ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

文字の大きさ
118 / 156
迫り来る脅威

第118話 こんにちは、そして、さようなら

しおりを挟む
「うわあ、美人ばかりが歩いている」

 一見すると単なる森だが、その枝にぶら下がるように空中庭園? が見えてくる。
 不安定そうなかずら橋で、その家々が繋げられている。

 そして、流石にエルフの国。
 道を歩けば美形ばかり。
「伝承というのか、言い伝えと同じというのは不思議な話だな」
「伝承ですか?」
 エルフ娘のアニタが、不思議そうな顔で聞いてくる。

「ああ、地球…… 日本じゃ、エルフは男も女も美人揃いだと、なぜか言われている」
「そうですかね? 普通だと思いますよ。それに日本の方が個性的なお顔の方がいておもしろいですし、なんと言うのか自然な感じがします。私たちは、神樹をお守りするために、初め一つの夫婦から始まったと伝承があって、そうですね。多様性がないと言いますか……」
 そう言ったまま、口ごもってしまった。

 後で聞くと、神樹を守る家があり。その血を守るために近親婚が推奨されているらしい。
 寿命が長いから何とかなっているのだが、やはり遺伝病が発生する確率が高く、病弱な子どもができた者は、別のパートナーを交換して子をなしてみるのだとか。

 そこに愛はあるのか? と言いたいが、家としての義務だそうな。

 最初こそは、怖さや抵抗があるが、一度経験をすればこんなものかと思って、特に相手のことは気にしないのだとか。

 非常に冷めているというのかクールというのか、そういう人種のようだ。

 だから、結衣達が司にこだわる姿が新鮮だったのだとか。
 これは種族とか文化の違いだとしか言えない。

 うさ耳のマリソルについては、子どもが三歳くらいになるまでは番なのだが、その後は相手を代えてもOKという訳の分からないルールのようだし、それも種族的な差なのだろうか?
 獣人の種類により多少は違う様だが、種族繁栄を優先するようで、細かな事は気にしないようだ。

 ただ種族的なこだわりがあり、なるべく同種で番うようだ。
「特に、虎種とか力の強い方達はその傾向が強いですね」
 そんな事を言っていた。


「それは良いとして、居るなあ」
「そうですねぇ」
 マカールが頭を抱える。

 一見するとエルフのように貫頭衣ぽい服を着て、それらしくふるまっているのだが、角は有るし、青白い肌は目立つ。

 向こうも向こうで俺達に気がついたようだ。
 此方に向いて走って来た。

「お前達、どこの部隊だ。本国から命令が来ただろう。制服を着るなと」
「我らは、第三探査部隊だ。二番艦艦長、マカール・ポフメルキン上級大尉
だ」
 そう言った瞬間、相手は礼を取る。
 膝を折るようなことはしていないが、直立不動で敬礼をする。
 やっぱり、上級大尉というのはそこそこ偉いようだ。
 制服で判りそうだが、あまり差があると、星とかワッペンの色ではわからないのかもしれない。
 黒茶赤…… の感じで階級ごとに変わると聞いたのだが。

「この近くに基地があることは判っている。案内をしろ」
「はっ。ええと後ろの奴らはなんでしょうか?」
 やはり、見たことのない者達が並んでいると気になるようだ。

「気にするな」
「はっ。承知しました。此方です」
 そうして、彼は手足を曲げず、ギクシャクと俺達を案内していく。

 その様子は注目の的で、思わず手を振ったのだが、ガン無視された……
 エルフどもはなんと言うのか、物事に対して、興味が希薄なようだ。

 
 そして、街の出口に隠してあった、軍用トラックに乗り込み、移動を開始する。
「道が未舗装だから揺れるな」
「そうだけど、風景が新鮮」
 結衣はあふれかえる緑に喜んでいるのだが、言い換えればどこまでも森。
 亜矢や杏華は、その森に潜んでいる者達の方に興味がありそうだ。

「魔力の感じだとエルフの方だな」
「そうなんですか? このトラックが来ると殺気が増えましたよね」
「こいつらは侵略者だ。仕方が無いだろう。矢が来たら止めるけどな」
 試しに俺が顔を出すと、気配が揺らいだ。
 殺気が途切れたところを見ると、未熟者だな。

 司が顔を出すと、一見して、種族の違いというのは判るから、トラックの中身が奴らと違うというのが判ったのだろう。

 彼等は、エルフの氏族、ヴィンクヴィスト家。
 マルティナ・ヴィンクヴィスト達は、長老の命令に従い、ヒステリシス人に攻撃を加えるべく街道沿いに潜んでいた。
 ところが、ここ最近、急激に奴らの様子がおかしくなったのだ。
 日夜行われていた狼藉や人さらいがなくなり、我らの衣服を纏い立っているだけ。
 そのため彼等も、何があったのかと警戒をしていた。

 朝夕の交代時間以外にやって来たトラック。
 何かがあったと彼等は直感をした。

 だが、なにがあったぁと、気合いを入れてみたら、服も顔も違う奇妙な種族が乗っていた。

「なんだあの黒い男は?」
「髪も目も真っ黒だったぞ」
「伝承にある、呪われた民ではないのか?」
「俺も聞いたことがある」
 とまあ、日本人など見たことのない彼等。
 真っ黒い種族は、彼等にとって、恐怖の対象に見えた。
 それに、隠しても隠しきれない、凶悪な魔力。
 彼等が持つ知識の中で、それは穢れと呼ばれる存在に違いないと思われたようだ。

 ご神木の発する光りに祓われている闇の存在。
 それが、奴らの狼藉で復活をしたのであれば……
「長老に報告をしに戻るぞ。穢れた者を見てしまったと……」
「そうだな、我らに対しても、清めが必要かもしれん。急げ」

 彼等が、勝手にあわて始めた頃、基地に到着をした司達。

 マカールを見て敬礼をして、俺たちを見て怪訝そうな顔をする。
「この方達は?」
 門番達は怪訝そうな顔をする。

 司は一歩前に出て、宣言をする。
「こんにちは…… そして、約束を守らないお前達は…… さようならだ」
 悪魔のような笑顔で……

「何?」
 彼等は、その先を覚えていなかった……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

異世界では地味な俺が、なぜか神々に最愛されて無双してる件

fuwamofu
ファンタジー
平凡な高校生・桐生ユウは、女神の手違いで異世界に転生した。 チートもスキルも貰えず、冒険者登録すらままならない落ちこぼれ……のはずだった。 しかし周囲の異常な好感度、意味不明な強運、そして隠された神格スキルによって、ユウは「無自覚に全能」な存在へと覚醒していく。 気づけば女神も姫騎士も魔王娘も彼に夢中。誤解と崇拝が加速する中、ユウの“地味な日常”は世界を揺るがす伝説になっていく。 笑いあり、胸キュンあり、ざまぁありの最強(なのに本人だけ気づいてない)異世界ファンタジー開幕!

異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。

猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。 もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。 すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。 主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。 ――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました―― 風景が目まぐるしく移り変わる。 天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。 移り変わる景色こそは、 第一天 ヴィロン。 第二天 ラキア。 第三天 シャハクィム。 第四天 ゼブル。 第五天 マオン。 第六天 マコン。 それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。 気付けば明星は、玉座に座っていた。 そこは天の最高位。 第七天 アラボト。 そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。 ――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。

処理中です...