ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

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始まった新世界

第78話 お出かけ

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 彼等の訓練は終わり、公安警察の捜査員安瀬達は、ふらふらとしながら帰って行った。

 そして司達は、いよいよお出かけである。

 問題は、現在西回りには、民間の飛行機が無いこと。
 シンが調子に乗ったおかげで、ダンジョンの一部から翼竜とか、ワイバーンが出て飛んでいるらしい。
 ヨーロッパなどで、力を得る人が少なくて、モンスターを外に出したら? と言ったのは司なのだから文句も言えない。

 モンスターというのは、陸だけでは無いのだ。

「―― ということで、いくつかの国を経由しながら向かいます」
 目的地は、黄色い熊のモンスターが出てくる国だ。

「じゃあ行きます」


 流石に自衛隊と言っても、各国の上空で勝手に戦闘機など飛ばせないし航続距離の問題があある。

 各国に連絡をして、国境でリレーしながら、輸送機の周囲を守備してくれるということになっているようだ。

 だがそこで、彼等は圧倒的な力というものを見ることに成る。



 ―― 出発前。
 出発前に集まったのは、航空自衛隊の基地。

 日本国内線や一部の路線は飛んでいるのだが、まあ色々な事情というものがある。

「司さんは、何で手ぶらなんですか?」
 結衣達は、まるでデートのような格好に、スーツケースを引きずっている。
「何でお前達は荷物を抱えているんだ?」
 双方で言葉が交差する。

「ええ? 旅行ですし、色々と必要なものとかあるでしょう?」 
「それなら亜空間庫に入れてある」
 司はきっぱりと言い放つ。

「搭乗前に危険物は預かると、手紙に書いてありましたよ」
「亜空間は向こう側で、こっち側ではない。出さなければ持ち込んだことにはならない」
 ビシッと司は言い放つ。

 それはそう。
 独自に自分が創った空間なのである。
 何が入っているかなど、他人は見る事が出来ない。
「それもそうですね」
 事実彼女達も、戦闘装備やメインウエポンのデスサイズはしまってある。
 向こうで戦闘がある以上必要だし、人に預けるなど精神的に無理である。

 そのあと騒動があったのだが、司が言った一言で検査は頓挫する。
「中身を出すなら、アメリカくらいの広さが必要だぞ」
 無論半分くらいははったりである。

 だが聞いたほうは、無条件で信じてしまった。
「先生ならありえますが、どうします?」
 特訓関係者のため、司のことは先生と呼んでいる。
「うん。対応は無理だ、ボディチェックで済ませろ」
「はっ!!」
 だが……

「失礼いたします。その猫ちゃんは?」
「ああ。シンだ。視察に行くということでついてきた」
 司に抱かれた黒猫。

「触るなよ。切られるぞ」
 それを聞いて隊員はビクッとなる。

 彼の周りは常識が通じない。
 下手をすると、黒猫のようなモンスターかもしれない。

「武器は持っていませんよね」
「武器など無くとも戦闘はできるぞ」
 そう言って周囲に火の玉が浮かぶ。

「そうですよね」
 担当者は、上官をちらっと見る。
 上官は軽く空を仰ぎ、通せと片手を横に振る。
 上官は、担当者が武器は持っていませんよねと言ったときに、黒猫が一瞬だけシャキンと、五十センチほどの爪を伸ばしたのを見たのだが、見なかったことにした。

 担当者は頷き、結局チェックも無く通される。

 今回、司達だけではなく政府関係者も付いて乗って行く。
 この数ヶ月、通信はなんとか保っているのだが、国交断絶状態なのだ。
 大陸なら陸路でいけるのだが、途中の国とも話が必要となるため、現在非常に面倒な状況。
「国交が途切れてから、周辺国とは話がうまく繋がらないのです」

 そう日本とアメリカ、フランス等の判っている国以外の上空はモンスターが飛んでいる。お近くの大陸は、ドローンに爆発物を積んで攻撃をしているようだが、モンスターはいくらでも湧いてくる。
 本当なら航空便が生きているアメリカ経由で行けばいいのだが、最強の生物兵器が居るのだ。政治的な意図があり、わざわざの西回りなのである。

 某国でドローン攻撃を行っているオペレーターが、一人静かに強くなっていることを上司は知らない。
 その内、内戦クラスのクーデターが、起こるのではないかと考えられている。
 今度起これば、戦車で轢いて強制的に騒動を治めることが出来ない。ダンジョンから出たモンスターを倒して、強力な学生や市民がこそっと増殖中なのだ。

 歴史的に、悪政を引いた王を倒してきた国なのだから、その日は近いのかもしれない。


 あまり乗り心地の良くない輸送機の中、少し思っていたものと違うのだが、彼女達は楽しかった。中には会議室もあるため、使っていないときには、そこでトランプをしたり楽しく遊べる。

 よく初恋は実らないというのだが、着実に関係が進んでいると三人共が思っている。実際一時期はお互いに牽制もしたのだが、司の場合一般の男とは違うということがよく判った。
 共に進む決意を一応したのである。

 多分に、桃の影響が大きいのだが、とにかく皆仲良しである。
 一瞬だけ人工呼吸のときに険悪になったのだが、それも折り合いがついたようだ。
 おごられた、ラーメンの力によって……


「此方フィリピン空軍、周辺の護衛につく」
「承知した。貴国の対応に敬意を……」
 などと言いながら飛んでいると、某大陸の方から未確認飛行生物が飛んでくる。

 この辺りは、ごねる者達がいるために、国境線が曖昧なのだ。

「レーダーに感。三時方向。未確認飛行物体」
 一瞬だけ緊張が走る。

 だがその謎の物体は、近寄ることが無く墜落をした。
 此処は洋上だから良いよねと、司が攻撃をしたのだ。

 その光景は、こちら側では確認出来なかったのだが、生物を追跡をしていた別の国の空軍が見ていた。

「ええい。獣め。のらりくらりと……」
 熱感知型のミサイルは追跡をしてくれず、困っていた。

 近寄り機銃で叩こうとすると、こちらの機体が奴の吐き出した火球に包まれる。
 エンジンに吸い込むと致命傷なのだ。

 めったに居ないのだが、小型のドラゴン種が飛んでいたようだ。
 ワイバーンなどには有効だったドローンが近寄れず、戦闘機で対応したのだが、打つ手がなくただ追いかけていた。

 だが国境近くに来たとき、いきなり青い炎に包まれて燃えてしまった。

 その報告が上に上がり、国境付近にはしばらく近寄ることが無くなったとか。
 そう、近隣国の新兵器では無いかと判断をされての対応なのだ。

 搭載された二十ミリ機関砲の弾は、大多数がはじかれた。
 そんな驚異的な鱗を持った生き物。それが、突然燃えた。

 周囲を確認すると、船影は無くレーダーに入ってきた航空機のみ……
 そう、近くに居たのは、隣国の戦闘機と輸送機だったのだ。
 識別信号でも自軍機ではないと確認をした。

「帰投する」
 彼等は慌てて帰ると、あったことを報告した。
 普通なら信じないだろうが、噂のあった魔導具。
 自国にはなぜか入ってきていないのだが、その効果は絶大だと聞いている。

 そう、彼等は勘違いをしているのだが、魔導具は、絶大なる性能を持つ省エネ装置。
 将来的に、それは驚異的な武器となる。
 多分そんな事が書かれた文書が、どこかにあったのだろう。

 ここにも司の影が……
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