ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

文字の大きさ
51 / 156
始まった新世界

第51話 強化

しおりを挟む
 十二階へと到着するときには、彼女達はすでに聖魔法を取得をして、体に纏いながら歩いていた。

 ちなみに、チャンバラの剣はどうやってもきちんと使えず、木刀に変わっている。
 杏華は司に貰った木刀を持つと、すぐに阿修羅と名を付けて、「念法」とか「活殺剣」とか叫んで振り回していた。
 お前は十○夜 ○也か?

 だがまあ、活殺剣は霊を打ち倒す技。
 間違ってはいないのかも?

 他の二人も、聖魔法は使えるようになった。
 司はバックハグをしてくれなかったので、杏華が二人に流したのだ。

「これ便利だけど、魔力がすごい勢いで減るのかしら?」
 魔力が減り、頭痛が出始める。

「そうね。省エネモードにしよう」
 体から光が消えて、松明のように剣先が光る。

 彼女達は、試しに聖の魔力をシールドとして使ってみた。

 これは司が言ったわけでは無く、彼女達が考えた。
 身を包むと、周囲が浄化されて、匂いも消えるのだ。
 まあ、色々と試行錯誤をするのは良いことだ。
 自ら考えて試すのは、自分の力となる。

 人に習ったことは、以外と忘れやすいもの。
 試行錯誤をして、自分で答えを見つけるのが重要で、そうすることにより、一辺倒では無い答えにも気がつくことができる。

 慣れると、大分感じなくなるのだが、腐敗臭のキツいものは目にも来る。
 吐き気も来るし、かなり辛い。
 だからまあ、彼女達なりに考えて、浄化をしながら歩き始めたのだが、誰かが言った一言。
「体にも匂いがつくんじゃ無い?」
 その言葉で、全身を包み始めた。
 だが、どうやらすぐに頭痛が来たようだ。


「オォオアァァ」
「ひっ。またきたぁ」
 どこから用意するのか、生きの良い姿形のゾンビが混ざっている。

 体が綺麗だとなぁ……
 ちょっとあれなのだよ。

 ゾンビだから、服は引き裂かれて、色々見えている。
 同じ様な階を通ったときは、子どもだったから、あまり気にしなかったのだが、今見ると色々とあれだなぁ。

 ゾンビだし、男女織り交ぜて襲ってくる。
 すると、色々な物がゆらゆらしたり、ぷるんぷるんしたり、ぶらんぶらんしている。

「きゃあ、こないでぇ」
 三人は、一見すると目をつむっているように見えるが、的確に胸の中心に木刀の先を突き込んでいる。

 見ていません風の、左手の目隠しは必要か?

 数度、危ない目に遭うと、意味の無い見ていませんは無くなった。
「綺麗な死体は、やっぱり躊躇しますね」
 亜矢は子どもゾンビを倒した後、司にすがりつく。

「まあね。ただ、この階に俺達以外、生きている人間はいない。間違うことは無いから安心しろ。全部ゾンビだ」
「それは、安心? ですね?」
 そう言われても……
 という感じだ。

 司さんはそう言うけれど、対象が子どもだと、やはり躊躇ちゅうちょしてしまう。

 そう思っていると、亜矢が前方に対して聖魔法を撃ちだした。
「おあああぁあっ」
 光りが彼等全体を包む。
 すると、変な声を出しながら、ゾンビ達は倒れてビタンビタンと痙攣を始める。
 中にはそれだけで、消えていく奴もいる。

「くっ、キツいわ」
「だろうな。もっと力と魔力量を増やしてから使う技だ。だが良い攻撃だな」
 そう言って褒められて、亜矢は「ありがとうございます」そう言いながら司さんにふたたび抱きつきやがった。

「亜矢。全部倒していないから。攻撃しなさいよ」
 結衣から、ジト目とクレームが来る。

「ええっ?」
 当然だが、亜矢は魔力を使い果たして嫌そうな顔をかえす。

「魔力不足なら、手を出せ」
 えっなに? 私たちの言い合いを聞いて司さんが行動を起こした。
 何で手を……
「はいっ」
 彼女はそう言って、司さんから魔力を貰う。
 羨ましい。私も大技を使わねば。
 司さんから注入して欲しい。

 魔力供給。
 同じことを仲間内ですると、吐き気が出たりする。
 魔力も体内だと、少しずつ違っているようで、そのまま流し込むと拒否反応が出るのだとか。司さんから、人に与えるときには、空気中にあるのと同じ、ナチュラルな状態に戻しながら与えるんだと説明は聞いた。
 簡単そうに言うのだが、言われて簡単に出来れば苦労しない。

 普段、魔力を外に出すときには、魔法として特性を与えて出すもの。
 そもそも、心を無にすることが出来ないのよね。
 たまに司さんは、意識体。つまり思念を周囲に広げるなんてことをする。
 それが出来れば、迷路も出口が一発で分かるとか。

「ダンジョン内には幾つか迷路があるんだよ。それに、洞窟型だと、行き止まりがあったりするし、目で見ても気がつかないような抜け穴を発見するには便利なんだ」
 そう言って教えてくれた。

 だけど、それが必要な場所など、随分先の話だと思っていた。
 まさか、すぐ先にあるなんて、十二階のときには思わなかった。
 大事な事を言ってくれない司さん。
 いや言ってくれたけれど、言われてすぐに出来ないですって、そんな物。

 いじめっ子ね。

 気がつけば、シンと同じ様なことをしている司だった。

 だが、亜矢が手本を見せたように、魔力の放出をすると、司は魔力補給を行う。
 こうすれば、早く総容量が増えるからだ。
 使えば使うだけ魔力回路は強化される。
 そう、これは魔力回路の特訓と容量の増加を一度に出来る。
 細く長く出したり、一気に放出。
 これにより、柔軟的な制御が行えるようになる。

 それはまるで、アクセルの開度を探り、タイヤが滑るか滑らないかのギリギリを攻めるような感じで魔力調整を行う。
「ほう、そんな事をするのか? なるほど、啓介にもやらせよう」
 やっほー知恵袋にできている、ダンジョンカテゴリーの質問に回答すると、ニックネーム群馬県の走り屋チームさんから、そんなコメントが返って来ていた。
「一万一千まで、きっちり出力を上げれば良いな?」
 などと書かれたが、意味が分からないと返事をした。
 みんな不安で、色々なことが分からないから、ネット上は今大騒ぎとなっている。

 色々な誤情報も多い。
 一度、人の生き死にに直結するような嘘を書いた人は、一瞬で住所が特定されて、捕まっていた。今ダンジョン関係で嘘を書くと、国により一瞬で特定されることは有名である。
「こんなの信じる奴は、バカだよ。ちょっとは頭使えや」
 そんな書き込みが最後で、そいつはネットの広大な海から姿を消した。
 ダンジョン関係は日本だけでは無く、世界中が書き込みに注目をしている。
 ふざけたお遊びは許されない。

 いま、新事実はいつも日本語で書かれているという、謎の合い言葉が世界中で囁かれている。
 


 ―― そして、あまりちびちびしか使わないと、出力が弱くなる。
 魔力の総容量が増えても、強力な魔法が使えなくなったりするのだ。

 だから彼女達がやり始めた、剣で戦うより、聖魔法をぶっ放す方を選択した事に驚き、司はうんうんと納得をする。
 だが正しいけれど、下地がなぁ。
「あー、ごり押しも良いけれど、剣技の訓練になるからな。剣でも戦え」
「「「はい」」」
 そう言ったすぐ後に、通路が白い光に包まれる。

 聞いちゃあいねえ。

 目の前に、魔力チャージの列ができる。
「司さん。ください」

 魔力補充、聖魔法ぶっ放し、また補充。
「むうっ。今から一時間は剣で戦え。補充は無し」

 彼女達は手を繋げる口実が出来た。やっほー、とまあ、調子に乗り良すぎて、とうとう禁止令が出た。

 ところが、その時から丁度、スケルトン達が出始めた。
 やつら、剣技は使うし剣速も早い。

 そして、中には鎧や盾を持っている奴もいる。
 全体的に早くて強いのだ……

「タイミングが悪いよお。こういう時こそ全体攻撃だよねぇ」
 三人共が、文句は言いながらも、命令はきっちり守る。
 一時間は剣で戦えと、言ったときの目が怖かったからだ。
「ふええっ。強いよぉ、早いよおぉ……」
「骸骨嫌い……」

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

異世界では地味な俺が、なぜか神々に最愛されて無双してる件

fuwamofu
ファンタジー
平凡な高校生・桐生ユウは、女神の手違いで異世界に転生した。 チートもスキルも貰えず、冒険者登録すらままならない落ちこぼれ……のはずだった。 しかし周囲の異常な好感度、意味不明な強運、そして隠された神格スキルによって、ユウは「無自覚に全能」な存在へと覚醒していく。 気づけば女神も姫騎士も魔王娘も彼に夢中。誤解と崇拝が加速する中、ユウの“地味な日常”は世界を揺るがす伝説になっていく。 笑いあり、胸キュンあり、ざまぁありの最強(なのに本人だけ気づいてない)異世界ファンタジー開幕!

異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。

猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。 もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。 すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。 主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。 ――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました―― 風景が目まぐるしく移り変わる。 天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。 移り変わる景色こそは、 第一天 ヴィロン。 第二天 ラキア。 第三天 シャハクィム。 第四天 ゼブル。 第五天 マオン。 第六天 マコン。 それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。 気付けば明星は、玉座に座っていた。 そこは天の最高位。 第七天 アラボト。 そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。 ――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。

処理中です...