ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

文字の大きさ
66 / 156
始まった新世界

第66話 常識?

しおりを挟む
 彼等は進む。
 砂漠という環境を、力業で破壊しながら。

 あっという間に十キロなど踏破。
 蟻地獄のような、下り階段へと入って行く。

「ふわあぁ」

 周りは砂の壁。
「水と違って美しくない」
「暑い」

 皆から、ぼやきというクレーム。

 向こうに立っているノームも困惑。
 来た早々、文句を言われても、デザインをしたのはシンなのだ。
 ちなみに周りの壁は流砂で、流れに取り込まれると、一七階の入り口へ戻ってしまう。

「あそこで腕組みをしている、大きな小人風のオッサンがノームです。サイズ感がおかしいとかは突っ込まないように」
 伝承では、一メートルちょっとの小人とか書いている本がある。

「服を着てるじゃない」
「そうですね」
 よく見る小人の格好。色がおかしいサンタクロースもどき。

「じゃあ始め」
 突っ込まれる前に、なぜか司から試合開始の合図が出る。

 彼女達は周りを囲いながら一気に、水魔法をぶっ放す。

 驚いたノームは土壁を創るのだが、そんな物、精霊の力を持つ彼女達には意味をなさない。

 一気に削られて、周囲に壁を創ったために、彼は溺れ始める……

 なんと言うことでしょう。
 あっという間に倒されて、彼は成仏……
 黒い霧となって、消えていく。

「楽勝!!」
 皆は喜び、もだえ始める。

「お疲れ様です」
 その時大分慣れたのか、莉愛は周りの皆がもだえる姿を見て少し恥ずかしくなる。

 だが、柚花はこれ幸いと、司に見せつけようとする。
 それに気がつき、周りもまねようとする。

「みんな元気そうなので、次に行きましょうか?」
 視線を出口に移動させて、司が提案。

「流石にちょっと無理」
 怜奈がそう言うと、結心も動きを止める。

 少しだけ休憩をして、移動を開始。

 司は、気がつく。
 レッドラスティネイルの皆と、数歳しか年が違わないのに、彼女達が持つ色気が恐ろしい。
 怜奈と柚花は、男性経験があるとシンが言っていた事を思い出す。
 
 美人系の怜奈と、細かな事にこだわらない柚花。

 経験があると、恥ずかしさに差があるのかと納得をする。

 そう言えば、細かな意見もこの二人は多いな。
 ふむふむと少しだけ納得。

 そんなことを考えながら、サラマンダーの待つ一八階へと向かう。


 そこは火の国。
 周囲を溶岩が流れ、放射熱だけで顔が焼けて肺が痛い。

「はい。このまま進むと、死にますから。水のベールか土壁のシールドを張りながら進む。または魔力シールドを張って、その中を適温に保ってください」
 それは、水宮で莉愛がやっていた技。

 こんなにすぐに必要になるとは……

 いつもながら、司が言い始めた物はすぐに必要になる。
 レッドラスティネイルの三人もそうだが、彼女達もその事に気がつき少しうんざり。

 シールドを張り、移動に合わせて少しずつ修正。

「これは駄目だわ」
「そうね。莉愛のように物体として固定しなきゃ」
「氷だと、同じような感じに出来るけれど、すぐに溶けるわ」
 司は生暖かい目で見守る。



「―― だー。そんなに簡単にできるかぁ」
「やれ。できんと死ぬぞ。この先は温度が上がり一千度を超えてき始める。確かおぬし達、炭素系生物は二百度くらいで死ぬんだろ」
 そう言ってニヤニヤ。
 本当はそこまで耐えられないことを知っていて、司をいじっているシン。

「馬鹿言え。四十度ちょいの風呂が精一杯だ」
 まだ、この頃は素直な司。
 真面目に答えを返す。

 あの時は、結局水魔法をぶっ放して、水蒸気爆発で死に掛かったよなぁ。
 なんか懐かしい。

 その時シールドを張って、なんとかかわした後、土壁を創りながら移動したんだよなぁ。
 あの頃は未熟だった。

「ほれ。行くぞ」
 体の周りに、物理結界のシールドを張って司は歩き始める。
 
「体の周りにシールド」
 司の様子を見て、怜奈も同じようにシールドを張る。

 それを見て、他の子もまねをするが、目の前に自身が張った壁が行く手を遮る。
「むううっ」
 怜奈は両手にシールドを張って、なんとか放射熱を遮ろうとするのだが反射による物や、熱くなった空気までは防げない。

「あーもう」
 癇癪を起こして、水魔法が発せられる前に司がブロック。
 魔法の発動がキャンセルされた。

「熱いからと言って、そのまま水をぶっかけると爆発をするから駄目。やるなら、冷気を当てるんだ。でも魔力が無いと厳しいよ」

 怜奈が使おうとしていた水の固まりを、かなり離れた場所にある溶岩の流れへとぶち込む。
 水は一瞬で蒸発をして、その体積を一気に千七百倍へと変化する。
 爆発して、熱風が周囲を襲う。

 当然皆の周りには、司が張ったシールドがあり、全員をガードする。

「ふわあぁっ。これってそうか水蒸気爆発だ」
 さすが大学生。
 そして、普段気の強い莉愛だが、口調が崩れている。

「使うなら。そう、こんな感じに冷気を当てる」
 司が魔法を発動。

 目の前で広がっていく黒いシミのように、冷気が赤い世界を塗りつぶしていく。

 それはまるで、命の火が消えていくように感じる。

「すごいわね」
「今のうちにシールドの練習」
 司から圧がか掛かる。

「透明の盾を創って、それを薬のカプセルに変形する感じよ」
 莉愛がみんなに教える。

 だがそもそもが、盾を創っても空間に固定される。
「氷で造って置き換えたら?」
 色々と意見が出る。

 その様子を見て、なんとなく良いなあと、司はほのぼの。
 その内にこつを覚えたのか、全員が出来るようになってきた。

 その間、暑くなかったことに誰も気がつかなかった。
 黒く広がった冷気の世界は、未だに彼女達を包んでいた。

 最強に非常識な存在がここに一人……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

異世界では地味な俺が、なぜか神々に最愛されて無双してる件

fuwamofu
ファンタジー
平凡な高校生・桐生ユウは、女神の手違いで異世界に転生した。 チートもスキルも貰えず、冒険者登録すらままならない落ちこぼれ……のはずだった。 しかし周囲の異常な好感度、意味不明な強運、そして隠された神格スキルによって、ユウは「無自覚に全能」な存在へと覚醒していく。 気づけば女神も姫騎士も魔王娘も彼に夢中。誤解と崇拝が加速する中、ユウの“地味な日常”は世界を揺るがす伝説になっていく。 笑いあり、胸キュンあり、ざまぁありの最強(なのに本人だけ気づいてない)異世界ファンタジー開幕!

異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。

猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。 もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。 すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。 主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。 ――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました―― 風景が目まぐるしく移り変わる。 天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。 移り変わる景色こそは、 第一天 ヴィロン。 第二天 ラキア。 第三天 シャハクィム。 第四天 ゼブル。 第五天 マオン。 第六天 マコン。 それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。 気付けば明星は、玉座に座っていた。 そこは天の最高位。 第七天 アラボト。 そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。 ――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。

処理中です...