ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

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迫り来る脅威

第115話 報告と決断

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「あの星系には悪魔がいます。そして、その文明レベルは、我らよりも進んでおります」

 星域探査に出て、完全失踪を危惧していた調査隊が帰って来た。
 隊長機一機だけでも全滅よりはよい。
 そう思って喜び迎えると、とんでもない報告がもたらされた。

「何? そんな馬鹿な……」
 
 持ち帰られて、された報告がこれだ……

「その悪魔が言うのです。属国化をした星を開放しろと」
「できるわけがないだろう、すでに奴らありきで国は回り始めた。人の手でしかメンテナンスできない危険な仕事があるのだ。今更我らの同胞を、危険な業務に戻すことはできない」

 言っていることは判る。
 軍部の事故調査委員は続ける。
「敵の主星。座標は判るのか?」
「はい。その辺りは、何も対策無しで開放されました」
 それを聞いて、調査官は首をひねる。
 自分たちの主星の位置は、もっと重要な情報。
 それを秘匿しないのはおかしい。

「何? そいつらが、此方のシステムを理解ができなかったのではないか?」
「いいえ。意図的です。ロックは解放したと告げられました」
「むう。それにしては対応が甘くないか?」
 そう聞かれて、バーリ=ストレーム少尉は首を振る。

「あれは余裕です。見に行くからなと言っていました。それに、遭遇をしたときに我らに対してどこから、どんな攻撃があったのかも理解ができないのです。魔法に関する技術は、彼等の方が圧倒をしています」

 見せて貰った船。
 それは彼等よりも小型だが、内部に入ればものすごく拡張されていた。
 中には畑や牧場まであったのだ。
 その事実を後日報告書として提出すると、会議室は引っくり返ることになる。

「バーリ=ストレーム少尉から出された報告書。君達はどう思うかね」
「いくら何でも、船の中に牧場などと……」
「ところが船だけではなく、収容所になっていたところは、地下なのに地上と同じ環境が創られていたそうだ。それを踏まえると、彼等は、空間魔法を完全に使いこなしているという事だ」
 そう断じたとき、場内に驚きの声が漏れる。

「これは我らのだけでは判断ができぬ。賢者様に報告を上げよう」

 こうして、新賢者アスモデ達の知るところとなった。
「ふうむ。どうするかね」
「魔王マーラ様が覇権を取るまでに、国を大きくするのが我らの命題。そんな得体の知れない報告を信じろと?」
 スクブスが嫌そうな顔をしながら、手に持っていた魔導タブレットをパタンと伏せる。

「彼等のクリーニングは行いましたの? 精神的にいじられて夢でも見せられていたとか」
 ヴィネはそんな事を言い始める。
 得てして人間は自分がやっていることに恐怖を覚えて、相手もしているのではないかと考える。

 例えば、他国が軍国主義に走っているとか、自国がそうしているから他国もそうだと断定をしたりする。それは恐怖の裏返し。

 よく、奥さんの態度が変わってそれを嫌がり、旦那が距離を置いたりすると、「浮気でもしているのじゃ無い?」そんな事を言い始めて怒り始める。
 無論それは、相手の有責で離婚をすれば慰謝料も取れるという、したたかな考えを持つこともあるのだが、自分がやっているから、相手もしているかもしれないという意思が働くからだ。

 自分が抱える罪悪感、嫉妬、攻撃性、あるいは不快な行動を、無意識に相手のものだと思い込む防御機制的行動であり、人間なら、大なり小なり覚えがあるだろう。

 よく見るのが、自分が相手を批判しているのに、『相手が自分を批判している』と感じて他者の攻撃を始めるのもこの反応だ。
 国会や記者会見でも、よく見る行動だ。

 そして、自分の行動が『いけないこと』だと理解している場合、それを自分だけでは抱えきれず、相手も同じだと思わせることで、自分自身の心のバランスを保とうとする。 これを、『他者評価の鏡』と言うらしい。

 後は、同調バイアスとか確証バイアスと呼ばれるもの。
 自分がそうなのだから、相手もそうであるはずだ。そんな勝手な妄想で突っ走る。
 私が嫌っているから、相手も嫌っているはず。
 そんな考えを持つ者も多い。

 大抵、そう言うときには、嫌われてなどおらず、歯牙にもかけられていないことが多い。
 自己評価が異常に高い人間に、このような者が多い。

 話しをじっと聞いていた、フォルネウスが口を開く。
「物事がハッキリするまで、軍を引いておけば良いのじゃ無いか? 今の奴隷で回っているのだろう?」
「それはそうだが、訳も分からない連中を恐れて屈服をするの?」
「ヴィネよ。その事が杞憂なら元に戻せば良い。だが、もし本当ならば、警告を此方が無視をしたことになるだろう」
「良いじゃ無い」
「良いわけ無いだろう。報告書を読むと我らを文明レベルで凌駕して、さらに霊圧も振り切れていたと書いてあるだろう」
 理論派のフォルネウスが、彼女のいい加減さに少し切れた。

 もし報告が本当だったときには、調査隊五百人の命どころではない。
 それに、帰って来たのは、百人で残りは向こうが良いと言って残ったのだ。
 あまりにも少ない情報。この時点で敵を舐めても問題が無いだろうと断定をするのは浅はかとしか言えない行為。
 彼は、主席であるアスモデの方をちらっと見る。

 おバカなヴィネの浅はかな考えを、たしなめて貰おうと……

 だが……
「まあ。このままで良いだろう。部隊は数を減らして、目立たぬようにする。憲兵達も奴隷の中で選抜をして当たらせれば、来ないと思うのだが…… もし様子を見に来たくらいでは、わからなくなるのではないか?」
 見事な折衷案。
「「むう」」
「それで良いわ」
「判りました」
 
 そんな判断をしてしまった。
 司は行くと言ったら来るのだ。
 地元民エルフ娘のアニタ・レベッカ・マルムボリとうさ耳のマリソル・ペーニャを連れて……

 残念ながら、水の惑星アクアプラ・ネータムから連れてこられていた、ドラゴニュート達は、この時はまだ、司に知られることが無かった……
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