ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

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始まった新世界

第34話 その者、最凶の……

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 俺は湯霧ゆきり 次郎じろう
 二十九歳男。

 ダンジョンができたおかげで、彼は危機的な状態になっていた。
 人が困っている時くらい、家賃の引き落としが止まれば良いのに止まらず、貯金が消えた。

 困った俺は、耳障りのいいコマーシャルに釣られて、ダンジョンへと向かったのだ。
 この腕一つで、一攫千金を掴む!!

 講習と試験は何とかなった。
 装備をレンタルをして、意気揚々とダンジョンへ向かった。

 そうだよ。講習で習ったのだが、モンスターを倒すと人間は新人類へと進化をして、魔法使いになれる。
 生まれてこの方、彼女の居ない俺は、伝承ならば魔法使いになれるはずだが、もっと簡単な方法で成れるようだ。


 だが…… 俺を見上げながら牙を剥きだし、攻撃をしてこようとする不細工な生き物。ギイギイと泣きわめき、引っ掻き、殴り、噛みつこうとする。
 だが……
「お兄さん。無理なら場所を空けてください。精神的なトラウマになる方もいらっしゃいます。無理をしないでください。心つもりが出来たら、また来てくださいね」
 案内のお姉さんは優しい声で案内をしてくれる。

 その時、確かに俺は見た。
 言葉は優しいのだが、お姉さんの真顔で冷たい目。
 そんなガタイしてんのに、ゴブリンすら殺れねえのかよ。
 けっ、さっさとどきやがれと言う感じだった。

 無論、彼の心が見せた妄想だが、ダメージは大きかった。

 もう出ようかと、ダンジョンの入り口へ向かったのだが、払った金や使った時間。
 諦めきれずに、座り込む。

 そこに声をかけてくれたのが、師匠だった。
 まだ二十歳なのだが、鬼のように強い。
 聞けば、警察や自衛隊に戦闘指導をするほど強いらしい。

「若いのに、どうやってそんな力を?」
 そう聞くと、いつも苦笑いでごまかされる。

 基本的な魔力の感じ方、そして練りかた。
 その錬った魔力を、自分の意思により物理現象へと変換をする。
 それが、魔法の使いかただと教えてくれた。

 だけど基本は、魔力による身体強化。
 こいつがすべての基本。
 これさえできれば、本当に人を超えた人間となれる。

 ただ体を限界以上に動かすために、師匠がいなければ筋断裂や血圧の上昇などにより、発生をする脳卒中などで死んでいただろう。

 あの特訓のことをは、あまり覚えていない。
 思い出そうとすると、頭が割れそうに痛くなり、体中が震えるんだ。
 でも楽しかった記憶だけはある。

 何かをこなせば確実に強くなった。
 そう、修行は楽しいんだぁ。

 優しい師匠と、嫁子。いやひろみとも、あのダンジョンで出会ったおかげで付き合う事が出来た。
 だけど、ひろみも同じく特訓中の記憶があまりないらしい。
 同じように、ただ楽しかった記憶があると。

 不思議なことだ。

 あの後も、俺は仕入れが一人で出来るようになるため、師匠から特訓を受けた。
 六階は、いまでは俺の庭のようなもの。
 ダンジョンができて一月以上、俺と師匠しか六階には来なかった。

 師匠が、そんな俺のために、皆の立ち入らない山中に社を建ててくれた。
 たまに行くと、シンと言うクロネコと、景色を見ながら酒を飲んでいる所にであう。

 このネコ、胡座を組んで座っているし、たまに近寄るのが怖いし、喋る。
 師匠相手なら、ゴロゴロと言っているのだが、他の人間には懐かない、いや男にはだな。
 そして、強引になでようとして、数回か手首が落ちた……

 師匠に治して貰ったのだが、あのネコ? は危険だ。
 ひろみにはじゃれつくんだよなぁ。


 食材の仕入れは、六階で大体そろう。
 いや揃うようになった。

 湖の近くにはいつの間にか稲まで生えていて、刈り取れば玄米がドロップする。
 もう少し内陸なら、小麦が生えている。
 これも刈れば小麦粉がドロップする。

 だが、迂闊に近寄れば攻撃を受ける。こいつら、小さな針を飛ばして来てかゆくなるし、体が痺れて動けなくなる。

 すると近寄ってきて、根が体に刺さる。
 そう、生きたまま栄養源にされる。

 トレントなどと、近縁種なんだろう。

 自然が豊かで、オークやフレイムバード。たまにハーピィなどが現れる。
 まるで、俺が食材を得るために、特化しているような気がする。
「まあ、気のせいだろうけどな」

 俺が仕入れをしている間だには、ひろみ達は川で砂金や宝石を拾っている。

 そして、ありがたいことに、俺の作る料理は絶品だと評判になった。
 特に、魔力回路を持つハンター達からの評判が良い。

 無論、ひろみなどは太ったと言いながら喜んで食べてくれる。
 師匠にあの時会えなければ、きっと俺は店を諦めただろう。

 時々、店に来て食事をしてくれる。

 だが、ダンジョンができて一月以上が経つと、魔法を使った犯罪が増え始めた。
 そのため、師匠達は、なぜか呼ばれた様だ。
 さすが師匠だ。

「馬鹿な奴らが居るんだ」
 チャーハンを食いながら、そう言った時の師匠が浮かべた顔。
 それは一瞬だったのだが、少し悲しそうな笑みだった。
 だが、俺はそれを見て、背筋に冷たい物が流れた……

 きっと、そいつらは生まれてきたことを後悔することになるだろうと、何の根拠もないのだがそう思った。
 この人には逆らってはいけないと、俺の魂が囁くのだよ。
 笑顔を浮かべた優しい人、なのだが……

 そうそれは、丁度一部のダンジョンに、鬼が出るとか、監督が現れると噂が立ち始めた頃だ……

 彼が現れるとすぐに分かる。

 モンスター達が逃げ始めるのだ。
 一部のラノベ読者、いや研究家から派生したダンジョン専門家の間では、魔族ではないかとも噂されている。

 魔王による地球侵略が始まったのだとか、各種の陰謀論が再燃をする。そして噂となり、それはまことしやかに広がっていく。

 そんな世の中で、この現象が、まさか単なる暇つぶしだと理解、そして言い当てる者達は誰も居なかった……
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