ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

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迫り来る脅威

第108話 出来上がった何か

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「こんなものかね」
 見上げる黒い船体。

「そうだな」
 誰も居ない所で、司とシンの声が響く。

 ドックの着工からわずか三ヶ月。
 計画を打診をした民間企業から、この期間では絶対に無理だと言われて、仕方が無いから二人が創り始めた。
 山をくりぬくのに、半年から一年の工期。
 通常は無理だろう。

 山の一部がいきなり消えて、そこからいきなり金属製の扉が生えてきた。
 するとすぐに、山の消えていた斜面が戻って来て、扉から生えた床に乗る。
 これにより、スライドする斜面が出来上がった。

 そして、ボコッと扉内部がヘコんだと思ったら、一気に拡張。
 その非常識さは常人を混乱させる。

 放心状態で、お言葉に甘えることにした。
 彼等にすべてを任せて引き上げた彼等。
 それから、三ヶ月。
 すでに船が出来上がったと言われて大パニック…… 
 なんと言う非常識さ……

「命名ラグナロク世界の終焉とかどう?」
「船に終焉など名付けるなど、バカだろ」
 シンから冷たい目が向けられた。

「じゃあ、何が良いんだよ?」
「むうー。神の鉄槌トールハンマーとかどうだ?」
「トールって外国の神様じゃ無いか?」
「良いんだよ。あれは小説のようなものだ。そんな奴に会ったこともない」
「そうなのか?」
 注意:シンが言っているだけです。真偽は不明。


「そう言えば、船には女性の名前を付けるとか言っていたなぁ」
 それは、司がどこかで聞いた知識。
「女性?」
「うん。この船を造るときの、もとになった…… あーいや。参考にしたアニメ。あれも艦名ブリュンヒルトだっただろ」
「そう言われればそうだな。だが…… アマテラスなど付けたら、本人から苦情が来そうだし……」
「来るのか?」
「ああ。怖いぞ。霊圧だけで星の一つや二つが消し飛ぶ」
「そうなのか?」

 そうして、酔っ払いながら決めた名前は『シンハスター』。
 色々と議論をしたのだが、決めるのが面倒になった。

 そのためシンの槍と名がつき、その読みは司のこだわりでドイツ語かラテンと悩んだようだが、ラテン語となった様だ。
 なぜか、ある病気にかかっている人間は、ラテン語とかドイツ語が大好きなのだ。

 それはさておき、本当はシンハスターイなのだが、イとエの中間くらいの発音が最後に付くのは、なんかじゃまという事で消された。

 女性の名前じゃ無くなったのは、色々と悩んだ末。
 シンが揶揄いだして、結衣とか杏華とか言いだしたからだ。
「誰か一人だと騒動になるだろ」
「なるか? じゃあ全員の名前を乗せるか?」
「なんの宣伝だよ」
 ということで、悩んだあげく、この船はシンの槍みたいな物だろとなった。

 某参考資料により、先端が尖り上下は薄い形状。
 四角錐を潰して両翼を伸ばしたようななめらかな船。
 底面にあたる後部から見ると、かなり潰れた菱形である。
 左右に突き出たかどは翼のように伸びて、カッコいい。

 カッコいいからそうしたのだが、大気圏内で飛ぶときにもあまり翼の意味は無い。
 重力その物を遮断をして、この船は浮かぶ。
 かといって、大気圏内では火魔法を推進力に使う。
 無論フラップなども無く、各部に付いたスラスターなどで方向を変える。

 宇宙空間では魔力推進。
 物理法則的に、進行方向とは逆側に何かを投げれば進むとシンが言い始めて、魔力を放出しているようだ。
 物質を出すと、後々事故のもとになるとか。
 魔力なら勝手に霧散をするのだとか。

 シールドにも空間魔法を使った絶対防御。
 攻撃にも空間魔法を使った、無敵攻撃。

 従来ありそうな武器は、すべて魔導具として積んでいる。
 
 一応戦闘艦なので、直接窓などは開いていないが、壁全体がモニターとなり、モードを変えれば宇宙に浮かんでいる気分になれる、全方位モニターが付いている。
 CIC戦闘指揮所と併設された操船部などは、船の中央部にある。
 外部に操船室や指揮所が出ているなど、戦闘時や事故の時、危なくて仕方が無いからである。宇宙では目に見えないような物体でも速度が速いと大損害を受ける。

 前方部分は、倉庫など。
 後部は居住区。
 重いエンジンが無いので、設計の自由度は高い。

 居住区は全室個室。
 内部などは、木を基調に見えるが、ダンジョンの六階で採れるトレント材を加工してあり、優れた耐火性を持つ。

 浄化魔法に、水魔法。
 空気の調整は魔法でも行うのだが、植物プラントも併用である。
 この船内。百年暮らしても大丈夫である。

 ただ大きさはドックの出入り口の限界があり、お手本にした船の四分の一スケールとなっている。
 ただし全長二五〇メートルほどだが、中身は空間魔法が使われてかなり広くなっている。何もないと思うが、非常時待避所は別空間となっており、中に入っていれば安全。後日シンがお迎えに来る事になっている。

 こうした各種武器や安全装置。
 そして、暇つぶしと特訓のための、まで装備した船が出来上がった。
 そう、創ったときはノリノリで、彼等は何も考えていなかったのだ。
 ある日、国にばれるとやばいことに気がつき、慌てて改造をして、空間魔法で拡張をした牧歌的な植物プラントと放牧場のように変更をした。

 そして、国防関係者など招き、彼等を卒倒させた後、通常の電化製品などを設置して終わるのに、そんなに時間は掛からなかった。

「えっ、出来たのですか?」
「その様です。一応防衛省関係者に対して案内が来ています。誰がこの事を知って居るのか判らないから任せたと言われましたので、総理も見学に行きますか?」
「行かないわけにはいかんだろう。そもそもどうしてワシが外される話になっているんだ?」
「物が物ですから、秘密が漏れるとまずいとの配慮です。総理が動けば警備だとか色々と人も動く事になりますから」
 むうっと考える。

 理屈は判るが見たいじゃないか。
 総理大臣公役こうえき あらたと今季の防衛大臣国野くにの まもるは顔を突き合わせて相談をする。

 ここには、司お手製の空間遮断シールドが張り巡らされている。
 動作中には絶対盗聴できない。
 世界とは完全に隔離されて、核の直撃でも平気。
 ただ、動作させていると空気の移動もないので窒息するとか……
 その状態からスイッチオフにすると、色々な物が切断されているように思うのだが、原子レベルの切断だから問題が無いとか?

 実際に使って見ると問題がないから、深くは考え無いようにしたようだ。

 そうして、我が儘な総理は、当日別の施設を見学に行き、その施設の奥からこれまた秘匿されていた司の転移で移動をすることに。
「彼の転移が、一番の秘密じゃ無いのか? 国家的な危機だぞ」
「あー。今の所、彼以外に使い手はいません。それにあのシールドを張ってれば入れないそうです」
「そうか、それなら安心…… なのか?」
 彼等は、どんどんと秘密を抱えて、さらに司への依存度が増していく。
 そして……
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