはお試しで地脈の力が強いところに一つずつ。

「みんな、喜んでくれるかな?」
 そう…… 俺は楽しかったんだ。ダンジョンで力を付けて、色々とドロップさせて……
 リアル版のゲーム。そんな感じだった。

「さあな?」
 シンの目付きが怪しくなる。

 俺は忘れていた。
 自身が一番最初に、あそこへ行ったときに、どんな感じだったのかをすっかりと。
 シンが居たから……
 シンの温情におんぶ抱っこで、初期を生き延びることができた。
 喉元を過ぎればと言うが、完全に…… 本当に忘れていた。


 俺は、正月のニュースで、この世に出現をした地獄の様子を見てしまった。
「これは…… 俺たちは、さしずめ悪魔だな」
 少しだけ落ち込んだ。

 闇の中。
 逃げ惑う人々がスマホで撮影されて、その画像がアップされる。
 銃を持っている国は、ゴブリン達を撃ち殺し、撃った人間はバタバタと倒れ始める。
 そうあれはキツい。
 強烈な痛みと、体の中を、何かが這い回る感覚。

 そして倒れているときに、助けてくれる誰かがいないと、あふれ出たゴブリン達にゴンゴンとどつかれて、スライムに生きたまま溶かされる。

 まさに、地獄。


 でまあ、日本は動きが速かったのだが、遅かった?

 先ずは、地脈の関係で富士の樹海にボコンとトンネルの口が開いた。
 まあ内陸側なので、丁度青木ヶ原の辺り。
 樹海だと騒いでいるが、今の樹海は随分削られて、端から端で二十キロもないくらい。

 中央には県道も通っている。
 人の開発により、周囲にはゴルフ場だったり本栖湖や西湖など観光地もある。

 そしてくるっと回り込めば、そう、北富士演習場が存在をしている。

 一月一日、零時。
 富士山の北西で、奇妙な波動が観測された。
 地震波とは違い波源は浅く、隕石のような落下物でもあったのかという感じだった。

 正月となり、周りにいる人達に「明けましておめでとう」と挨拶が始まる。
 だが、零時を回ったときに、奇妙なズズズという音と揺れを感じた人達がいた。
 河口湖の周囲には、ご来光を見ようと考える人達や、浅間神社へ向かう人達も集まってきていた。

 そして、青木ヶ原で奇妙な光を見たという報告が出始める。
 その映像は、あっという間に拡散される。
 
 それは地震発生時に現れる、地震光じしんこうだったと思われる。
 現実空間へ、ダンジョンの口を接続。
 その時の摩擦で、発生をしたものだろう。
 無論、魔力の干渉による物だったのかもしれない。

 複数の報告を受けて、気象庁では噴火や地震の前兆ではないかと大騒ぎになる。

 そして…… 騒ぎが本格的に起こり始まるのは、ゴブリンやスライム達が樹海を踏破した数時間後であった。

 だからその前に、海外からのニュースが流れ始める。


 そう、モンスターを撃つと、撃った人間が倒れる。
 その事実が、被害を大きくしていく。

 そう、変化は十分もあれば終わる。
 だがその間に、モンスター達はダンジョンからあふれ出てくる。
 空気を読んで、待っていてくれることもなく襲われることになる。
 そしてだ…… 体の中に魔法回路が生えても、いきなり使える人は居ない。
 
 勇気ある者達は、リアルに『ここは俺に任せて先に行け』を実戦する。
 家族を逃がし、モンスターを殺して、自らも殺されてしまう。
 あるいは、何かに寄生をされたと勘違いをして、自ら命を断つ者まで居た。

 まあ、初見殺しではある。
 エイ○アンとか有名だもの。
 怖いよね。

 そんな噂が、まことしやかに流布される。
「かっ、体の中を何かが這い回っている」
 多分そんな事を言ったのだろう。

 恐怖により、人の命は軽くなり、新人類へと変化途中の人々は、助けた人間の手によって奪われる。
 まさに、混沌。

 だが数時間もすれば、正しい情報も伝わり始める。

「モンスターを倒せば、体が進化をする。魔法が使えるようになったぞ」
 そんなニュースがネット上で流れ始める。

「本当なのか? モンスターに寄生されたのでは? 体の中を何かが這いずり回る感覚があるって言っていたぞ」
「それが本当なら、俺は友人を殺しちまった……」
 十人十色。
 その時の状態は、人により千差万別で、喜んだり悲しんだり見事な混乱。


「説明を配った方が良かったんじゃないか?」
「バカかお前は。過去の人類は、先人の犠牲の上に知識を得て、地上に広がり君臨をしたのだ。混乱は最初だけだろう。すぐに落ち着くさ」

 そう言って、ネット上のニュースを眺める。

「ほれ。早くも魔法を使い出した輩もおる」
「本当だ」
「お前とは、格が違うものがおる様だ。『そんな事を言ったってわかんないよお。できないよぉ』とか言っていた奴がいたなあ」
 それが誰のマネなのかすぐに分かった。

「子どもだったし、仕方が無いだろ」
 そう。


 だが、現世では、順応をするのは子どもの方が早かった。

「フィリップ!!」
 ドイツでは、オスカー・ヴェッセルスと言う十五歳の少年が、友人を助けるために、棍棒でゴブリンを殴り倒す。
 倒してすぐに、姿を隠したのが幸いして、変化をやり過ごした。

 そして、隠れて見ていると、一部のゴブリンが魔法を使っている事に気がつき、自分でも試した。
 それは、アニメの影響なのか、意外と簡単に習得をして、友人達にもモンスターを倒すように勧める。
 一部の少年少女は、恐るべき柔軟性で、変化した世界に順応をして行った。

 彼等五人は、周りの大人達を助けながら、自分たちのレベル上げを始める。
Scheisse!畜生。ステータスは見れないのか」

 同様の光景は、世界中で見られることに……
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