ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

文字の大きさ
8 / 156
ダンジョンができた世界。

第8話 選択

しおりを挟む
「お前は、記録上小卒だ。勉強をして、試験を受けろ」
 夕飯時に父親に言われた言葉。
 意味は無いとは思うが、一応聞くことにする。

 今の格好は、コンビニエンスな所で買ったジャージ姿。
 久しぶりに、風呂に入った。
 当然シンも一緒だ。

 勉強は好きではなかったが、脳に魔力を回せば活性化をできる。記憶力、判断力その他もろもろをアップ。
 ズルい? いや、苦労の末に習得をした、個人の技能だ。

「中学校卒業程度認定試験の申し込みは八月末。十月に試験らしい」
「わかった。それで、今は何月?」
「今は六月だ」
「はーい」
 そんな事を喋りながら、楽しい夕飯。

 ただし、横からは奇妙な気配。
 そう、妹の千尋だ。
 何でなのかわからないのだが、警戒されているし、微妙に距離感が遠い。そして、なんかおびえている?

「何で逃げるんだ? 醤油をとるだけだよ」
「別に逃げてないし」
 そう言っているのだが、ビクビクだ。

「まあ、何年も会っていなかったから。すぐになれるわよ」
 母さんがそう言って笑う。

 出された料理は、好きだった揚げ物。
 だが、素材の味が弱い?

 ダンジョンのドロップ品は、もっと濃厚な味で、噛むと魔力を感じて美味かった。
 昨日の今日で、もう懐かしい。
 後で、スルメを分けて貰おう。

 まあ、多少ギクシャクしたが、七年ぶりの家族団らんを味わった。素直に嬉しかったよ。

 さて…… 
 家の周りにうろついているのは、警察かなぁ?
 基本は、三人が家の周りに居る。
 でも、もう少し離れた車が、中継本部だろうか?
 交代をしながら、見張っているようだ。

「まあ良いか。害が無ければ放っておこう」

 そうして、現世での生活が、再始動を始めた。
 俺は勉強をしたり、今の世界を見てみたり。

 どこから話を聞いたのか、突き落とした小林から、詫びの手紙が来たり。
 あの自転車は、大事に置いていたようだが、タイヤも朽ちて、錆びていた。
「七年は意外と長かったようだな」
「そうか? 一つの区切りが七年なのだが」
 シンが不思議そうに答えてくれた。

 そして、危なく俺は、親が申請をすれば、失踪者から死亡認定される所だった。
 その区切りも七年のようだ。


「えっお兄さんが帰ってきた? 架空の脳内お兄さんじゃなかったの?」
 妹の千尋は、学校で聞かれる。
「架空って、脳内お兄さんて何よ? ほら」
 昨日撮影をした写真を見せる。
 色々怖かったのだが、父さん達が撮ると言って聞かなかった。

 ジャージ姿で、クロネコを抱っこして、優しく微笑む兄さん。
 スマホを怪しく睨むクロネコ。

 こう見れば、イケメンとは言えないが、普通の人。
 だけど、あの目と纏った空気感は、多分おかしい。
 そして、あぐらを組んで酒盛りするネコなど、某友人帳に出てくる魔物くらいしか知らない。

 だけど妹の主観とは別に、クラスメイトの目が怪しく光っているのに気がつかなかった。
 長髪で、ちょいワルぽいお兄さん。なんか惹かれるわね……


 そのおかしな二人は、家で討論中だった。
「各国のバランスで、色々がおかしくなっている」
「そうだな。独裁的というのか? 代表が突っ走り、周りに手を出しているのが、大きく三つか?」
「いやヨーロッパも、一塊で色々やっているな」

 中学校の勉強は、昨日与えられた参考書。
 無論、千尋の物で、途中に暇つぶしの落書きがかかれていた。
 授業を受けていたときの空気感。妹の気持ちがなんとなくわかり、すこし想像をして嬉しく思いながら読んだ。中学校の三年分などクロックアップをして昨夜の内にざっと丸暗記。その後父さんに借りていたパソコンで、今現在の世界情勢を見ていた。

「現在の日本も前の政権が、なんだかんだと理由を付けて、海外にバカみたいな金を出して経済が厳しいらしい。金を出さなけりゃ、国家侵略されるとか理由を付けたようだけど、結局相手が力を持って、経済的に侵略を受けているな」
 データを見ながら紐解くと、ヨーロッパの尻拭いとか、某大国の尻拭いとか、とにかくどう見ても無駄が多い。

「あれじゃな、昔あった事だが、侵略を受け属国にされてむしり取られたあげくに、国が滅ぼされた所があったのだが、一緒じゃな」
「そんな所があるのか?」
「ああ、多いぞ。近くのこの大陸など、そんな話ばかりだ。人は利己的に成り、とがめられないと、どんどん歯止めがきかなくなる。所詮は動物だからな」
 自分が生まれて、見てきた歴史の記憶があるらしく、シンは少し遠い目となる。四千年の侵略と謀略の歴史。いまでもその国ではそれが有効らしい。

 少し計画を変更をして、質の悪い民族のところには、階層を簡略化をして創るようだ。
 今はその選定中。経済的な物と民族性。当然ドロップの種類も選択的に変える。つまり、一階層からモンスターが少し凶悪で、ドロップもオリジナルに比べると価値の下がるルビーの代わりにビー玉とか、パンの代わりに束子たわしのような物が落ちる。最悪なダンジョンが創られるらしい。

 ……と、いうことは、食事も持ち込まないといけなくなる。
 百階層もあるダンジョン。攻略が実質不可能になるな。
 あれって下にいくほどコアの影響が大きくて、モンスターもデカいから、必然的にフロアが広く大きくなる。

 そして、戦争をしている所には、人型の大部隊が氾濫をする様にするとか。
「金と人がなくなれば戦争は止まる。戦争をしたがっているやつは、実戦には向かわんものだ」
 そう言って笑う。
 本当なら、最初はお試しダンジョンで、各階層で慣れて貰う事を前面に出そうとしていた。
 だけど、今の世界の現状を知って、少し厳しくする予定だ。

「どうかな? 大国が補助するんじゃないか?」
「その時に、大国に余裕があればできるがな。このアメリカなどは。石油採掘を推進して、地を荒し、人が住めないようにしてしまった。長年無かった所に地揺れを起こし、地下水まで汚染をしてしまった」

 シェール石油の採掘で出た汚染水。
 処理に困り、地下に戻したら岩盤が動き、今まで地震が無かった土地に震度三程度の地震が頻発して起こり、それを防ぐために地表近くに水を戻したら、地下水が汚染され、廃棄されたボーリング跡から地下水が噴出した事件は記憶に新しい。
 これにより、テキサスの地下水は使えなくなってきているいるようだ。

「嘆かわしい。そう考えると、いかに寛容な神でも、ちょっとダンジョンでも創って、世の中を混乱をさせるとおもし…… 反省を促そうと思うのは道理だろ?」
「そうかぁ?」
 そう言うと、にまっと笑うネコ。

「じゃあ。ダンジョンに変わる代案を出せ。ほれほれ」
「うーん。ない。けど、何かはありそうだけど」
 両手を肩の高さまで上げて、やれやれというポーズ。ほらやっぱりという顔をされた。

「良い案が出てきたらやめてやる。いつでもゆえ。まあ、最後にお前がしたように、ダンジョンの核を潰せば、そのダンジョンは消える」
「あれか?」
 最後の最後、ダンジョンの奥底で光っていたクリスタル。
 手を伸ばした瞬間、『受け入れろ』なんていう声が聞こえて、体に溶け込んでいった。
 あの後、身体的な物がまた作り替えられた気がしたんだが、シンは何も言わなかった。
 苦しんでいる俺の横で、ただ、うんうんと頷き、嬉しそうだった……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

異世界では地味な俺が、なぜか神々に最愛されて無双してる件

fuwamofu
ファンタジー
平凡な高校生・桐生ユウは、女神の手違いで異世界に転生した。 チートもスキルも貰えず、冒険者登録すらままならない落ちこぼれ……のはずだった。 しかし周囲の異常な好感度、意味不明な強運、そして隠された神格スキルによって、ユウは「無自覚に全能」な存在へと覚醒していく。 気づけば女神も姫騎士も魔王娘も彼に夢中。誤解と崇拝が加速する中、ユウの“地味な日常”は世界を揺るがす伝説になっていく。 笑いあり、胸キュンあり、ざまぁありの最強(なのに本人だけ気づいてない)異世界ファンタジー開幕!

異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。

猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。 もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。 すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。 主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。 ――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました―― 風景が目まぐるしく移り変わる。 天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。 移り変わる景色こそは、 第一天 ヴィロン。 第二天 ラキア。 第三天 シャハクィム。 第四天 ゼブル。 第五天 マオン。 第六天 マコン。 それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。 気付けば明星は、玉座に座っていた。 そこは天の最高位。 第七天 アラボト。 そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。 ――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。

処理中です...