ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

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始まった新世界

第95話 類とも

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「司さん。やっぱり発動のワードが無いと気合いが入らないでしょ?」
 きょろりんとした目で見上げてくる。

「気合い。気合いかぁ。実際気持ちの問題だからなぁ」
 目の前に地を這う、珍しい魔法が発動される。

「ヘル・ボルケーノって言うんです。少しナパームぽい粘りを持った炎。おもしろいでしょ」
「うん。そうだな。色々と使い道がありそうだ」

 桜が連れてきた女の子。
 二人の様子を見ていると三人も、そして桜も危機感を覚える特殊な空間が広がる。

「奥さん。どう思います?」
「誰が奥さんよ。なんか特殊な雰囲気。中学時代、私の仲間にたくさんいたけどなぁ。夜露死苦とか…… 御意見無用、喧嘩上等とか焼肉定食とか、そんな言葉が好きな奴……」
「あーうん。そうだね」
 
 微妙な空気が漂う。

 再び、十一階へやって来た一行。
 ゾンビ達がうーあーとやって来たのに対して、紗奈の魔法が発動。
 無慈悲な炎が彼等を焼き尽くす。

 その炎の中で、まるで踊りでも踊るようにゾンビ達がジタバタしている。
「えぐいわぁ」
 だが確かに威力はある。

 通路は炎に包まれ、双方向で行き来が出来なくなるのだが、その威力は絶大。

「どうやって、コントロールをしているのかしら?」
 三人なら、イメージすれば同じ様な魔法を発動できる。
 そう、精霊の補助有りならね。

 だが紗奈は、精霊と契約をしていない。
「恐ろしいわね」
 動きや魔力量は確実に三人が勝っている。
 だが、異様なほどの熟練度。

 桜と二人で、ゴブリン虐めを繰り返し、極めた魔法。
 好きこそものの上手投げ…… いや上手なれと言うが、それを体現している。

 そして何より……

「司さんが嬉しそう……」
 そうなのだ。
 二人で、呪文のようなことを語り合っている。

 紗奈はまだ高校生、恋愛対象にするにはまだ幼いのだが、彼女の方はあの目付きと態度。あれは、単なる好意ではない。
「危険だわ」

 桜の方は、まだまだだねと安心をして、高をくくっていたのだが、なんていう子を連れてくるのよぉ。

 だが、彼女達は強い絆を持っているはず。
 自身を、何とか納得させる。

 ゾンビが主であるため、桜も魔法を使い始める。
 軽く放つのだが、その威力は徐々に洗練されて強くなっていく。

 恐るべきは、少し教えただけで、探査に意識を乗せ始めた。
「ああっ。これ便利ですね」
 そんな感じであっさりと……

「紗奈ちゃんどうやるの?」
 桜も紗奈にちょろっと聞いたら出来てしまう。
「探査魔法に目を乗せる感じで、えーいって飛びつく感じ? 司さんに飛び込んでいく感じでやってみたら?」
「司さんに? えーいなのね」
 ちらっと司を見て、集中する。
 
「できた。意外と簡単ね」
 その一言は、三人を絶望させる。

「なんていうことにゃにょよ」
 童謡により、いや動揺により言動がおかしくなる。
 ごまかすために、杏華は何かドナドナと歌っているけれど。
 得意の現実逃避。
 心配は無い。その後、彼女達は不死鳥のように復活するから。

 そんな細かいこと、司の前で晒した数々の醜態。
 それに比べれば、些細な事。

 相手がバケモノなら、努力でカバーする。
 そう彼女達は、あの時のひ弱な高校生ではないのだ。
 司の気を引くために、自分の持てる力を百パーセントいや百二十パーセント発揮してこれからも進む。
 歴史が違うのだぁー

「こうね」
 罠タイルの上に小さな火が灯されていく。
「これなら分かりやすいでしょ」

 杏華の気遣い。
「流石ね。ありがとう」
 桜は素直に御礼を言う。

 初めての十一階以降を、ものすごいスピードで進んでいく。

 リッチまでも瞬殺。
 杏華が攻撃をして、桜がリッチの魔法を封じてしまった。

 リッチは黒き煙と共に、おどろおどろしく出現をして、何かを語ろうとしていたのに……
「ひ弱な者どもよ、我の前にひざまずくが…… うべらっ。やっやめ、この、ひっひきょうもにょうぅ……」

 あっという間だった……

「弱いわね。闇属性なら聖属性。かなり使えるわね」
 杏華が命名した、堕天使エンジェルスラプラサス反逆リベリオ
 どうあっても、闇に寄せたいらしい。

 だがそこから、快進撃。
 白き光は闇を切り裂き、迷宮を浄化していく。

 今度は桜の炎が罠を灯し、杏華の光りが…… な聖魔法が、すべてを白く染める。

「今までのヘタレな男チームや、自衛隊達など、これを見たら泣くわね」
 そう呆れるほどの余裕。
 最初にぼしょぼしょと、司から説明を受けたらあっという間に理解をして、即実行。

 特に聖魔法はその威力を増していく。
 そして桜の罠探知魔法。
 すでに集中しなくとも、勝手に発動をしているらしい。

 二千X年、三人の顔は、すでに恐怖と悲しみの炎に包まれていた。

「この子達、異常よ」
「そうだな。成長率が半端ねぇ」
「こんなに簡単に…… 苦しみがないと、つまんないじゃない」
 自分たちの立ち位置に、ひたひたと近寄ってくる二人。
 その速度は、彼女達が言うように異常なスピード。

 そして彼女達が入り込めない杏華と司の使う謎言語。

 厨二病に罹患した患者が使う謎の言葉。
 それは、脅威。

 見たことのない司の笑顔は、彼女達に悲しみを与える。
 だがそれは杞憂。
 桜の入ダンはすべてまるっとお父上にばれて、お小言がやって来る。
「ダンジョンで危険なことをするのなら小遣いは無しだ」
「ええっ!!」

 父親としては、司は重要人物なのだが娘の相手となると、秘密を知っているから悩む相手ではある。
 彼の周りに、女の影が多すぎる。

 父親としては、娘の悲しむ姿は見たくない。
 だから、今のうちに泣かせるという矛盾。
「分かってくれるかなぁ?」

「糞親父、死ね」
 桜の思いは呪いとなって……
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